元TBSアナ・堀井美香さん、後輩・安住紳一郎アナ、 先輩・久米宏さんから体得した意外なコト

現在はフリーアナウンサーとして活動中の堀井美香さんは、2022年にTBSを退社。その前後の目まぐるしく移り変わる日々の出来事を中心に綴ったエッセイ『一旦、退社。50歳からの独立日記』(大和書房)を出版しました。そんな堀井さんに心がけていたことや、大切にしていることなどについて、聞きました。
堀井美香さん、TBSを50歳で退職。初エッセイで大幅に削った「幸せ」の記述 【画像】堀井美香さんの撮り下ろし写真

──『一旦、退社。50歳からの独立日記』(大和書房)には、TBSへの最後の出社日に、安住紳一郎アナを中心に、たくさんの後輩が堀井さんのために集まった話が書かれています。

堀井美香さん(以下、堀井): そうなんです。みんな忙しいのに集まってくれて……。

──安住さんについて書かれていたエッセイが印象的でした。堀井さんと安住さんは、どんな関係だったのでしょうか。

堀井: 2年下の後輩ですけど彼がいることで、あらゆることがおもしろくなっていくし、いろんな視点を与えてくれましたね。

よく怒られたり、助けられたりもしていました。彼は私の仕事をチェックしていて、「堀井さん、この前のフリートークとリポートは、こうしたらよかったのかも」といった技術的なアドバイスをもらったことも度々。顔にシワを寄せる私のクセが出ているのを見つけて、「ほら、また寄せた! なんで寄せるんですか」って言われたこともありました。

後輩ですけど彼はもはや、私の師匠ですね。他の先輩にはアドバイスをしなかったかもしれないですけど・・・・・・(笑)。でも、安住くんが言うことはすべて正解。素直に受け止められました。

TBSへ入社が決まるも、地元・秋田に系列局はなく…

──27年勤めたTBSについての思いは?

堀井: 今の私の90%近くがTBSでできている、と言えますね。関わっている人や培ってきたスキル、ほかにも世の中の役に立とうと思う根拠のない力もTBSからもらいました。

夫も同期ですからね。TBSが無ければ、子どもとも出会えなかった――。

──TBSに入社を決めた理由は?

堀井: 理由なんて全然ありません。1番目に受けたフジテレビに最終あたりで落ちてしまい、次に受けて、内定が出たのがTBSだったから(笑)。

ただ、地元の秋田県にはTBS系列の放送局がなくて。内定を両親に報告したときは、「それはどこ? そんなことより早く家に帰って来なさい」と言われたくらい。

久米さんとの共演でしていた「黙っておくための勉強」

──2009年春から20年6月の番組終了まで、「久米宏 ラジオなんですけど」に出演されていました。意識していたことは?

堀井: 最初の打ち合わせで、「これは久米さんの番組なので、堀井は喋らなくていいからね」とスタッフに言われました。だから私がやることは、とにかくテーマについて勉強すること。その勉強とは、久米さんが話しそうなことを、私が先に言わないため。つまり、黙っておくための勉強ですね。

──著書には、折に触れて久米さんを食事に誘っている、という話が載っていました。

堀井: はい、でもまだ久米さんとの会は叶っていません。あまり誘いすぎると本気で嫌がられるんじゃないかと思って、いいタイミングを狙っているところです。

メールのやりとりは定期的にさせていただけるのに、内容が食事になると、返ってこないんです。他の内容に食事のことを足して送っても、食事の箇所については絶対にスルーされてしまう。

久米さんに私の本をお贈りしたときも、「届いたよ」とメールが来たので、チャンス! と思って、「……ということで、どこかでご飯でもいかがでしょう?」とご返信したのですが、そのあとの連絡はなくて。私とご飯に行くのが、よっぽど嫌みたいです(笑)。でも、絶対に行きたい。2023年の目標にしています!

50歳になったら花と鯉を愛でていると…

──2020年10月に配信をスタートした、ジェーン・スーさんとのPodcast番組「OVER THE SUN」も人気です。

堀井: いろんな方から「聞いてます」と言っていただくのですが……。「本当にすみません、みなさん時間を無駄にしないでくださいね」と思っています。

この番組は、どう考えても仕事じゃないですね。間合いとか相槌のタイミングとか、ジェーン・スーも私も、配分などを一切気にしたことがない。ただただ、おばさんが喋っている時間です(笑)。

お互いにかぶせて話すから、聞きにくいし、一方がいいことを言おうしているのに遮るし、叫ぶ。ガハガハ笑いもするし。そんな感じです(笑)。

──50歳で会社員を卒業されるという決断をされました。telling,読者からは「29歳や39歳という節目は・・・」といった年齢を重ねることへの不安の声も聞こえてきます。堀井さんは年齢とどう向き合っていますか?

堀井: 今となれば、29歳も39歳も関係ないよ、何歳からでも出発できるよって言えちゃいますけど、当時は私も切羽詰まっていました。「今、キャリアを積んだり、ライフイベントを重ねたりしないと、どうなっちゃうんだろう」と思って、毎日必死だった。

現在は尊敬する年上の方を見ているからか、年齢を重ねることに悲観も焦りもないですね。できれば早く、60歳や70歳になりたいと思っているほど。その年代のゆっくりとした生活に憧れがあるんですよ。

でも、将来はわからないですから。若い頃は、自分が50歳になったら花と鯉を愛でていると思っていたけど、そうなってないですから(笑)。

堀井美香さん、TBSを50歳で退職。初エッセイで大幅に削った「幸せ」の記述 【画像】堀井美香さんの撮り下ろし写真

堀井美香(ほりい・みか)さんのプロフィール

1972年生まれ、秋田県出身。法政大学法学部を卒業後、1995年にTBS入社。2022年3月にTBSテレビを退社し、現在はフリーで活動中。TBS時代は『久米宏 ラジオなんですけど』のパーソナリティを10年務めた。現在は人気ポッドキャスト「OVER THE SUN」のパーソナリティとしても活躍中。

『一旦、退社。50歳からの独立日記』

著者:堀井美香
出版社:大和書房
定価:1,650円(税込)

編集・ライター。ウェルネス&ビューティー、ライフスタイル、キャリア系などの複数媒体で副編集長職をつとめて独立。ウェブ編集者歴は12年以上。パーソナルカラー診断と顔診断を東京でおこなうイメージコンサルタントでもある。
1989年東京生まれ、神奈川育ち。写真学校卒業後、出版社カメラマンとして勤務。現在フリーランス。

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