桜井日奈子さん「不安の先にあるワクワクを想像して」
決心が固まらないまま芸能界に。最初は戸惑いも
――振り返ってみて、ターニングポイントとなったのはいつでしょうか?
桜井日奈子さん(以下、桜井): 私の人生が大きく変わったのは、2014年。芸能界に入るきっかけとなった、「岡山美少女・美人コンテスト」です。それまで芸能界に興味はなかったのですが、副賞のディズニー旅行欲しさに出場した(笑)。そこから事務所に所属することになり、あれよあれよという間に時間が経っていって……。
もともとパン屋やアナウンサー、キャビンアテンダントなど、夢がコロコロ変わっていて、強くこれになりたい!と思うものがなかったんです。だからこそ、芸能界に飛び込めた部分もあります。ただ、自分の決心が固まらないまま物事が進んでいくことに戸惑いはずっとありました。
――まわりのスピードに気持ちがついていかなかった。
桜井: そうですね。デビューして数年経っても、どこか「やらされている」感覚があって、これは自分が選んだのではない、と思っていました。そういった甘えがあるから、ちょっと批判されただけで「もう辞めたい」とくじけてしまう。泣きながら母に電話したこともありました。
――そんな気持ちが変わったのはいつからですか?
桜井: もう思い出せませんが、いつからかこれは自分が選んでやっていると思えるようになったんです。そこからふっと心が軽くなった。自分で選ぶ幸せを感じられるようになったので、仕事が楽しくなりました。今は事務所から言われた通りに仕事を受けるのではなく、自分の意思をしっかり伝えています。
ただ、自分で選ぶには責任も伴います。その分、最近少し心がざわつく瞬間が増えました。人は変えられないので、自分に今何ができるのか、どう動けるかを考えてイライラしないようにするのが今年のテーマです。
「このままでいいのかな……」26歳で感じる焦り
――4月に26歳になりました。心境の変化はありましたか?
桜井: 「アラサーだ!」と思いました(笑)。今回の映画『魔女の香水』のように、大人の女性を演じられるようになったのも、年齢を重ねたからこそだと思うので、年齢を重ねること自体はポジティブに捉えています。
でも、気持ちが追いつかない。自分がイメージする26歳はもっと大人じゃなかったか、このままでいいのかな、と焦る部分もあって。だからといってどうしたらいいのか、答えもないのですが。
――どんな30代になりたいですか。
桜井: 30代はもう1段上の段階に進んでいたい。女優として、誰が見ても「桜井日奈子だ」と分かってもらえるような、国民的女優を目指したいです。
プライベートでは、世界をもっと見てみたいですね。一番行ってみたいのはフィンランド。世界を見て、もっと広い視野で物事を見られるようになりたいです。
――結婚・出産については、どのようにお考えですか?
桜井: 結婚は……30代後半くらいでもいいかな、と。世間的には遅い方かもしれませんが、しばらくは女優業に専念したいです。でも、タイミングさえあれば、恋愛はしていたいですね。
――やりたいことがあっても、一歩踏み出せない人にアドバイスをお願いします。
桜井: 何をするにも勇気が必要だと思います。私自身が心がけていることは、少しでも「面白そうだな」と思ったらやってみる。やらないのは、やっぱりもったいないから。挑戦してみて、ダメだったらやめればいい。そうやって飛び込んでみたら、全然知らない世界が広がっているかもしれません。不安を凌駕(りょうが)するくらい、その先にあるワクワクを想像してほしいな、と思います。
◆ヘアメイク:サカノマリエ
◆スタイリスト:阿井真理
◆靴:CHARLES & KEITH / CHARLES & KEITH JAPAN(問い合わせ http://charleskeith.jp)
●桜井日奈子(さくらい・ひなこ)さんのプロフィール
1997年、岡山県出身。2014年「岡山美少女・美人コンテスト」で「美少女グランプリ」を獲得し芸能界デビュー。2015年、「いい部屋ネット」のCMで全国的な知名度を獲得。2016年、『そして、誰もいなくなった』(日本テレビ)で連続ドラマ初出演、2018年映画『ママレード・ボーイ』で初主演。ドラマ・映画・舞台と活躍の場を広げ、近年の主な出演映画は『任侠学園』(2019)、『殺さない彼と死なない彼女』(2019)、『魔女の香水』(2023)など。
出演:黒木瞳、桜井日奈子、平岡祐太、水沢エレナ、小出恵介、落合モトキ、川崎鷹也、梅宮万紗子/宮尾俊太郎、小西真奈美
監督・脚本:宮武由衣
製作統括:菅原智美
© 2023映画『魔女の香水』製作委員会
配給:アークエンタテインメント
6月16日(金)TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー