telling, Diary ―私たちの心の中。

独身だったけど妊活のために仕事やめました

結婚後、少し落ち着いてから始めるものというイメージが強い「妊活」。でも実は自分の身体をないがしろにしがちな働き盛りの時にこそ、妊活について考えるべきなのではないかと筆者は思います。突然不妊体質を言い渡され、独身にもかかわらず妊活のために仕事を辞めた筆者が感じたことを語ります。

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ストレスフルな毎日。生理不順は当たり前だった

新卒以来、営業も行う総合職としてずっと働いています。最初の2社は労働時間も長くストレスフルな環境。そのせいか、長い間婦人科系の不調に悩まされていました。生理がきちんと来ないなんて当たり前で、「3か月以上来なかったら病院に行く」くらいの雑な手当てでなんとか過ごしていました。その日婦人科に行ったのも生理を誘発させるホルモン剤をもらいに行くのが目的でした。

「神山さん、前も同じ理由で来てますよね」
「は、はい」
「念のため子宮の検査をしましょうか」

いつにもまして呆れた表情の先生に促されるまま診察台に上がります。不調を訴えてはその場しのぎの薬だけもらい、通院もせずにまた数カ月後にやってくる患者へのあたりは厳しいものです。エコーを見た先生は、一言、「あ、子宮が小さくなっちゃってますね」と言いました。

「どういうことですか?」
「生理がこないから子宮が閉経したあとみたいに小さくなっています」

衝撃的な宣告でした。まだ20代半ばだというのに閉経って……。

突然の不妊体質宣告。治療法は……

「治るんですか?」
「ピルを使って生理をきちんと来させれば治ってくると思います。ただ、神山さんの場合はもともと子宮が小さいんですよね」
「それって妊娠しづらいとかあるんですか?」
「まあ、しづらいと言えば、しづらいですね」

閉経しかけ、そして子供を授かりづらい体質と知り、いつでもできると思っていた「妊娠」という選択肢が消えかかるのを感じました。これまで子どもが欲しいなんて思ったことはなかったのですが、泣きそうになっていることに自分でも驚きました。

そのあと生理不順をどれくらい真剣に治療していくつもりがあるのか、ということを先生に聞かれました。仕事が忙しいのは理解してくれていたので「すぐに妊娠する予定がないのならピルで管理するのも手です」と言われ、私の頭には長年付き合っていた彼のことが浮かびました。

「近々妊娠の予定がないとは言えないです」
「じゃあ、薬だけじゃなくて体質改善とかもしないとね」

体質改善なんて忙しく働いてたら無理!

妊娠したいならピルがなくても正常な周期で生理が来るような体にしていかなければいけない。じゃあどうしたらいいのか?先生に聞いても「生理が来ない原因は人それぞれなので、一概にこうしろとは言えない」と曖昧な回答しか得られません。

それから妊娠できる身体づくりを始めました。ネットで調べてみると「ストレスをなくそう」とか「規則正しい生活をしよう」などという当たり前のことが書いてありました。

泊まりの出張もあるし、朝は早いし、付き合いの宴会もあるし、終電まで残業になることもある。その時の仕事では「当たり前のこと」を実行するのがどうしても無理でした。

はじめは会社の女性上司にだけ相談して業務負担を減らそうといろいろ工夫してみたのですが、「ストレスが溜まってきたので今日は残業できません」とか「規則正しい生活がしたので出張いけません」なんて言えるわけがありません。ましてやアンタ独身でしょ?と思われいるような気がして、思ったことが言えずにいました。そして私は仕事を辞めることにしました。

体質改善につとめる働き方にシフト

その後の転職活動では「残業がない」ということを第一の条件に掲げました。これまでなら考えもしない条件です。バリバリ働いて活躍したい、という気持ちがないわけではありません。でも自分の身体のことを考えて、働き方をゆるめることにしました。

幸い条件に見合う職場が見つかり、生理不順も徐々に治ってきています。本当は理想の働き方と妊活を同時にやれたらいいけど、難しいのが現状だと思います。

特に、結婚していない女性が妊娠を見越して「体質改善したい」と言っても理解が得づらい。でも私の周りにはそういう理由で仕事を辞める人が結構います。もっと女性の身体のこと、妊娠することは簡単じゃないことが知られたらいいなと思います。

1991年生まれ。芸能・出版などマスコミ業界で働く会社員。リアルなミレニアル世代として、女性特有のモヤモヤや働き方などを主なテーマに記事を執筆中。
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