編集部コラム

過去への未練を断ち切る呪文は「ネアンデルタール人に感謝しろ」⁉︎

季節や場所にふと、昔好きだった人を思い出す。「あの頃は若かったな」とか言って目を細める。そんなノスタルジックモード、癖になっていませんか?一気に現実に引き戻されるショック療法みたいな一言をご紹介します。

●編集部コラム

季節が変わるたび、思い出してしまう「昔の男たち」

暖かくなって春物のコートを引っ張り出してきただとか、そろそろ花見の季節だとか、そういうささいなことがあるにつけ、「あの時好きだった彼とのデートでこのコートを初めて着たなぁ」とか「ユニコーンの歌詞に『花見の時にキスしてそれから何もない』ってあったな。そういえばあの人、奥田民生が好きだった」とか、かつていろいろあった男の人たちのことを思い出して懐かしんでしまいます。

そういうことをしてしまう原因の一つに、「それを許してくれる仲間の存在」もあったりするんじゃないかって思います。

つまり、「はいはい。わかったわかった」とあしらわず「わかるわぁ。アタシも去年の今頃は〜」なんて、お互いのノスタルジーを交換できてしまう友人がいるせいで、過去がどんどん美化されていっちゃうんですよね。

「趣味・過去を振り返ること」

私の親友は結婚式で参列者に配るプロフィールブックに「趣味・過去を振り返ること」と明記し、結婚式の引き出物に自分の人生年表(初恋、大失恋など歴代の恋愛まで詳細に)を挟み込んだ酔狂な女。
彼女とは1日50通以上にわたってLINEのやりとりをすることがよくあるが、随所に「1年前の今日はどこで誰と会っていた」やら、「〜〜については3年前の彼氏だった◯◯さんも言ってたけど」など、お互いの昔の話題が登場し、そして、もちろんそんなもの今話したってどうなるわけでもないことばっかりだから「でも、あの頃があるから今の私たちがあるんだよね」って、シメがおなじみの流れ。そんな生産性のないやり取りをもう、何度繰り返したことか。

彼女の結婚生活は非常に良好で、旦那さんとの関係も円満。それでも「あの時ああしていれば」とか言わずにはいられないのだから、これはもう癖(というか、本人言うところの「趣味」)でしかないのですが。

私の方はというと、どうにも「過去の男がいたから今の私がいる」神話と、過去の美化から抜け出せないんですよね……。一応婚活中だし、過去のことを思い出して余計な未練に火がついたりなんかしたら厄介なんで、こんなことではいけないと頭ではわかっているんですが。

親友の旦那さんからの目の覚める一撃

ある時、そんな私たちのやりとりを見かねた彼女の旦那さんが「そんなに過去の人に感謝とか、この人がいたからどうのとかいうなら、まずネアンデルタール人に感謝しろ!」と一言。

あの人がいたから今の私がいるだの、「過去、過去」って何かにつけて振り返るなら、考古学レベルで過去の人に感謝しなさい。その時代の人たちがいるから今の自分がいるということだけは、間違いなく確かな事実なんだから、ということだそうです。
極論だけど正論すぎてめちゃくちゃ衝撃的でした。

過去は所詮過去

過去の男は所詮、過去の男でしかないし、そんな人たちにいちいち感謝しないと今の自分を保てないなんて情けない。そんなことをしている暇があったら、今、目の前にいる自分を励ましてくれたり、褒めてくれたりした人たちに感謝する方がよっぽど建設的。

それ以来、「ネアンデルタール人に感謝しろ!」は、モヤモヤ、うじうじ、ノスタルジーモードに引きずられそうになった時に自分で自分に冷や水をぶっかける呪文となっています。

あの時の彼がいたから、今の私が……、いや、ネアンデルタール人がいたから今日の私がいる。そんな風に考えると気が遠くなりすぎて、もはや、モヤモヤなんてしてられませんから!

大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。
telling,Diary