ミレニアル女子が選ぶコンビニワイン4選 キモは「どう美味しく楽しく飲むか?」
セブンVS.ファミマVS.ローソン どこのワインに軍配?
今回購入したのはセブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンで販売されているオリジナルワイン4本。
telling,で『ソムリエ店主に聞く 家飲み×コンビニ ワイン術』を連載中の『わいん厨房たるたる』のオーナーソムリエ兼シェフ伊藤博之さんは、「1000円未満のワインに関しては、色・香り・味わいを語るより、どう美味しく楽しく飲んだら良いか?を考えた方がいいと思います」とアドバイスしてくれました。
ちなみに筆者のふだんの家飲みの定番はサンタ・ヘレナ社の「アルパカ・カベルネ・メルロー」。扱う店舗が多く、値段もフルボトルで660円ほど。濃い果実味が感じられ飲みごたえもあるのにクセがなく、万人受けする「無難」な一本です。これが”安旨ワイン”を評価するときの自分のベースとなっています。
「ヨセミテ・ロード」サラダ、カプレーゼ、蒸し鶏との相性間違いなし
で、今回の1本目はセブン‐イレブンの「ヨセミテ・ロード 白」を選びました。
ヨセミテ・ロード 白(750ml)
産地・アメリカ
ブドウの種類:カリフォルニア産のシャルドネ主体
価格:570円(税込)
セブン‐イレブンといえばこれですよね(と勝手に認定)。ちなみに赤(カベルネソーヴィニョン主体)もあり、250mlのおひとりサイズ、2人で飲みきれる500mlサイズもあります。こちらは日本の原点ともいわれるワインブランド・メルシャンとの共同開発商品だそう。一気に信頼度が増します!
飲んでみるとかなりフルーティ。りんごのような香りがまずガツンときて、そのあとライムなどの柑橘系が香ります。辛口でスッキリとした味わいなのでどんな料理にも合いそう。サラダ、カプレーゼ、蒸し鶏などさっぱりした前菜との相性は間違いなさそうです。ホームパーティーの1本目はとりあえずコレかも?
キンキンに冷やして飲みたい「アンデスキーパー」
続いて2本目もセブン‐イレブンで購入した「アンデスキーパー 白」
アンデスキーパー 白(750ml)
産地:チリ
ブドウの種類:ソーヴィニョン・ブラン主体
価格:378円(税込)
こちらも同じくメルシャンとの共同開発品。価格はコンビニワインのなかでも最安値ではないでしょうか。ちなみにチリとは2007年にEPAを結んでいて、ワインにかかる関税が段階的に撤廃されてきました。「チリワイン」と聞けば、今ではすっかり安旨ワインの合言葉のようなもの。個人的にはチリ産ソーヴィニヨン・ブランなら大きな失敗はない、と思っています。
こちらはヨセミテ・ロードよりシャープで、酸味の効いた味わい。例えるならグレープフルーツやレモンです。同じメルシャンのフロンテラに似ていると感じたのですが、フロンテラよりお安く買えるのでコスパ良し!安いソーヴィニョン・ブランはアルコール臭がきつい時がありますが、こちらはそんなこともなし。でもぬるくなると雑味が出てくるのでキンキンに冷やしていただきます。スプリッツァーにしても良さそう。これぞデイリーワイン!自宅に常備したい一本。
後味は超スッキリの「ファミーゴ」
3本目はファミリーマートの「ファミーゴ 赤」をチョイス。
ファミーゴ 赤(750ml)
産地:チリ
ブドウの種類:カベルネ・ソーヴィニョン
価格:657円(税込)
なんと、こちらもメルシャンとの開発品でした。プライベートブランドのワインといっても有名ブランドとの開発品であることが多いようですね。どうりでレベルが高いわけだ……。
お味のほうは、最初の一口からしっかりとした果実味がガツンときます。ブラックベリーの酸味が感じられ、後味は超スッキリ。渋みはほとんどありません。個人的にはカベルネ・ソーヴィニョンにはもう少しタンニンの感じが欲しいのですが、味の濃い料理にも淡白な料理にも合いそうな絶妙なバランスなので、料理を選ばなくて重宝しそう。でもこの値段ならアルパカを買ってしまうかな〜。
安旨ワインの「ボルドーは鬼門」?
