「オンラインサロン」ってどんな場所?タイプの違う2つのサロンで得た「仲間」と「拠り処」

オンラインサロンという言葉自体は知っていても、イマイチ何をしているのかわからない、という人もまだまだ多いのではないでしょうか。一体どこで、どんな人が集まってるの?定額料金を払ってまで所属する意味とは?。2つのオンラインサロンに入会した経験のあるライター・松永が、実体験から気付いたことをお伝えします。

まずは知っておきたい、オンラインサロンの4タイプ

現在、よく見られるオンラインサロンの一般的なかたちは、会費制で運営されるクローズドのコミュニティ。メンバー同士が様々なコミュニケーションをとっていくことが共通点ですが、具体的な活動内容は千差万別です。

コミュニケーションの方法一つとってみても、ネット上のみでメンバー間の会話が進められるサロンや、定期的にリアルの場に集合して顔を合わせるサロン、他のコミュニティと協力してイベントや飲み会を開くサロンなど、様々なかたちがあります。

テーマもビジネスや婚活など実益を重視したものから、美容や食など趣味にフォーカスしたものなど、幅広く展開されています。堀江貴文さん、西野亮廣さんなどのインフルエンサーを中心に集まったサロンも有名ですよね。

(イメージ写真)

オンラインサロンの型を私なりにざっくり分類すると、次の4つになります(いくつかの要素が複合したサロンも存在します)。

①ファンクラブ型・・有名人やインフルエンサーが中心となり、ファンが集まって活動するもの

②コミュニティ型・・カリスマ的中心人物はいるところと、いないところがある。メンバー間の交流やつながりづくりを目的とするもの。

③講座型・・ビジネス、語学、料理など、ノウハウや技術をメンバーに教えることを目的とするもの。

④プロジェクト型・・メンバーたちが協力して設定された目標に向けて活動し、何かを成し遂げることを目的とするもの。

入会のきっかけは、多忙な生活の中で感じた「物足りなさ」

私が今まで入会したオンラインサロンは①の「講座型」が1つと、②の「コミュニティ型」が1つ。まず、それぞれのサロンついて簡単に説明します。

「講座型」であるライター講座には、「書くことを学びたい」という明確なテーマがあったため入りました。

活動は、六本木にある教室での講義が中心。講師群が充実していて、加藤貞顕さん(note・ピースオブケイク代表取締役)や嶋浩一郎さん(博報堂ケトル代表取締役)など、業界の第一線にいる方々や有名ライターらが次々と登場します。

欠席の場合はオンラインでの動画聴講も可能。ただ、私は人と出会うのも楽しみだったので、基本的に教室に足を運びました。受講料は半年間、全12回の講義で約6万円です。

筆者が通ったライター講座の様子。毎回様々な講師が登場し、コンテンツのつくり方について講義してくれる。

一方、「コミュニティ型」のサロンは、「他者との会話を通して、自分と世界とを”自分自身”で堀り進めていく」という触れ込みでした。

料金は毎月定額の3500円で、月3回開催される集まりのうちどれか1回に参加が可能という仕組み。1回ごとに都内の会議室に約20人程度が集まります。ライター講座のように、いかにフォロワーを増やすか、課題をこなすかといった目標はなく、一人一人がこの1カ月にあった出来事や最近感じたこと、思ったことなどをただひたすら参加者に話していきます。聞く側は、静かにひたすら聞き役に徹します。

このサロンに入ろうと思ったのは、日々の生活に物足りなさを感じていたからです。多忙を言い訳に、気づけば1日が終わり、その延長であっという間に月が替わる。自分自身を内省出来ていないのでは…?と思っていたところに、このサロンを発見しました。

当時はちょうど大きな組織から小さな組織へと所属を変え、働き方も変えた直後。フリーランスの働き方や今後の生き方について考えていたときでもあります。正直、サロンの紹介文だけでは何をするのかよくわからなかったけれど、自分自身と向き合うきっかけになればと、勢いで入会を決意しました。

筆者が入った「コミュニティ型」のオンラインサロンの集まり。メンバーが一人一人話をするのを、みんなで聞いていくスタイル。

「お題」に苦心するも、第一線で活躍する仲間を獲得

さて、次は実際に入会してみて気づいたことをお伝えします。

ライター講座は、下は大学生から上は50代まで、男女とも幅広い年齢層が参加していました。最も多かったのは30前後~40前後の層でしょうか。60人程度が所属していましたが、動画での受講でも可能なため、毎回教室に足を運ぶ人数は平均して30~50人程度。メンバーはライター、コピーライターなど書くことを仕事にしている人や、書くことに興味がある人たちの集まりで、熱量は高かったです。

