桜井日奈子さん、映画『魔女の香水』で初めて大人の女性を熱演

6月16日公開の映画『魔女の香水』に出演する俳優の桜井日奈子さん。これまでは学生など若い女性を演じることが多かった桜井さんですが、今回演じるのは会社員を辞めて起業する大人の女性。どのように役に向き合ったのか、話を聞きました。
【画像】桜井日奈子さんの撮り下ろし写真 桜井日奈子さん「不安の先にあるワクワクを想像して」

姿勢を正して、実年齢より上の女性を演じた

――映画『魔女の香水』のオファーがあったときの心境を教えてください。

桜井日奈子さん(以下、桜井): 脚本を読んでまず、私が演じる恵麻は「大人だ!」と思いました。今までは学生役やラブコメが多かったので、こういった大人の役のオファーを頂けて嬉(うれ)しかったです。恵麻は、黒木瞳さんが演じる魔女さんの香水や言葉によって人生を切り開いていく強い女性です。

今作では、23歳から30歳までの7年間を演じたので、実年齢より上を演じることに少し不安がありました。また、経営者は経験がないので、私には想像がつきにくい世界です。ただ、恵麻が魔女さんに導かれて人生を切り開いていく感覚は、思い当たることがあったんです。私もマネージャーさんの言葉に導かれて突き進んできた部分があるので、共感できるなと思いました。

――恵麻を演じるにあたり、気を付けたのはどんな点でしょうか?

桜井: 冒頭に恵麻の「自分の足で立っていける人になりたい」という台詞(せりふ)があります。何者かになりたいけれど、どうしていいか分からない。そんな不安の中で突き進んでいく恵麻を演じるにあたり、この気持ちを大切に演じていこうと思いました。

また、姿勢には気を付けました。自信がないと、どうしても肩が内側に入って頼りなく見えてしまいます。魔女さんの台詞の中にも「姿勢は常に正しなさい」という言葉があります。特に年齢が上がっていく後半は、姿勢をしっかり正して演じるように心がけました。

――恵麻と桜井さんとの共通点、相違点は?

桜井: 恵麻は一生懸命でまっすぐ。そこは私と近いかもしれません。ただ、恵麻の持つあれだけ強い正義感は、私にはない部分。映画の冒頭で、職場でセクハラを受けている同僚を助けるために上司を注意するシーンがあります。言ったら仕事を続けられなくなるかもしれないとわかっていてもなお、すぐに注意して助ける勇気は私にはないかもしれません。

女優を「天職」にしたい

――魔女さんと呼ばれる弥生役の黒木瞳さんとの共演はいかがでしたか?

桜井: 黒木さんとは私がデビューして最初の連ドラ『そして誰もいなくなった』でご一緒して以来の共演でした。当時私はまだひよっこだったので、今回こうしてじっくりと一緒にお芝居ができることに喜びを噛(か)みしめて演じました。

黒木さんは1つ1つ、すごく細かくしなやかにシーンを作り上げていく方です。監督だけではなく、カメラマンさんや照明さんなどにも配慮されて、スタッフとのコミュニケーションもとても緻密(ちみつ)。女優としての振る舞いを学ばせてもらいました。

私とは経験も深さも違い過ぎるので、必死で食らいついた感じです。現場ではずっと集中していたので、談笑する余裕もないほど。黒木さんにたくさん引き出してもらいましたし、助けてもらいました。

――映画では「香水」が重要なアイテムになっています。桜井さんは普段使う香水や香りにこだわりはありますか。

桜井: キンモクセイの香りが好きです。この作品にも出てきますが、その前から実はルームフレグランスにキンモクセイを使っていたので、運命を感じました。
この作品に出会ってから、香水を勉強して、その日の「なりたい自分」に合わせて香水を選ぶようになりました。香りによって気分が変わるので、メイクや服を選ぶのと同じように、その日の自分をメイクする感覚で香水を選ぶのは楽しいですね。

――『魔女の香水』で恵麻役を演じた後、俳優としての心境などに変化はありましたか。

桜井: 確実に成長できたと思っています。宮武由衣監督がたくさん褒めてくださったことも、自信になりました。作品の中に魔女さんの「あなたの天職を見つけなさい」と言う台詞があります。私は天職を見つけることも大事だけれど、「天職にしたい」と思えることも大事だと思っています。私は今、「女優を天職にしたい」という思いでこの仕事と向き合っています。いいことばかりではないけれど、やっぱり楽しい。頑張れる原動力は、ファンの方の応援です。胸を張って「これが私の天職です」と言えるくらいまで、もっともっと演じる役の幅を広げていきたいです。

◆ヘアメイク:サカノマリエ
◆スタイリスト:阿井真理
◆靴:CHARLES & KEITH / CHARLES & KEITH JAPAN(問い合わせ http://charleskeith.jp

【画像】桜井日奈子さんの撮り下ろし写真 桜井日奈子さん「不安の先にあるワクワクを想像して」

●桜井日奈子(さくらい・ひなこ)さんのプロフィール

1997年、岡山県出身。2014年「岡山美少女・美人コンテスト」で「美少女グランプリ」を獲得し芸能界デビュー。2015年、「いい部屋ネット」のCMで全国的な知名度を獲得。2016年、『そして、誰もいなくなった』(日本テレビ)で連続ドラマ初出演、2018年映画『ママレード・ボーイ』で初主演。ドラマ・映画・舞台と活躍の場を広げ、近年の主な出演映画は『任侠学園』(2019)、『殺さない彼と死なない彼女』(2019)、『魔女の香水』(2023)など。

■『魔女の香水』

出演:黒木瞳、桜井日奈子、平岡祐太、水沢エレナ、小出恵介、落合モトキ、川崎鷹也、梅宮万紗子/宮尾俊太郎、小西真奈美
監督・脚本:宮武由衣
製作統括:菅原智美
© 2023映画『魔女の香水』製作委員会
配給:アークエンタテインメント
6月16日(金)TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー

ライター/株式会社ライフメディア代表。福岡県北九州市生まれ。雑誌、WEB、書籍でインタビュー記事を中心に取材・執筆。女性のハッピーを模索し、30代はライフワークとしてひたすらシングルマザーに密着していました。人生の決断を応援するメディア「わたしの決断物語」を運営中。
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。