Netflixシリーズ『今ドキ!インド婚活事情』
Netflixシリーズ『今ドキ!インド婚活事情』独占配信中
夢物語じゃ、足りないの。悩みに効くリアリティーショー#4

他人の婚活見て我が婚活直せ! 「今ドキ!インド婚活事情」に見る成婚のカギ

夢見るような展開のドラマを見ても、近頃はなんだかむなしい。だって現実にはこんなすてきなこと起こらないもの。恋愛・結婚・キャリア・子育て……悩める私たちの特効薬は、そう、リアリティー・ショー! 現実世界に即・応用できちゃいます。今回は、婚活が上手くいかないあなたに「今ドキ!インド婚活事情」(Netflix)をおすすめ!
超絶男尊女卑コミュニティから羽ばたく彼女に喝采を! 女のモヤモヤを吹き飛ばす「マイ・アンオーソドックス・ライフ」

今年こそ結婚相手を見つけたい! そんなあなたにぜひおすすめしたいのが、「今ドキ!インド婚活事情」(Netflix)。結婚相手を見つける番組は数あれど、離島でバカンスを楽しみながら、あるいはシェアハウスで共同生活を送りながら……など、特殊な設定が多いもの。

その点、「今ドキ!インド婚活事情」は超リアル! インドのカリスマ仲人・シマに依頼してきた男女の婚活ドキュメンタリーで、年齢、職業、住んでいる地域も様々、共通点はインド人というところだけ。「優しい人なら誰でもいい」と言いつつ、本心ではえり好みをしてシマに一喝されたり、ファーストデートで自分の話ばかりしてしまったり、万国共通の婚活NG集を覗き見できるのだ。(もちろん成功例も!)

ここではそのうちの一人の婚活模様から、婚活NG行動を学んでみよう。

カリスマ仲人のシマ
カリスマ仲人のシマ=Netflixシリーズ『今ドキ!インド婚活事情』独占配信中

否定ワードばかりのデートクラッシャー・アパルナ

シーズン1の最初の依頼人として登場するのが、テキサス州に住む34歳・弁護士のアパルナ。
彼女はこれまで友達の紹介やお見合いアプリで色んな男性と会ってきたけれど、うまくいかなかった。インタビューに答える彼女を見ていると「そらそうだ」という感想になる。威嚇するような眼で相手をジャッジし、自己主張が激しく、相手の言葉に対しては「私はそうは思わない」と否定ばかり。彼女は、いつも自分が指定するワインバーの入り口近くの席で会い、55分だけ話をするんだそう。それ以上は無駄な時間だから……(汗)。

シマに相手の条件を聞かれて挙げたのは、自分と同じ北インド出身であること・育児に積極的であること・自分と同じ弁護士ではないこと・服のセンスがいいことなどなど。シマが「ユーモアのある人が人気だけど?」と聞くと「笑いのセンスは不要」とばっさり。シマは「条件のうち、多くは幸せな結婚とは無関係」と苦笑いする。

じつはこのシマの言葉、とっても深いと思う。ここでわが身を振り返ってみよう。自分の結婚相手の条件は「結婚後」の幸せを想定したものだろうか。「イケメン」「高収入」「高学歴」「ときめき」それらはすべて、「〇〇な人と結婚したの!」とゴールインしたその瞬間の達成感のためだけの条件ではないだろうか。

母親の過度な愛情があだに……

その後、アパルナはポッドキャストのキャスターをしているスリニを紹介される。デートは彼の紳士的なリードのおかげで終始楽しいご様子。見ているこっちは、「こんなアパルナをあたたかく見守れるなんてスリニってオトナ~!」と思うけれど、アパルナはその後の会話で彼が数年前まで定職に就かずフラフラしていたと聞くと、一気に冷めた表情に。彼女を女手一つで育てた母親(アパルナにそっくり!)も「彼は負け犬よ」と言い捨て、母娘は紹介してくれたシマに不満をぶつける。

じつはこの母親も強烈キャラ。離婚後、アメリカに渡り、幼いアパルナに「学位は最低でも3つ取らなきゃダメ」と言い放ち、その期待に応えてアパルナは現在の地位を手に入れた。仕事で成功したことがこの母娘の誇りで、そこから先の幸せを置いてきぼりにしているように見える。二人は毎日会うほど仲が良く、アパルナは母親になんでも相談する。

母親は19歳で望まぬ結婚を強いられ、家庭内でなんの主張も許されなかった。その反動から、アパルナには自分の思い通りに生きてほしいと願っている。アパルナの我の強さにはこんな背景があったのだ。母親の言うことは、たしかに娘への愛をもとにしている。けれど、それが相手のいる「婚活」にとっては一方だけの肩をもつ視野の狭い意見になるのだ。

初めはお見合いがうまくいかなかったアパルナだが……
初めはお見合いがうまくいかなかったアパルナだが……=Netflixシリーズ『今ドキ!インド婚活事情』独占配信中

自分だけが「選ぶ側」と思ってない?

