【連載#5:松村未央の毎日が末広がり】夫(陣内智則さん)のライブを初めて見た4歳娘の反応は

報道番組などを担当するフジテレビアナウンサーの松村未央さんは、2017年にタレントの陣内智則さんと結婚。翌年に第1子となる女児を出産しました。夫の陣内さんとの夫婦の関係や、キャリアと家事・育児の両立――。松村さんが日々、感じたり、考えたりしていることを率直に語るコラムを、毎月第4土曜日にお届け。今回は連休中の家族時間や、これまでの仕事でのターニングポイントについて語ります。
【連載#4:松村未央の毎日が末広がり】娘がボケて夫(陣内智則さん)がツッコむ我が家。将来はお笑いタレント、それとも…

GW中のパワーチャージは家族時間

今月はゴールデンウィーク(GW)がありましたね。皆さんはどう過ごされましたか。我が家はGW後半、兵庫県の加古川で夫の凱旋(がいせん)ライブがあり、私も休みだったので、4歳の娘と一緒について行きました。

新幹線で3時間ぐらいかかるので、どうやって過ごすのかが毎回の課題。娘は案の定、乗って間もなく、「まだなの?」と言い出したのですが、塗り絵や折り紙、大量のお菓子を持ち込み、子供が好きな動画を時折見せたりしながら、夫とあの手この手で、乗り切りました。

到着した翌日が、ライブの日。娘はパパの舞台を見るのが初めてだったので、どんな反応かなと思ってドキドキしていたのですが、パパが出てくると、前のめりになってちゃんと見ていました。笑いどころでちゃんと笑って。

ネタが一つ終わったら、「パパ、優勝!」って言うんです。実はその前日、夫の実家に置いてあったお笑い賞レースのトロフィーを見て、「何これ?」と聞かれたので、「パパが面白かったから優勝して、もらったんだよ」と教えていたんです。それを覚えていたみたい。娘が楽しんでいるのを見て、私も感激しちゃいました。お昼と夕方の一日2公演だったのですが、娘も最後まで楽しんでくれたようです。

夫の家族や親戚一同、友達もたくさん来てくれて、夫にとっては本当にホームに帰ってきた、というライブ。夜は夫の同級生たちと一緒に食事に行ったのですが、15人ぐらい集まってくれて同窓会のようになりました。地元を大切に、今でもお付き合いを大事にしていていいな、と思いましたね。

GW中、私も仕事はちょこちょこ入っていたのですが、久しぶりにライブを見られて、娘にも見せることができて、すごくいい過ごし方をしたなと思います。だいぶパワーチャージできました。

失敗の経験があるからこそ

春に大きく環境が変わる人も多いからでしょうか、「五月病」という言葉がありますよね。いろいろと悩むことも多い時期かもしれませんが、私も仕事ではこれまで挫折ばかりでした。

「やってられない。やめてやる!」と思ったこともあります。それはたぶん周りには言わなくても、みんな思うことはあるんじゃないでしょうか。本当にやりたいことができる人はきっと一握り。だから気持ちの持って行き方が大事なんですよね。私はあまり人をライバル視はしないタイプですが、比較はしますし、劣等感が生まれることもありました。後輩がどんどん入ってくるし、後輩の方が先に番組につくということもある。でもそれってタイミングもあるから仕方がないし、今の自分の立ち位置を理解し、受け入れて現状でがんばる。年々それができるようになって、自分も楽になりました。

一番大変だったのはやっぱり入社1、2年目。仕事自体は楽しかったのですが、不規則な生活に体が慣れなくて大変でした。私は1年目で、早朝番組の「めざにゅ~」と、深夜番組の「すぽると!」に、曜日別で同時についたんです。日によってスケジュールが全然違って、午前1時過ぎに起きる日もあれば、逆に2時、3時に寝る日もある。朝の番組が終わった後もロケに出たり、バラエティー番組の収録をしたり。生放送中でもふわふわするくらい、常に時差ボケ状態で仕事していました。若かったからできたというのもありますし、昔からわりと体力はある方なので、なんとか乗り切れました。

自分が下手で落ち込むことも多かったです。例えば「すぽると!」の番組内で、取材の感想を十数秒で伝えないといけない。もちろん生放送前にはたくさん練習するのですが、時間がない中で話さないといけないので、焦って頭が真っ白になってしまうんです。練習ではできるのになんで本番ではできないんだろうと、終わった後は悔しくて。次のオンエアで挽回(ばんかい)しよう、と思うしかなかったです。

でもそういう経験があるからこそ、二度と同じ失敗はしない、と思える。やっぱり失敗も経験で、何かしら気づきがありますよね。いまだに色々失敗はありますが、次は絶対にしない、と切り替えて進んでいこうと、いつも思っています。

夫の言葉が背中を押した

仕事上のターニングポイントといえば、ずっと目標にしていたオリンピック取材を入社5年目で経験した後、スポーツ担当を離れて報道に挑戦したタイミングですね。私はスポーツの現場が大好きで、できればずっとスポーツに携わっていたかったんです。スポーツへの思いが強すぎて、なかなか新しい環境に前向きにはなれませんでした。

結婚前から夫にはよく仕事のことを相談していたのですが、このときもそばでずっと見ていた夫が、「目の前にある仕事を頑張っていたら、将来的に必ずやりたい仕事ができるよ」と言ってくれました。夫は仕事がない時期もあったので、そういう経験からの言葉なんですよね。私がどんなにマイナスなことを言っても、嫌な顔一つせず聞いてくれて、何かプラスの方向に励ましてくれる。そこはすごいなと思います。その時に投げ出さないでよかったなと、今となっては思っています。今は、自分の仕事を丁寧にしていれば必ず機会は巡ってくると思うようになりました。

スポーツの後に担当したのはBSフジの「プライムニュース」。新しいことも学びました。プライムニュースは一つのテーマを2時間かけてじっくり掘り下げる番組なので、オンエアに向けて、過去の新聞や映画、関連本なども調べて準備します。全てが新鮮で勉強になりました。

「当たり前」を積み重ねて

私の強みは、どこに行ってもわりと順応できること。報道でもバラエティーでも、代行を頼まれることが多いのですが、すっとなじめるタイプなんです。「違和感なかった」とよく言われます。逆に言うとあんまり爪痕が残せないんですけど(笑)。どんなジャンルの仕事が来ても今は全然バタバタしない。それも全て経験がそうさせてくれたと思います。

昔から強みだと言われてきたのは「笑顔」。入社間もない頃は真顔でニュースを読んでいるつもりでも常に口角が上がっているように見えると言われ、悩みでもあったのですが、表情もニュースの温度感を伝える上で大切なものですよね。報道は難しい場面も多いですが、周りからは向いているとも言われます。

今も時間があると番組の録画を見て、反省点を見つけます。私が担当しているニュース読みやナレーション読みは、視聴者の方により良く伝えるために間違えないで読むのが当たり前。常に100点を求められるというプレッシャーと闘っているので、当たり前のことでも、無事に終わると「今日もできてよかった」とほっとする。そうやって日々の仕事に向き合っています。

【連載#4:松村未央の毎日が末広がり】娘がボケて夫(陣内智則さん)がツッコむ我が家。将来はお笑いタレント、それとも…
横浜市出身。慶応大学法学部卒業後の2009年、フジテレビに入社。現在は「めざましどようび」内のニュース、「FNN Live News days」(土曜)、「めざまし8(ナレーション)」などに出演している。趣味はテニスやゴルフ、カフェ巡りなど
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。