聖司くんと出会いたくてマッチングサービスをつくった話
●ロマンチックに起業してみた 05
ロマンチストに、マッチングアプリは無理だった
本棚で、偶然同じ本に手が重なる男女。
こんなシチュエーションに密かに憧れるあなたは、きっとロマンチストです。
例に漏れず私は正真正銘のロマンチストで、こういう理屈じゃない出会いにどうしようもなくドキドキしてしまう!
恋心って、収入でも顔のタイプでも性格でも選べなくて、絶対的に「出会い方」。
これが、今回私が起業して始めるサービスのタネとなりました。
私の会社、MISSION ROMANTICでは「本を通じてロマンチックに人と出会うマッチングサービス」を始めます。
出会いは増えても成就しない恋
マッチングアプリが市民権を得た今の日本。「出会いたい」という欲求に対する”秘め事”とか”恥ずかしい”という感情そのものが、もう時代遅れなのかもしれません。
一方、出会いへのハードルは下がっているようで、独身者は増え続け年々晩婚化が進んでいます。女性の社会進出が進んできたという時代の流れもあるけれど、個人的には、私たち日本人の根本的な性質にも原因があるんじゃないかと思うんです。。
ヒントは日本人の美学、「余白」にあった
Less is more. あるいは、陰翳礼讃。「かげ」にこそ美しさを求め、余白を求める我ら日本人の美学。
マッチングアプリでふるいにかけてその中から精度を高めて出会いましょう、とか、婚活パーティで一気にたくさん出会っちゃえば効率的です、とか……なんか全然余白がないように思うんです。
精度の高さや効率性を求めた出会いの先に、私の出会いたい未来の恋人はいるだろうか。そんな疑問をもってる人って、案外たくさんいるんじゃないだろうか。
もっと日本人っぽい、そして私っぽい出会いを生み出す方法を考えた結果が、「出会い方」にとことんこだわってみること、その出会いの始まりを「本」にすることでした。
本棚に並ぶ同じ本に、偶然手を伸ばす瞬間
MISSION ROMANTICでの出会いは、好きな本を選ぶところからスタートします。
本棚の同じ本に偶然手が伸びる瞬間、私の理想の出会い方を限りなく再現したかったんです。
結果的にこのサービス、運営は極めてアナログで手間がかかるし、本を読むというハードルを課したために出会うまでに3カ月かかるし、時代に乗りきれない超スローでローテクなサービスに仕上がりました、笑。
市場も効率も度外視したこの感情100%の非効率な感じ、ビジネス的には赤点ですが、なかなかロマンチックなんじゃないかと自分で思っています。
「耳をすませば」の聖司くんと雫ちゃんのように...
起業準備真っ最中の1月の寒い日、金曜ロードショーで映画「耳をすませば」を久しぶりに見ました。
互いをよく知らない違うクラスの男女。
図書館で同じ本を借りる偶然の出会い。
夢というポジティブな恋愛の障壁。
そこには私の理想が全てぎゅぎゅっと全て詰め込まれていて、再確認しました。そうそう、恋って理屈じゃないんだよなーって。
ベストセラーのビジネス書も教えてくれない気づきと希望を与えてくれたスタジオジブリ、人生のバイブルがまた一つ増えました。MISSION ROMANTICが叶えたいのは「耳をすませば」の世界観です。
ということで、ロマンチックに起業できました。
㈱MISSION ROMANTIC、事業内容も起業プロセスも、一つずつ納得しながらゆっくりと準備を進めた結果、29歳の誕生日直前に、無事登記が完了し会社が設立できそうです。
人生で一番大きなお買い物でした。
起業って結婚みたいって、印鑑証明取りに渋谷区役所に行った時に感じたのですが、登記のタイミングでもまた、というかより一層!起業って結婚みたいだなあと実感中です。
必要書類をバッグに潜めて朝の電車で渋谷の法務局に向かう途中、もしも今、学生時代の私に出会ったらどんな顔をするだろう……想像してみました。
17歳の私よ、どうか悲しまないでほしい。
「ロマンチックに生きてみたい」なんとも単純で安っぽい衝動が、結果的に自分を突き動かして起業までしちゃった29歳の私は、想像以上に前向きです。
よし、やっとここがスタート地点。まだまだ、まだまだ。MISSION ROMANTICのサービスβ版開始は、もう間もなくです。
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