ロマンチックに起業してみた

「あなたならできるかもしれないね」と言える大人になりたくて

社会人になって7年目の森本萌乃さん。四つの会社で多様な働き方を経験してきた彼女が、今チャレンジしようとしているもの。それが、「起業」です。資金を貯めて、事業計画をつくって、売上シナリオを作って、イノベーティブなサービスをプロダクトして……、なんて大仰な起業、ではありません。新世代の起業はもっとしなやかで感性寄りのもの。自身の生き方を考えるためにも起業したいという、彼女の現在進行形の起業ストーリーを、短期連載でお届けします。

●ロマンチックに起業してみた 06

世界は君を見てないから大丈夫って、RADWIMPSは言っていた

学生時代から大好きなRADWIMPSの新しいアルバムが、昨年の暮れに発売されました。

その頃ちょうど起業準備も追い込みで、年越しまでに定款出すぞー!印鑑作るぞー!って、RADWIMPSの曲を応援歌に、年末の東京をせかせか走り回っている時期でした。

そんな私を特別に勇気づけてくれた、ある歌詞の一節(の内容)。

“どんなにカッコつけようが、世界は君のことなんて見ていないんだから、スネないで好きなことしちゃおうよ”

私の100%個人的な記事なので歌詞の引用は控えますが、こんなニュアンスです(「TIE TONGUE」という曲です、もし良ければ聴いてみてください)。

この曲聴いて、そうだよなーその通りだよなーって。
私が起業したところで別に世界が変わる訳じゃない、自分としては大きな勇気だけれど、外の世界からするとそんな勇気はゴマ粒くらい小さいんだから、好きなように思いきりやろうと。

人生のかなり前の方を進む先輩からのこの言葉は、私のゴマ粒程の勇気を貫く力になってくれました。

しかし、励まされることもあれば落ち込むこともあるわけで。
誰も見てないって言ってもね、人から見ればゴマ粒の勇気だって知っていてもね、勇気を生み出して、育てて守っていくのは案外大変だと思うんです。

今回その勇気を出してみた身として、絶対に忘れたくない言葉がありました。

「無理」という言葉の銃弾

「それ、無理だよ」

無理というたった二文字の言葉が持つパワー、私初めて知りました。

めちゃくちゃ頑張って絞り出したゴマ粒程の勇気なんてもってのほか、大切に育て上げた大福くらいの勇気だって、この言葉は簡単に撃ち抜く威力を持っていると思います。

なんせ思い先行型・ロマンチックを全ての判断軸に置いたエモーショナルな起業なので、ビジネスの先輩たちからは厳しい言葉もたくさん頂きました。

……たくさん頂いた、と思っていました。

でもほんとは、たった1人、たった一言「無理」という言葉が強すぎて、深く心に残っていただけだったんです。

ロマンチックが何事も追い越さないこと、を私の会社のルールに据えたので、具体的な忠告やフィードバックは全く気にならなかったです。全ての判断基準はロマンチック、そこで判断して、言葉を返し、会話をさせてもらえたから。

ただ「無理」に対しては、もうなす術がなかった。

無理。そこで会話終了。
小さな勇気のど真ん中を命中するように、言葉の銃弾としては性能が良すぎました。

青春というダンスフロアで...

少し話が変わりますが、高校大学と7年間、留学の1年間を除くと私の青春はほぼチアダンスで埋め尽くされていました。

チーム名が大きく書かれたドラム型の部活バッグを肩にかけて、どうやったらダンスが上手くなるか、チームが良くなるか、そんなことばかり考えて踊り続ける日々。毎日練習帰りはへとへとで、ジャージ姿で京王線で口開けて寝てました。

”CHEER”は人を励ますということ。人に届けることを目的に生まれた特殊な競技なので、ダンスの技術と共に、精神的な部分も7年かけて鍛え上げられました。常に「感謝」の気持ちを持つように、コーチの口癖は気づかないうちに自分の人生の一部となっています。

チアガールが学んだ「感謝」の精神は、良い事ばかりじゃなかった

感謝感謝、常に感謝。

そんな学生時代を終えて社会に出た私は、どんな小さな言葉や意見も真正面から受け止めて、無理にでも感謝に変えようとするクセが未だに直りません。

「私のことを思って言ってくれてるんだから、感謝しなくちゃ」
「きっとこれは忠告なんだ、感謝しなくちゃ」

今回「無理」という言葉に直面した時にも、感謝しなくちゃ!って反射的に思いました。それしか方法を知らないから、チアガールはいつも「感謝」しなくちゃいけないから。

でも、人生は長い。10代から覚えてきた方法では解決できない、曖昧な出来事も近頃は多くなってきました。

「感謝」の絆創膏では治しきれなかった傷口に、今も勝手に、少し苦しんでいます。

言葉には言葉の絆創膏を

突きつけられた「無理」の言葉に対する自分なりの決着として、少しだけ前向きな答えが見えてきました。

「あなたならできるかもしれないね」

この言葉で絆創膏貼り直そうかなって。

言っている意味は「無理」とそれほど変わらない言葉ですが、友達と飲んでいる時に自然と自分から出てきた言葉。レモンサワー片手に口に出した瞬間、「あ、これかも」って。

この先の人生、乗り越えられない強い言葉に出会うことがまだまだたくさんあると思います。そんな時、こうやって自分の言葉で絆創膏を貼っていければ、もう少しだけ強く賢くなれる気がします。

最後にちょっとだけ、ポジティブなことを言います。

今回の起業のプロセス、たった一言に傷ついたと言いつつ、たった一言ということは「一言だけ」なんです。

世間や他者は、ゴマ粒の勇気に対して案外温かいのかもしれない。
いや、やっぱり結局、そんなに人の事なんて見ていないのかも。

ほんとだね、RADWIMPS。
好きなように思いきりやってみよう。

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Me, may be enjoying the most. ちゃっかり一番楽しんじゃったり、ね。new office嬉しい😂😂 #ワクワクマネージャー

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㈱MISSION ROMANTIC代表、たった1人の社員。広告代理店に4年勤めた後、外資やベンチャーを経由し2019年3月起業。小説を通じて人と出会う人力マッチングサービスを運営、ロマンチックに生きて行きたい。
好きを仕事に