4本目はローソンの「ラ・シャルトリューズ・ド・セナック2017 赤」。こちらは今回のセレクションの中で唯一の”1000円超え”ワインです。
ラ・シャルトリューズ・ド・セナック2017 赤(750ml)
産地:フランス
ブドウの種類:不明
価格:1100円(税込)
ローソンはコンビニの中でも一番ワインに力を入れているチェーンだと思います。こちらは成城石井とのコラボということでした。成城石井のワインは徹底した温度管理をした輸入にこだわりがあり、品質を落とさずに日本まで仕入れていることで有名です。これは期待大!ですが、安旨ワインを選ぶ際に「ボルドーは鬼門」とも言われており、1000円台のボルドーはハズレが多いことでも有名です。
飲んでみると、まず渋みと土っぽさが強く感じられました。一方で味にそこまでパンチがなく、酸味が少し。ボルドーワインとしての良さはあまり感じられず、まとまりがない印象……。やはり安いボルドーは鬼門でした。
同じローソンなら以前に購入したオーストラリアワインの「ザ・ブラック・シラーズ 赤」のほうがパンチがあり雑味もなく美味しかったです。
ソムリエが伝えたい、コンビニワイン術
4種を飲み比べてみて感じたのは、赤ワインは微妙なバランスで渋みがエグみに変わってしまうことがあり、白ワインのように冷やしてグイグイ飲むわけにはいかないので好みのものに出会うのが難しいということ。だからこそ運命の一本を選ぶのが楽しいのですが……。
今回の4本の中では、セブンイレブンの「アンデスキーパー」が価格や味のクセのなさ、アレンジのしやすさなどから筆者の「推しワインナンバーワン」に決定!
ここでぜひプロの意見も知りたいところです。それぞれのワインについて、前出のオーナーソムリエ兼シェフ・伊藤さんの評価も聞いてみました。
「まずは白ワインの2本、ヨセミテロード(シャルドネ)とアンデスキーパー(ソーヴィニヨン・ブラン)について。それぞれカリフォルニア産とチリ産で、ともに欧州以外の、新世界と呼ばれる産地もので、果実味がありフルーティー。丸みのあるシャルドネに比べて、ソーヴィニヨン・ブランの方が酸味を感じ、香りも含めてシャープに感じます。図形で例えるならシャルドネは〇、ソーヴィニヨン・ブランは△といった感じです」
そんなワインに合うおつまみは?と尋ねると、「コンビニで買える簡単な食べ物では、シャルドネは(トロピカル)フルーツ、ソーヴィニヨン・ブランはスティック野菜やミニトマトが面白いですね」とのこと。
一方、赤ワインの2本、ファミーゴ(カベルネソーヴィニヨン)とボルドーワインのシャルトリューズ・ド・セナックについて。
「ボルドーはチリより辛口。チリ産カベルネ・ソーヴィニョンは果実味ありフルーティーです。渋味はともにきつい感じはしませんが、渋味には脂を拭う作用があることも忘れないでください」と教えてくれました。食事に合わせやすいのは辛口なボルドー(魚料理は要注意)で、ワイン単体でも楽しめるのはチリ産カベルネだそうです。
最後に、伊藤さんにコンビニワインの質の向上と、選ぶ際のポイントを聞いてみました。「飲みきりの小容量が充実しているのと、スパークリングワイン・白ワインが冷やして売られているのがうれしいですね。食事中にはフランスをはじめイタリアやスペイン産などヨーロッパのワインがよいと思いますが、軽いつまみをお供にワイン単体で飲むなら、果実味があるタイプやフルーティーなものを選んでもいいですね」
みなさんもこの冬、推しのコンビニワインを見つけて家飲み時間を充実させてみてはいかがでしょうか。
※なお、店舗によって扱っていない種類があります。また上記4チェーンの系列店が展開していない地域もあります。
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