福地桃子さん「思い出話が増えていくのも、大人になる楽しみ」

人気ドラマや映画に出演し、注目を集める福地桃子さん。ドラマ「それってパクリじゃないですか?」(日本テレビ系)「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(NHKプレミアムドラマ)ではそれぞれ主人公の友人役を好演しています。今後目指したいキャリアや、年齢との向き合い方について伺いました。
福地桃子さん、連ドラ2本に出演中。役と自分との共通点を探して 【画像】福地桃子さんの撮り下ろし写真

自分の軸を大事にしつつ、柔軟でありたい

――キャリアを重ねる上での目標はありますか?

福地: 柔軟でありたいと思っています。自分の軸は大事にしつつ、お芝居する上では自分のやりたいことだけが正解じゃないと思うし、色んな人の声を聞くことも大事なので、現場に落ちているヒントを敏感にキャッチしたいですね。

――ドラマや映画の出演が続いていますが、チャレンジは臆さない方ですか?

福地: 元々、色んなことに興味を持てる方ではなくて、1つ興味のあることに没頭するタイプなんです。お芝居もそうだけれど、興味を持てたことを逃したくない気持ちが強いです。ただお芝居で求められるものは、いかにその瞬間に集中できるかなんですよね。その役を演じる上では、気持ちを継続していくし、準備や練習もしていくけれど、現場で出し切ってしまう感覚があります。だから、継続が付きものの趣味などとはアプローチがちょっと違うのかもしれません。演技を通して、大きくなったのは人を楽しませたいという気持ちですね。『舞妓さんちのまかないさん』というドラマでは、是枝さん(是枝裕和監督)に「モノマネできる?」って尋ねられたんですよ。

――モノマネ? 一体どういう意味だったのですか。

福地: 私が演じたのは、つる駒という周囲のムードメイカー的なキャラクターだったのですが、まだ脚本も出来上がってないくらいの、衣装合わせの段階で、突然是枝さんに「『古畑任三郎』見たことある?」と聞かれたんです。そこで、「こんな感じですか?」とやって見せると、「そういう感じで行きたい」と言われて。

――ある意味、むちゃぶりですね。

福地: むちゃぶりですよね(笑)。でも、そのおかげで、できるかどうか分からないことでも、自分が楽しめたら、不思議と自信が湧いてくるんだって気づきました。私は『古畑任三郎』の中では、推理や裁判所のシーンが好きなので、好きなしぐさを見つけて、いかにその工程を楽しめるか考えながら練習していました。もちろんモノマネ芸人さんみたいにはなれないので、自分の角度で見つけた面白さを伝えているだけですけどね。それでも、以前だったらできなかったことを、自分なりに解釈して披露できたことで、新しい扉を開いたような気分になりました。

――どうやったら楽しめるかを重視すると。

福地: 是枝さん率いるチームの空気感がとても心地よかったのもありますね。お芝居ってその場で出来上がっていくこともあるし、お芝居をしている意識はもちろんあるけど、緊張した固まった体じゃなかったなと思います。

いくつになっても、今が一番楽しいのが理想

――まさに柔軟ですね。25歳の今、30歳を見据え、どのような思いですか?

福地: 人生を楽しんでいる周囲の方たちに、いつが楽しかったかと聞くと、今が一番楽しいって言う人が結構いて。その人の全てを知っているわけではないけど、豊かな生き方をしてきたのだろうなと思いますし、今が一番きらきらしているのが理想ですよね。その方たちから「大人になるってこういうことだよ」って教えてもらうと、すごく楽しそうだなと思うんです。私も自分が好きなことが前より見えてきたので、大人になっていくことがとても楽しみです。周囲の影響は大きいですね。

――30歳までのあと数年をどのように過ごしたいですか?チャレンジしたいことなどありますか?

福地: 色んなところに出かけたいです。東京育ちなので、知らない場所もたくさんあるのですが、仕事で地方に行く機会もあるので、その土地を知りたいなって思います。一生で一度しか行けないところもあるし、人生のうちでは回り切れないかもしれないけど、国内外問わず、その場所の美味しいものを食べたいですね。友達とも思い出をもっと作っていけたらなと思っています。学生時代からの友人たちとは今も集まっています。天気がよかったら大きめの公園でピクニックをしたり、バドミントンをしたり。私は自分からマメに友人に連絡する方ではないのですが、その集まりのことを考えるのは大好きで。友達と話すといつも「あれからもう何年も経ったなんて信じられないね」って会話になるんです。そうやって思い出話が増えていくのも、大人になる楽しみなのかもしれませんね。

福地桃子さん、連ドラ2本に出演中。役と自分との共通点を探して 【画像】福地桃子さんの撮り下ろし写真

●福地桃子(ふくち・ももこ)さんのプロフィール

1997年生まれ、東京都出身。2019年、連続テレビ小説『なつぞら』に夕見子役で出演。2022年は映画『あの娘は知らない』(井樫彩監督)、『サバカン SABAKAN』(金沢知樹監督)、ドラマ『消しゴムをくれた女子を好きになった』(日本テレビ)、『鎌倉殿の13人』などに出演。2023年はドラマ『舞妓さんちのまかないさん』(Netflixシリーズ)、『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ)に出演している。今後も複数の映像作品に出演予定。

■日本テレビ『それってパクリじゃないですか?』

出演:芳根京子、重岡大毅(ジャニーズWEST)、渡辺大知、福地桃子、朝倉あき、野間口徹、ともさかりえ、田辺誠一、常盤貴子ほか
脚本:丑尾健太郎、佃良太
製作著作:日本テレビ
制作協力:AX-ON、アバンズゲート
毎週水曜夜10:00~

■NHKプレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

出演:河合優実、坂井真紀、吉田葵、福地桃子、奥野瑛太/林遣都、古舘寛治、山田真歩/錦戸亮、美保純ほか
原作:岸田奈美
脚本・演出:大九明子
脚本:市之瀬浩子、鈴木史子
制作統括:坂部康二(NHK エンタープライズ)伊藤太一(AOI Pro.)訓覇圭(NHK)
毎週日曜夜10:00~10:50(BSプレミアム・BS4K)

携帯向け音楽配信事業にて社内SE、マーケティング業務に従事した後、妊娠・出産を機にフリーライターに転向。 映画とお酒と化粧品が好き。
2007年来日。芸術学部写真学科卒業後、出版社カメラマンとして勤務。2014年からフリーランス。