内田有紀さん、ドラマ「フィクサー」で唐沢寿明さんと共演 「どれだけ高め合えるか」

世の中を操るフィクサーを主人公に、3Seasonにわたって展開するサスペンス「連続ドラマW フィクサー」(脚本・井上由美子)の放送・配信が、4月23日から始まります。唐沢寿明さん演じる主役のフィクサーと協力関係にある、報道番組のキャスター玲子を演じるのは内田有紀さん。井上脚本の魅力や作品について、お話をうかがいました。
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強さだけでなく、もろい部分もあるからこそ

――行動的ながら、どこか影がある人気キャスターの沢村玲子を演じられます。

内田有紀(以下、内田): 私とは全然似ていないですね。玲子の打算的で野心家の部分は勉強になりました。彼女には自分が生きていく上で、手にしたいものを必ず手に入れてやるという強い思いがある。ただ、これはドラマ。現実世界で玲子のように生きると、いい運命をたどらない、と私は感じます。演じることによって玲子のたくましさが、私の人生の刺激にはなりました。そんな玲子も物語が進むにつれ、可愛いところが出てくる。単純に強いだけではなく、もろい部分も持っているからこそ、人気キャスターになることができたのだと思います。

――WOWOWのドラマには以前から頻繁に出演されています。「フィクサー」のオファーがあったときは、どのように感じられましたか。

内田: 上川隆也さんが主演の「真犯人」(2018)が初の出演でしたが、それより前から個人的にWOWOWドラマのファン。社会派なドラマが多くて、映像も重厚で骨太な作りになっているので、見応えがあると思っていました。人間の汚い部分や、もろい部分、危うい部分だったりを描いていて、あぶり出していく作品がとても多いですよね。「引き抜き屋」「華麗なる一族」とコンスタントにWOWOWのドラマに出演させていただいていく中で感じるのが、練りに練られた脚本に出会えることと、プロフェッショナルなスタッフの方たちと組める喜びです。

――「フィクサー」は井上由美子さんが脚本で主演が唐沢寿明さん。西田敏行さんも重要な役で出演されます。同じ脚本家とキャストだった03年の「白い巨塔」(フジ系)を思い出す人もいると思います。"井上脚本"についてはいかがですか。

内田: 私は初めてですが、井上さんが脚本を書かれたフジ系の「タブロイド」(1998)というドラマが大好きでした。タブロイド紙の女性記者と、その記者が追う事件の犯人かも知れない男性との恋愛や、世の中を少し斜めから見るタブロイド紙の世界を描く作品は、社会派で骨太なのにポップで。井上脚本のマジックがその頃から好きで、お仕事できたらいいなと思っていたので、今回はとても嬉しかったです。

――「フィクサー」は、総理大臣を乗せた車が事故に遭うことをきっかけに様々な権力争いが起きたり、権謀術数があったり。その中で、それぞれの人物の姿が浮き彫りになっていきます。

内田: 今回の作品は主な出演者全員にスポットが当たります。最近の日本の作品では、こうした作品に出会いづらくなったと感じていた矢先でした。それぞれの人物像が丁寧に描かれることで、物語自体に深みを与えている印象です。
「フィクサー」というタイトル自体も強い。私も色んなニュースに接する中で、「あれ、これって何か裏の力が働いているのでは?」と思うことがありますから。

――表層だけでは納得できないことが多い?

内田: 私達の知らないところで空中戦が行われていたり、想像だにしない事が起きていたりするのだろうと……。今作は脚本の井上さんとプロデューサーが、そこにメスを入れて抉(えぐ)ろうとしているんです。脚本を読んで、切り口がとても魅力的で鮮やかだと思いましたし、作品に早く参加したいという気持ちにもなりました。しかも、監督の西浦正記さんが、その脚本をもとに深く深く演出してくださる。撮影に入ってから唐沢さんとも「しっかり演出してくださる方と出会えてとても貴重」と話すくらい。今回の組み合わせは最強だと思います。

笑う人の裏には、泣いている人も

――現場の雰囲気はいかがですか?

内田: 大量の台詞と向き合っている方が多く、現場で違う話をする余裕があまり無くて。粛々と、みなさんが自分の与えられた芝居のプランだったり、進め方だったりを考えておられる。腕を磨き合って、本番までにどれだけ高め合えるかを競っている雰囲気が漂う現場です。

――4月23日から放送・配信が開始されるのは、「フィクサー」のSeason1。今後Season3まで予定されています。改めて見どころを教えてください。

内田: 大きな舞台で華やかに活躍する人の下には、犠牲がある。笑う人の裏には、泣いている人もいるという。その部分が、スピード感を持って描かれています。
Season1については総理を殺そうとした犯人は誰か、という要素もあります。様々な思惑が渦巻く中で、唐沢さん演じるフィクサーの拳一が、犠牲になっている人たちの悲しみや叫びを、どのように受け止めていくのか――。拳一は不思議な人で、ただの冷酷な人間ではない。人間味のある黒幕って一体?という部分も興味深い。私が演じる玲子も含めて、それぞれのキャラクターに自分を投影できる作品でもあります。自分が共感できるドラマのシーンや人物を探して、楽しんでいただければ嬉しいですね。

※写真はすべて、WOWOW提供

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●内田有紀(うちだ・ゆき)さんのプロフィール

1975年生まれ、東京都出身。92年の「その時、ハートは盗まれた」(フジ系)で俳優デビュー。94年には「時をかける少女」で主演を務めるとともにシングル「TENCAを取ろう!~内田の野望~」で歌手デビューした。主な出演作に『踊る大捜査線』シリーズ(フジ系)や『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレ朝系)、NHK連続テレビ小説「まんぷく」などがある。

■WOWOW『連続ドラマW フィクサー Season1』

WOWOWプライム・WOWOW4K/WOWOWオンデマンド
2023年4月23日(日)放送・配信スタート
放送:毎週日曜午後10時~/配信:各月の初回放送終了後、同月放送分を配信
監督:西浦正記
脚本:井上由美子
出演:唐沢寿明、藤木直人、町田啓太、小泉孝太郎 / 西田敏行(特別出演) / 内田有紀、小林薫ほか

ハイボールと阪神タイガースを愛するアラフォーおひとりさま。神戸で生まれ育ち、学生時代は高知、千葉、名古屋と国内を転々……。雑誌で週刊朝日とAERA、新聞では文化部と社会部などを経験し、現在telling,編集部。20年以上の1人暮らしを経て、そろそろ限界を感じています。

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