「起業」と「結婚」、メンタリティはほぼ同じ。
●ロマンチックに起業してみた 02
起業って、結婚みたい!
平日のお昼。起業に向けて印鑑証明を取得しようと渋谷区役所に行きました。ベンチに腰掛け、書類受け取りをぼーっと待っている間、感じたことがあります。
「会社を起こすって、結婚のメンタリティに似ているかもな」
私は結婚をしたことがありません。
でも、慣れない区役所でちょっとドキドキしながら座っているこの自分の現状は、婚姻届を出す女性の気持ちとさほど変わらない気がしたんです。
マリッジブルーならぬ、起業ブルー
20代まで生きてきて、結構な数のご祝儀を包んできました。結婚式に参加する数だけ、自分の結婚のシミュレーションも十分過ぎるくらい反芻できている私が考える、起業と結婚の関係性。
たとえば、「明るく笑いの絶えない家庭を築こう」と理想の家庭を描くこと。これは、会社のあるべき姿を映し出す「定款」に記すことと似ている気がします。
名字変更に伴う煩わしいパスポートの更新諸々。これは、会社名を記した「新品の名刺や印鑑」を準備することと同じ感覚。
結婚届を出しに行く一大イベントは、印鑑証明を取りに行く「区役所」というある具体的な地点で、もう100%起業と結婚が交差します。
一番の驚きは、起業にもマリッジブルーならぬ起業ブルーが待ち構えていたこと。
人生でそう何度も経験するプロセスではないからこそ、一つ一つが慎重になり、意味を持つ。
その過程で迷いや弱さが慢性的に続くと、ふいに出てくる感情「どうでもいい」(笑)。
どうでもいい、という言葉が適切かは分かりませんが、決断にひよってしまとうくらい大きな意味を持つということは、どちらも同じです。
ライフイベントは結婚式とお葬式だけ、そんな悲しいことある?
義務教育が終わって、高校、大学と、時間で区切ってくれる集団から抜け出した瞬間、私たちは社会という雑な空間にぽいと投げ出され、人生に残されたイベントっていきなり結婚と葬式だけになります。
数年おきに全員でライフステージを上がっていく実感を20代前半までは平等にくれたのに、急に訪れるこの社会の冷たさはむごすぎます。
だからかもしれません。起業のあとに経営として会社を成り立たせて行く事はもちろん大切なのですが、今回、起業までのプロセスそのものと向き合う事も私にとってはとても大切でした。
20代最後、「起業」というライフイベントを自ら作ってみたイメージ。そしてそれを、出来る限り一人でやってみたいと思いました。
キラキラ起業女子という言葉
2018年の日本、起業家は年々増加傾向です。2017年度は約13万人の新しい会社が生まれ、2018年度はその数字を大きく超える見込みだそうです。起業しやすい世の中というのを、私も身を持って実感中です。
起業という選択肢がこれからどんどん当たり前になってくるなあと思っていた矢先、「キラキラ起業女子」という言葉を先日知りました。SNSに素敵な生活や打ち合わせ風景をアップして、ファッションとして「起業」をしている女性のことを指す言葉だそうです。
世間的にはネガティブなイメージが強いみたいですが…「いいじゃない!キラキラ起業女子!」というのが私の個人的な意見。
なりたい自分になるために努力するってとても素敵なこと。それが起業なら、すぐできる。思い立てば1人で出来る。
肩書きから作ってそこに自分を当てはめていくって、「将来は起業したいんすよね」「夢は起業です」とかこと言って結局動いていない男たちよりよっぽど偉いと思ってしまいました。(キラキラ起業女子の実態には懐疑的な部分がありますが。)
2人分の力で、1つの印鑑を
結婚と起業は似てると話してきましたが、決定的に違う点が一つだけ。
寄り添ってくれる恋人が、起業のときには隣にいませんでした。
怠惰な自分、意地悪な自分、色んな自分と内面的に戦うたびに、1人と2人はきっと大きく違うんだろうなと、起業を通じて結婚に憧れるという謎なループも経験しながら(笑)、起業ブルーを乗り越えました。
桜の蕾が膨らむ頃に、いよいよどきどきの登記予定です!
たとえばそのとき、恋人たちが婚姻届に並べてハンコを押すように。
自分と自分の会社名、登記申請書には2つの印鑑を、一人で二人分の気持ちを込めて押してみたいと思っています。