『これが私の生きる道!』×telling,

「不調に振り回されがちな女性を漢方で解放したい」創業者・水沼未雅さんが「わたし漢方」に込めた想い

今の働き方はあなたにとって幸せですか? 結婚、出産、育児とライフステージが変わる女性にとって、自分らしい働き方を見つけるのは至難の技と言えるかもしれません。今回ご紹介するのは『これが私の生きる道!』(世界文化社)に登場したしなやかでパワフルな女性たち。彼女たちの言葉から、悩んだり落ち込んだりした時のヒントが見つかるかもしれません。

●『これが私の生きる道!』×telling, 02

持病に悩み出会った漢方の力。デジタルヘルスで漢方を

――あなたのお仕事は?

薬剤師です。現在は、LINEを使用して、漢方で健康をトータルコーディネートする「わたし漢方」を創業、運営しています。

――起業のきっかけは?

10代の頃から変な咳が出る持病に悩まされていました。眠れないし、テスト中に咳が止まらなくなると周りから白い目で見られるし、ひどくなると肋骨にヒビが入ることも。病院に行っても、内科で咳止めを出されたり、呼吸器科で喘息と診断されたり、耳鼻科で後鼻漏の疑いをかけられたりして、改善することはありませんでした。

15年ほど悩んでいたのですが、あるとき漢方専門薬局でカウンセリングを受け、1時間半以上かけて、足の先から頭のてっぺんまで調べてもらったら、ストレスや身体の冷え、そして生活習慣などに原因があると診断され、それに合った漢方薬を処方してもらったら咳が止まったんです! そのとき、漢方薬の力に衝撃を受けました。薬に関わっている自分でも知らないのだから、世の中の人はもっと知らないはず!と思っていたとき、ちょうどデジタルヘルスが勃興してきた頃で、私自身も前職でヘルスケアに関わっていて、デジタルの力でヘルスケアをもっと良くしてゆきたいと考えているところもあり、「デジタルヘルスで漢方を! 私以外、誰がやる?」と起業を決めました。

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AI問診に苦戦。文字で気持ちを伝えるのは難しい。

――起業準備中にやっていて良かったことは?

資本金は共同創業者と少しずつ集めました。起業経験がある方が多いので、いろいろ教えてもらいながら準備を進めました。初期投資はほとんどかかってないです。このプラットフォームは、チャットボットを作る会社がテストユーザーとして好意で使わせていただいたので、自社でいちから構築せずに立ち上げることができました。あとは私が昼夜を問わずボットのコンテンツ作りに励むだけでした。

――仕事をして悩んだことは?

LINEでAIが問診をする、チャットボットを作るのに苦労しました。この仕事は患者さんに感情で寄り添うことが必要なのですが、私は科学者なので、もともとロジカルに物事を考えてしまいがちなのです。最初に私が作ったチャットボットでテスト問診をした周りの人間の感想が、事務的で冷たいとか、論文みたいだとか……散々言われました(笑)。どうすれば患者さんに私の気持ちが伝わるのかとても悩みましたね。思っていたより、文字で気持ちを伝えることは難しく、冷たく伝わりやすいので、伝え方に関しては、未だに勉強中です。

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先輩からのアドバイスは、起業をするときはもっと人に頼るべし。

――起業した頃の自分にアドバイスは? 

4度の起業経験を経た前職の先輩が「起業するときは、どんどん人に頼るものだ!」と教えてくれました。今は、もっと人に頼れるようになりたいと思いますし、あの頃の自分に、もっと人に頼っていいのだよと言ってあげたいです。

――あなたにとって理想の仕事とは?

生理に振り回されて、1カ月に1週間つらい思いをする女性が多く、それは生活する上でのハンデになります。更年期もそうです。私にはそういうことから女性を解放したい思いがあります。体調が悪いとそっちに気持ちが引っ張られて100%集中できない。せめて体調のハンデから解放されて最大限のパフォーマンスで生活できることにコミットすることです。身体とメンタルはつながっています。日々の生活からストレスを受けると、身体に悪影響を及ぼします。でも、生活から完全にストレスを排除することは無理なのです。だから、ストレスがあることを前提に、漢方というツールで、いかに身体を守っていくかを提案していきたいです。漢方は、それぞれの人のタイプにより選べる。そして、それがパチッとハマると体調がよくなるのです。身体の調子が良くなればメンタルも落ち着き、快適に仕事ができるようになるだけでなく、お通じもよくなる、むくみにくくなる、よく眠れるようになるなど生活全体のパフォーマンスが向上するのです。体調が悪いと、仕事だけでなく、生きることの足かせになる。自分がやりたいことに全力投球できるような生活に、コミットする手助けができたらうれしいです。

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「何かしたい!」と思った時こそ、始めどき

――今の仕事をしていて、うれしかったことは?

お客様が「わたし漢方」で体調が良くなったとコメントをくださるときです。冷えで長年悩んでいた方が、カイロがいらなくなりました!とコメントをくれたり、妊活で悩んでいた方が妊娠したと連絡をくださったりすると、やっていて良かったなと感激します。そして、漢方の効き目を感じてくださった方々が、そのご家族やお友達にすすめてくださったりすることもうれしいですね。漢方は、人生の小さな一側面にすぎませんが、それが与えてくれるインパクトが大きいということが、お客様の反応から伝わってくるのです。

――これまで人生で影響を受けたもの、人、本などは?

高校生のときに先生が「勉強ができるんだから京大に行け!」と言ってくれたので、京都大学の薬学部に行きました。そのまま大学院に行くつもりだったのですが、脳科学の本に偶然出会い、衝撃を受け、その著者の方が東京大学薬学部の先生だったので、大学院は東京大学に行きました。前職のコンサルティング会社も薬学部の友人がきっかけで就職しましたし、「わたし漢方」も前職の先輩の影響で始めました。こんな感じで、いい意味で人に影響されやすい人間なので、楽しそうな方、興味がある方に流されやすいのかもしれません(笑)。

――これから何かを始めたい人へのアドバイスは?

「何かしたい!」と思ったら、やったほうが良い。意外となんとかなるものです。私自身、起業してからいきなり妊娠がわかり、忙しい最中に出産しました。会社を立ち上げたばかりなのにどうしよう!?と焦りましたが、意外となんとかなるものです。女性は自分でなんとかしなくちゃと抱え込む人が多いのですが、もっと周りを頼ってよいのです。私は、朝4時起きして0時以降に寝るようなスーパーワーキングマザーとは程遠い生活で18時には仕事をバサッとやめて、子供との時間を過ごすようにしています。そんな生活を送っている私でもできるのですから大丈夫。そもそも、好きで楽しいことでないと続けられないと思います。好きじゃないものに時間を割きたくないし。こんなふうにワガママでよいのだとも思います。そして、なにより、身体が資本です。健康第一で、やりたいことを、好きなようにやるのがよいと思います。

“私の持論は「カラダは資本」。体調が良くなることで、人生は上向きになれるのです。
私は漢方に人生を変えてもらった。
だから、体のことで困っていたら、その選択肢のひとつとして漢方を選んでほしいのです。”

 

●水沼未雅さんのプロフィール
「わたし漢方」創業者/薬剤師
兵庫県出身。京都大学薬学部卒業後、東京大学薬学系研究科で博士号を取得。外資系コンサルティング会社勤務を経て、LINEで漢方相談・購入ができる「わたし漢方」を創業。漢方をツールに女性の体の悩み相談に応じている。
「わたし漢方」の漢方相談窓口はLINEから@watashikampo