吉川愛

吉川愛さん、さりげない日常にある悩みのカタチを考えた。ドラマ『マイダイアリー』

男女5人の大学時代に紡いだ友情や恋愛をノスタルジックに描くドラマ『マイダイアリー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)に出演する吉川愛さん。仲良し5人組の一人で、メンズアイドルの推し活が趣味のおっとりとした性格でありながら、実は過去にトラウマを抱える白石まひる役を繊細に演じています。そんな役柄と自分の共通点や、外からは見えない“人の内面”について、本作を通じて考えたことを語ってくれました。
吉川愛さん「追い込まれるのは苦手。人生の余白を楽しめたら」。息抜きは推し活と愛犬の散歩 【画像】吉川愛さんの撮り下ろし写真

過去を乗り越えることに焦らなくてもいい

――裕福な家庭で育ちメンズアイドルの推し活に励む白石まひる。彼女に共感できる部分や、自分と似ていると感じる部分などはありましたか? 

吉川愛さん(以下、吉川): どちらかというと私自身の性格は、おっとりとして控えめなまひるとは正反対のタイプだと思っています。推しのライブも少し後ろからひっそり見守る彼女に対して、私は前のめりなタイプ。K-POPグループ「TWICE」が大好きなのですが、できるものなら最前列から応援したい(笑)。

吉川愛

だから役作りに関しては、できるだけゆっくりと話すようにしたり、仕草の一つひとつも柔らかく見えるようにしたりと、まひるらしさを工夫しています。ただ、推しへの愛を語るときだけは、その気持ちがよくわかるから、かなりリアルに演じられたと思います。

――まひるは心にトラウマを抱えていますが、吉川さんは、過去の傷や辛いことをどう乗り越えてきましたか?

吉川: トラウマとまではいかなくとも、過去の嫌な体験というのは誰しも持っているのではと思いますが、改めて考えてみると、私自身もまだそれを乗り越えられていない自分の方が大きい気がします。でも、無理に「乗り越えなければ」と焦る必要はないのではないでしょうか。もちろん、ふと思い出してしまうことはあるけれど、それでもこうしてなんとかやっていけています。

自分にとっての当たり前は、みんなもではない

――本作の一番の見どころは、5人それぞれが抱える悩みや葛藤、また友情や恋愛などの関係性だと思います。幼少期から活躍し、一度は学業に専念もした吉川さんは、将来を選ぶうえで、迷いや不安を感じた経験はありましたか?

吉川: 私の場合、再び芸能活動に戻ろうと決めたときは、「やりたい」という気持ちがはっきりしていたので、迷うことはなかったですね。進学する友人と自分を比較したり、周りの反応が気になったりすることもありませんでした。

吉川愛

ただ、進路や就職で悩む人がたくさんいることはもちろん理解できます。『マイダイアリー』の5人もまさにそうだと思うのですが、それぞれが自分の過去やトラウマと向き合ったり、人を好きになったり、愛について考えたりする様子を、「こんな人もいるんだな」という気持ちで見ていただけたら嬉しいです。もしかすると、今まさにつらさを抱えている人にとっては、より苦しく感じる場面もあるかもしれません。作中で描かれる日常生活の中に、人の内面について学べる部分がたくさんあるのではないかなと思います。

――吉川さん自身も、本作を通じて学ぶことはありましたか?

吉川: 私が一番驚いたのは、まひるは人前ではあくびができないというところ。心を許したとき初めてやっとあくびができる。人によって、信頼の基準というのはさまざまで、まひるの場合はそれがあくびだった。自分が当たり前にできることが、誰にとってもそうだとは限らないと学びましたし、人の数だけ考え方があるということを、忘れないようにしたいなと、改めて思いました。

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吉川愛さん「追い込まれるのは苦手。人生の余白を楽しめたら」。息抜きは推し活と愛犬の散歩 【画像】吉川愛さんの撮り下ろし写真

●吉川愛(よしかわ・あい)さんのプロフィール

1999年10月28日生まれ、東京都出身。2006年にドラマデビュー。主な出演作はドラマ『純愛ディソナンス』、『真夏のシンデレラ』、『マルス-ゼロの革命-』、『降り積もれ孤独な死よ』、映画『虹色デイズ』、『転がるビー玉』、『ハニーレモンソーダ』など。

■ドラマ『マイダイアリー』

脚本:兵藤るり
出演:清原果耶、佐野勇斗、吉川愛、見上愛、望月歩
ABCテレビ・テレビ朝日系 毎週日曜夜、放送中
©︎ABCテレビ

ライターやエディターとして活動。女性の様々な生き方に関心を持ち、日常の中のセルフケアや美容、ウェルネスをテーマに取材・執筆を続ける。また、ファッションやコスメブランドのコピーライティングなども手がけている。
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。