印象に残ったのはこんな出来事です。

講義の事前課題として「タイトルだけで読みたい!とSNSで話題になりそうな新書のタイトル」というお課を出されたことがありました。

講義当日に講師から優秀な作品のランキングを発表されるのですが、選りすぐりのコピーが続々と紹介されていくなか、一向に名前が呼ばれない私。既にあきらめモードに入り、ただただ黙って傍観者になっていました。

しまいには背もたれに体を預けてリラックスしていたら、突然2位で私の名前が発表……!いきなりマイクでコメントを求められ、軽く動揺したことを覚えています。ちょっとは面白いこと言えば良かったな、と今では思いますが、あの集団の中で評価されたことは、ちょっとだけ自信になりました。

また、当時、一緒に学んでいた仲間たちがSNSでインフルエンサーになるなど、講座終了後に着々とメジャーになったり第一線で活躍していたりするのを見ることによって、刺激をもらえています。期待以上に自分の世界が広がり、プライベートも仕事にも繋がるような縁ができたと思っています。

台風の夜、オンラインのやりとりに助けられた

一方、コミュニティ型。こちらは男性もいましたが割合としては20代~40代の女性が多く、特に既婚者子持ちの方が多い印象でした。

一人一人語っていく方式に最初はとまどいましたが、自分のことを人前で語る場面はあるようでないもの。声に出して誰かに聞いてもらうことで、定期的に気持ちの整理が出来ると感じました。

他のメンバーが話す話題は子どもや家庭の話、仕事やプライベートなど多岐にわたり、聞く側としても新たな気づきや視野が広がります。

月に1回、強制的に自分を見つめ直す機会を作るのも悪くないな…と思いながら、実際はスケジュールが合わず欠席になることもしばしば。それでも入会して良かったと思うことは、精神的なよりどころを増やせたことです。というのもこのサロン、毎月の集まり以外でもオンライン上でも随時、会員同士でやりとりをすることが可能で、日常的に誰かとコミュニケーションができるのです。

時にはサロン内の書き込みに助けられたこともありました。たとえば、昨年10月に大型の台風19号が関東地方を直撃したとき。独身の私にとってはかなり心細い出来事でしたが、サロン内で「台風についてのスレッド」が急遽立ち上がり、メンバー同士で防災情報を共有したり、お互いにはげましあったりすることができました。ネット上とはいえ、安心したことを覚えています。

ただし、自分を内省した分、正直、少し苦しくなってしまったこともあります。他者を通して自分の劣っているところ、足りていない部分に意識が向いて、孤独を感じた日もありました。

ただ、それが悪いかといえばそうでもなく、これまで心に蓋をしていた部分が少し開いた分、自分の本当の気持ちに気づけたり、他者の気持ちへ意識が向いたりと、今までにないところまで視野が広がったと感じています。

かけ持ちもオススメ。心の拠り処はたくさんあっていい。

私が入った2つのサロンは、どちらもリアルの場での集まりを主な活動の場とし、オンラインでのやりとりは補助的に行われる、というかたちでした。

どちらのサロンのメンバーもアンテナが高く、自分の中の何かを前進させたいと思っている人たちが多かった印象です。感覚的なたとえですが、とても良い「気」に満ちていました。

実利的な面で考えても、人によっては、サロンでの出会いが仕事の紹介に繋がることもあります。会費が高いと感じるかどうかは捉え方次第ですが、自分の人生に必要なタイミングで、その時の自分にピッタリと合うサロンに出会えれば、確実に世界は広がるのではないかと思います。

また、サロンは一つに限定する必要もなく、いくつか「かけ持ち」するのも良いと思います。その時の自分自身の状態や気分によって行き来をすることができますし、今の自分に必要ないサロンだと思ったら、見送ってもいいでしょう。心の拠り所はたくさんあっていいし、自由に出入り出来る場所があると心強いのでは、と思うのです。

東京生まれ。千葉育ち。理学療法士として医療現場で10数年以上働いたのち、フリーライターとして活動。WEBメディアを中心に、医療、ライフスタイル、恋愛婚活、エンタメ記事を執筆。