扇子を持つベッド・インの「ちゃんまい」こと中尊寺まい

憧れバトン

ベッド・イン中尊寺まい「憧れている人との「差」こそ自分のオリジナルになる」

誰しも今までの人生で「憧れの人」や「嫉妬する相手」がいるのではないでしょうか。 「他人と比べないこと」をよしとする風潮の中で、それでも自分の中にある「羨ましい」「あの人みたいになれたら」という気持ち。その声に耳を傾けることで、次に頑張るべき課題や目標が見えてくるかもしれません。 地下セクシーアイドル、ベッド・インの中尊寺まいさん。なぜ彼女が多くの女性ファンから「憧れ」られるのか。また、「嫉妬」という感情について、話を聞いた、後編です。

●憧れバトン01-2

「パイオツカイデー」はコンプレックス。男の子になりたかった

――自分たちの身体を惜しみなく魅せるボディコンファッションが象徴的なベッド・イン。特にその魅力的な胸元をアピールする衣装とパフォーマンスがまいさんのウリですが、実は男の子になりたかったというのは、どういうことでしょうか?

まい: 昔はバンドの世界でも女性だからという理由で悔しい思いをすることもいっぱいありました。グッズコーナーで自分のグッズを売る準備をしていたら「どのバンドメンバーの女?」なんて言われたり……。
このパイオツも、それだけで軽い女という印象を持たれたこともあるし、痴漢にも遭う。そのたびに「コレ、邪魔だなぁ」という気持ちがこみ上げていました。
何より男性の方がギターを弾く姿が似合う気がしていて、羨ましかったんです。

やきとり屋をバックにポーズをとるベッド・インの「ちゃんまい」こと中尊寺まい

でも、音楽を続けていくうちに「私は男の人にはなれない。じゃあ、このバンドの世界でどう立ち向かおうか」と考えるようになって。
私にしか表現できないギターがあり、女性にしか出来ないプレイがある。胸が大きくて太って見えるなら、そういう服は脱ぎ捨てて身体を出しちゃえばいい。
男性からの視線や、軟派な誘いも「ありがたいことだ」と堂々とするようになったら、女性として、音楽活動、そして人生を謳歌できるようになりました。
オンナである自分で「遊べる」ようになったんです。

好きなことを全力でヤッてるというだけで、貴重な存在だと思ってもらえた

――ベッド・インのライブに足を運ぶお客さんは、バブリーなライブパフォーマンスだけでなく、「オンナってカッコイイ」というパワフルな生き方を支持している方も多いですよね。

まい: 実ははじめから意識してそういったコンセプトを決めたわけではなく、2人ともバブル文化がDAISUKI!だったということだけで見切り発射でスタートした感じでした。
7年前の活動初期は今ほど「バブル」という言葉も浸透していなかったし、完全に時代を逆行していたのかもしれません。
でもバブル時代のタカビーな(※1)女性の、「他人にどう思われようと、自分の好きなことを好き勝手にヤって自由に生きる開放的な姿勢」へのリスペクトは、結成当初から変わっていません。
その「姿勢」こそがすごく貴重で価値のあることで、実は今の女の子たちが求めていることなのかもしれない、そこを私たちが示していくことで、性徒諸クン(※2)は勇気づけられているんだと、ベッド・インの活動を通して感じるようになりました。
応援してくださるみんなの言葉が、私たちの活動の方向性をより明確にしてくれたように思います。

※1高飛車な
※2ベッド・インのファンの総称

扇子を振るベッド・インの「ちゃんまい」こと中尊寺まい

「理想」と「自分」の差こそ、オリジナルであり個性

―― かつては男性に憧れながらも、ベッド・インを続けていくうちに女性バンドマンとしてのコンプレックスも愛せるように変わっていったまいさん。
憧れているものに対する自分の「ハンデ」の部分を受け入れ楽しむことがまいさんの「嫉妬」「憧れ」との向き合い方ということでしょうか

まい: そうですね。音楽活動だけでなく日常生活でも同じで、たとえばきれいなモデルさんを見て憧れることはあるかもしれない。でも同じ服を着ても似合わないだろうし、ましてやその人自身にはなれない。
じゃあ、自分に似合うものはなんだろう?って。
そうやって考えて生み出した“理想”と“自分”との「差」の部分がオリジナルという個性になると思うんです。
「自分ならどうしよう?」をいつも探していく。
そういう意味では、憧れたり、嫉妬したりっていう感情自体は決して悪いものではなく、自分らしさを見つめるためのきっかけとして必要な感情だとは思いますね。

歌舞伎町で踊るベッド・インの「ちゃんまい」こと中尊寺まい

取材後記:カラッとしていていつもみんなの輪の中心にいたマイちゃん。好きなことを見つけ努力できるのは羨ましいことだけれど、一方で誰にでもできることではなかったりもします。
しかし、それにとどまらず「他の人には理解されないかもしれないけど自分は好き」という自分の感性を大切に積み重ね、自信に繫げていけたという話は、意外でした。
自分を愛し、みんなにも愛を注ぐ。学生時代に隣で見ていたその振る舞いが、今のサービス精神旺盛なパフォーマンスにつながっていることに、同級生として、またもや「嫉妬」してしまいました。
それでもやっぱり彼女にはなれないのだから、「自分ならどうやって愛する?どうやって愛される?」そんなことを前向きに考えてみようと思った取材でした。

●ベッド・イン 中尊寺まいさんのプロフィール
流行便乗の坊ちゃん嬢ちゃんに待った!をかけるセクシーアイドル”こと『ベッド・イン』のパイオツカイデ~担当でありギター担当。80年代末期〜90年代初期までのバブル期を彷彿とさせるワンレンボディコンスタイルであられもないパフォーマンスを繰り広げながら、激しく硬派なギタープレイを披露。

●ベッド・イン TOUR2019「男女6人秋物語」
9/14(土)神田明神ホール

●ベッド・イン2マンシリーズ 2019「炎のねるとん4本勝負~東名阪の巻~」
10/13(日) 東京 赤羽ReNY alpha
11/6(水) 大阪 umeda TRAD
11/7(木) 名古屋 SPADE BOX
11/11(月) 東京 高円寺HIGH

Twitterアカウント:https://twitter.com/bed_in1919

大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。
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