大西礼芳さん、「動くことで状況が変わり、違う見え方も手に入れられる」
常に今が最も若い
――大西さんは6月に32歳になられました。30歳を前に、結婚やキャリアなどについて焦ることは「29歳問題」とも言われます。そんな思いを感じたことはありますか?
大西: 29歳から30歳になるときは正直、20代が終わってしまう淋しさがありました。
でも、年齢について考えすぎても仕方がないと考えるようになりました。時間が過ぎていく中で、常に今が最も若いんですから。
――年齢を重ねる良さは?
大西: 私も大学生の頃はちょっと、とんがっていたんです。でも年を重ねるうちに当時、疎遠だった友人たちとも仲間意識が芽生えてきて、再び仲良くできるようになりました。今では10人くらいでグループLINEをつくって、会話をしたり、集まって話したり、相談をし合ったりしています。お互いに支え合う関係性になれて、うれしいですね。
私は10代の頃に意識していなかった大切な存在に気づくことができました。こうした経験ができることが、年齢を重ねる良さだと感じています。
楽しい語学の習得
――どのように年齢を重ねていきたいですか。
大西: 年齢を重ねても、知らない世界に対する好奇心を持ち、勉強を続けていたい。
それに私は様々なことが“できるようになる”ことが好きなんです。例えば中学・高校などの時期に吹いてきたサックス。ブランクはありましたが、練習して舞台「守銭奴」で演奏できるまでになりました。絵を描くことが好きだった私は最近、Instagramで漫画を投稿するようにもなりました。
語学を習得するのも楽しいですね。最近はオンラインで英会話を習っています。
舞台「守銭奴」の演出のプルカレーテさんが話すのはフランス語。だから稽古ではフランス語が飛び交っていて。「音が面白い」と感じたので、今度はフランス語を習い始めたいな、と――。
“幸せ”の決まりはない
――チャレンジ精神旺盛な大西さんですが、お芝居で今後挑戦したいことはありますか。
大西: 時代劇に出演したいですね。私が子どもの頃は、「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」など、今よりもっと時代劇が身近でした。最近は少なくなっているので、日本の大切な文化を残していきたいという思いがあります。着物で演じる時代劇は、身のこなしも通常の芝居とは違う。日本舞踊の経験も私はあるので、生かせればいいなと考えています。
――大西さんは様々なチャレンジを続けておられます。一方でtelling,読者の同世代の女性の中には「一歩を踏み出せない」という人もいます。
大西: 踏み出せないのは、自信がないからでしょうか。
その気持ちは私もわかるんですよね。オンライン英会話を始める前にも実は、英会話は勉強していたんです。でも、それは座学で、机に座って1人で読んだり、書いたりしていただけ。「文法を間違えたくないな」とか「全然上手に発音できない」という思いがあって、誰とも会話していませんでした。どこか完璧主義的な発想があったんだと思います。もちろん、そんなやり方で英語が話せるようになるわけもなく……。
オンライン英会話を始めてからは毎日、フィリピンの先生と会話をしています。最初は短いセンテンスからでしたが、自分の頭の中にあるモノを人に話し始めたらどんどん――。話すことに関して、急激に進歩しましたし、自分の中での発見もありました。
だから、物理的に行動に起こすことをおすすめします。動くことで状況が変わり、これまでとはまったく違う見え方も手に入れられますから。
しかも“幸せ”の決まりはない。世の中の常識や世間の目にとらわれず、みなさんが、自身の幸せを見つけられればいいな、と思います。
●大西礼芳(おおにし・あやか)さんのプロフィール
1990年生まれ、三重県出身。京都造形芸術大学映画学科在学中の2006年、同学科のプロジェクトで、高橋伴明監督の「MADE IN JAPAN 〜こらッ!〜」で主演を務める。現在は、映画、ドラマ、舞台などで幅広く活動。主な出演作に、映画「花と雨」「菊とギロチン」・「MIRRORLIAR FILMS Season 4『バイバイ』」「夜明けまでバス停で」、ドラマ「半分青い」(NHK朝の連続テレビ小説)、「競争の番人」(フジ系)などがある。
2022年11月23日(水・祝)~12月11日(日)東京芸術劇場 プレイハウス
宮城・大阪・高知で公演あり
作:モリエール
翻訳:秋山伸子
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
出演:佐々木蔵之介、加治将樹、竹内將人、大西礼芳、天野はな、茂手木桜子
菊池銀河、安東信助、長谷川朝晴、阿南健治、手塚とおる、壤晴彦
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