次に会ったのはディリプ。学歴も職業も申し分ない。ところが「10日間のんびりするなら何をしたい?」というディリプの質問に「のんびりしないとダメ? 10日間も休みたいなんておかしいわ」とまたもばっさり。デート後、ディリプは番組側のインタビューに「終わってホッとした」という始末。アパルナには相手を和ませようとか、安らぎを与えようという気持ちがないのだ。もちろん次のデートには進めなかった。

三番目に会ったのは弁護士のシェカル。条件である「弁護士ではないこと」を外したのは進歩といえるかも。一度目のデートは優しいシェカルのおかげで話が弾み、「もう一度会ってもいいわ」となぜか上から目線のアパルナだけれど、シェカル側から断られてショックを受ける。彼女は自分だけが選ぶ側だと勘違いしている。婚活とは選ぶ側であるのと同時に選ばれる側でもあるのだ。

アパルナのデートを見ていると、「ああ、またそんな言い方して」「もっと相手にも話題を振らないと」「また相手の話題を取っちゃった!」「表情がキツく見える」といろんなダメ出しがしたくなる。ある意味、最高の反面教師なのである。

さて、そんな頑固なアパルナをどうやってシマは結婚へ導くのだろう。

「でもでもだって」のアパルナを変えた意外な方法

アパルナの意識を変えるためシマがとった行動は、占星術師に会わせること! 最初は冷めた目を向けていたアパルナだけれど、占星術師から「いつも強情さのために破局してきたのでは?」「一生独りかもと悩んできたね」「自分の本心を素直に見つめれば本当の幸せを逃してきたと気づくはずだ」と説かれてはっとした顔をする。(また、この占星術師がとっても優しい顔をしたおじいちゃんなのよ!)そして、これまで星回りで結婚への扉が閉じられていたけれど、もうすぐ星の配置が変わってその扉が開くと予言される。

自己主張が強いアパルナだけれど、じつはそれは「誰からも愛されないかもしれない」という不安の裏返しだったのだ。それが自分の資質のせいではなく、「星回りが悪かったせい」と言ってもらえたことで、アパルナは素直に忠告を聞く気になった。条件が厳しすぎると占星術師に言われたことに「そうだったかも」というアパルナに対し、母親は「もっとよく考えたら」と水を差すが、「もう考えた、確かにそうよ」と初めて母親のアドバイスをはねのける。

まるで人が変わったような笑顔で、いろんな男性と積極的に会い、会話を楽しみ、相手も楽しませようとするアパルナ。すると、「明るくチャーミングで話題豊富な女性」というふうにアパルナの良い面が見えてくる。占星術師はこうも言っていた。「君はいい人間だ。君と結婚できる人は幸福だ」と。

時として、親や友達の言葉よりも、占い師や恋愛アドバイザーなどの第三者の意見の方が、プライドに邪魔されず素直に受け入れられることがある。何度デートを重ねてもうまくいかない時は、自分の考えが頑なになっている証拠。適度に占いに頼ってみるのもアリなのかもしれない。

いい婚活は人を成長させる

番組ではほかにも、アパルナとは対照的ないつも笑顔のウェディングプランナー・ナディアや、母親に今年中に結婚しろと強力な圧をかけられている25歳の男性・アクシャイ、子連れ再婚を望む36歳の女性・ルパム、料理やファッションに夢中で150人の女性を紹介されても結婚する気にならない32歳のプラデュマンなどなど、さまざまな男女の婚活模様が繰り広げられる。彼らの失敗や成功に一緒に胸を熱くしながら、悪戦苦闘しているのは自分だけではないと励まされるはず。

お見合いをするプラデュマン
お見合いをするプラデュマン=Netflixシリーズ『今ドキ!インド婚活事情』独占配信中

その後、アパルナはある男性と何度もデートを重ねる。彼女は言う。「自分のことをよく見つめられたから、結婚相手を見つけられそう」。表情も明るく、シマに「あなたのおかげよ」と感謝する。シマを睨みつけていたシーズン冒頭とは激変! 結婚する・しないに関係なく、彼女の人間的魅力は格段にあがった。婚活にはこんな効果もあるのだ。あなたの結婚相手を見つける旅も、実りあるものでありますように!

Netflixシリーズ『今ドキ!インド婚活事情』

■『今ドキ!インド婚活事情』

カリスマ仲人のシマ・タパリアが、インドとアメリカを股にかけ、最良の伴侶探しに奔走。番組の冒頭では、お見合い結婚をした老年夫婦の体験談が語られ、その仲の良い様子にも勇気をもらえる。占星術、観相学、恋愛アドバイザーなどを駆使したシマ流婚活術には驚きと発見がいっぱい! 現在シーズン3まで配信中。
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超絶男尊女卑コミュニティから羽ばたく彼女に喝采を! 女のモヤモヤを吹き飛ばす「マイ・アンオーソドックス・ライフ」
エッセイスト/ライター。エッセイ集『夢みるかかとにご飯つぶ』(幻冬舎)2024年7月発売。出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に携わったのち、39歳で一念発起。小説家を目指してフリーランスに。Web媒体「好書好日」にて「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」を連載。特技は「これ、あなただけに言うね」という話を聞くこと。note「小説家になりたい人(自笑)日記」更新中。