三浦透子さん、「そばかす」で初の単独主演。“当たり前”や“常識”に違和感を覚えていた

これまで一度も恋愛感情を抱いたことがない。男性が苦手なわけでも女性が好きなわけでもない。そんな私をまわりは――。12月16日から全国公開の映画「そばかす」で、そんな主人公・蘇畑佳純(そばた・かすみ)を演じた俳優の三浦透子さんに、映画の見どころについて聞きました。
三浦透子さん、「悩む時間ってすごくいい。確実に先に進んでいるから」

みんなの「わかる」がわからないことも

──「そばかす」出演のオファーがあったときは、どのように感じられましたか。

三浦透子さん(以下、三浦): いま私は26歳なのですが、一般的にイメージされる“26歳の女性像”に当てはめられることに、そもそも違和感を覚えていたんですね。これまで当たり前や常識とされるものに対して、難しさを感じたこともある人生だったので、「自分が救われる話」だと思って、作品に参加したいと思いました。

──どんな「違和感」がありましたか。

三浦: 「若い女性は恋愛するのが好きだよね」と言われたり、男性と女性が一緒にいると「2人は付き合っているの?」と聞かれたり・・・・・・。それ以外の形の関係もあると思うし、みんなが「わかる!」と共感していることを、私はわからないと感じることもありました。

でも、自分がマイノリティなのではと感じる場面に出くわすことは、多くの人にとって決して珍しいことではないとも思います。感じたことがない人の方が少ないんじゃないかな。

“悩むこと”は強さでもある

──人に恋愛感情を抱くことがない30歳になった佳純の周りでは、恋愛や結婚の話題が飛び交い、合コンやお見合いなどの出会いの機会も訪れます。佳純の住む海辺の地方都市では、女性は結婚するのが当たり前という空気も厳然とあります。
そんな環境で生きる佳純を演じられていかがでしたか。

三浦: この映画は、彼女の成長物語でもあります。最初は、恋愛感情のない自分を理解してもらうことを諦めていた佳純が、まわりとの葛藤を経て変わっていく姿を描いている。

私は佳純が悩んでいること自体に、彼女の強さをとても感じました。自分と向き合い、どういう人かということを考えているからこそ、悩めると思ったんです。

──三浦さんと佳純の共通点はありますか。

三浦: 「言いたいことがちゃんとあって、それを言語化する能力もあるのに言わないところが似ている」と、(玉田真也)監督が言っていたと聞きました(笑)。

私は佳純のことを「言語化できる人だ」と思いますけど、私は自分が言語化できているとは思いません。たぶん、佳純も自分ではそう思っていないんじゃないかと考えると、そこもまた似ているところなのかな。

主題歌では核にある気持ちを…

──東京でセクシー女優として活躍していた同級生の世永真帆役を前田敦子さん、母親役を坂井真紀さんが演じられています。撮影現場はどんな雰囲気でしたか。

三浦: 別れが寂しくなるような、とても充実した時間をおひとりずつと過ごすことができました。

今回の撮影はワンシーンをワンカットで撮ることが多かったので、綿密にリハーサルをしていたんですね。私は結構細かいタイプですが、疑問があっても丁寧に解消することができましたし。
完成した映画を観て、すごくリアルな日常の瞬間を重ねられたと思いましたし、とても風通しのいい現場でした。恵まれていました。

──映画の主題歌の「風になれ」も歌われていますね。どのような思いを込めましたか。

三浦: 一貫して、男性性や女性性、大人と子どもなどといった、はっきりと分けてしまうような表現はせず、その狭間にあることやボーダーレスなものを意識しています。

主題歌のお話があったときに、いままで大切にしてきた私の核にある気持ちとひと続きで作れると思って、お引き受けしました。ちゃんと自分の曲として自然に歌えると思ったことが大きかったですね。映画のエンディングで流れますが、はじまりの歌でもあると思います。

「言葉をちゃんと聞いて向き合いたい」

──この映画を経験して、考え方や価値観は変わりましたか。

三浦: 何かが変わったというよりは、これまでずっと大切にしたいと思っていた価値観と、改めて向き合うことができました。

相手を知るためにはイメージを当てはめるのではなくて、その人の言葉をちゃんと聞いて向き合いたいですし、私自身、そう心がけて生きてきたつもりです。それを改めて大切にしたいし、忘れたくないと思いましたね。

三浦透子さん、「悩む時間ってすごくいい。確実に先に進んでいるから」

三浦透子(みうら・とうこ)さんのプロフィール

1996年生まれ、北海道出身。5歳の時にSUNTORY「なっちゃん」のCMでデビュー。その後、映画やドラマなどで女優として活躍。ヒロインを務めた映画『ドライブ・マイ・カー』(2021)はアカデミー賞国際長編映画賞に選ばれ、話題を呼んだ。その後もNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(2021)や大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、「エルピス−希望、あるいは災い−」(カンテレ制作・フジ系)など話題作へ出演。

そばかす

監督:玉田真也
企画・原作・脚本:アサダアツシ
出演:三浦透子、前田敦子、伊藤万理華、伊島空、前原滉、前原瑞樹、浅野千鶴、北村匠海(友情出演)、田島令子、坂井真紀、三宅弘城ほか
©2022「そばかす」製作委員会

1983年生まれ。出版社勤務を経て、2008年 フリーランスフォトグラファーに。「温度が伝わる写真」を目指し、主に雑誌・書籍・web媒体での撮影を行う。
編集・ライター。ヘルスケア、ライフスタイル、キャリア系媒体などを経て、ウェブ編集者歴は10数年。現在は、ビューティや女性の健康にまつわるテーマを中心に取材・執筆。「心も体もすこやかに」をモットーに、日々アンテナを張っています。