大西礼芳さん、舞台「守銭奴」に出演「演出が想像を超えていて、稽古が楽しい」

ドラマや映画で活躍中の俳優・大西礼芳(あやか)さんは、11月23日からの東京公演を皮切りに宮城・大阪・高知でも上演される舞台「守銭奴 ザ・マネー・クレイジー」に出演。主演の佐々木蔵之介さん演じる極度のドケチ親父アルパゴンの娘、エリーズを演じます。今回は歌や楽器にも挑戦するという大西さんに共演者の印象や、見どころなどについて聞きました。
【画像】大西礼芳さんの撮り下ろし写真 大西礼芳さん、「動くことで状況が変わり、違う見え方も手に入れられる」

素晴らしい方々と一緒に舞台を作っていける

――この舞台に出演されるきっかけは?

大西礼芳さん(以下、大西): 今回、演出を務めるシルヴィウ・プルカレーテさんの過去の舞台を映像で見て「絶対に参加したい!」と思い、オーディションを受けました。オーディションで台本の一部を読んだり、歌ったり、楽器を演奏したりと、課題は盛りだくさんでした。
演奏したのは、サックス。中学、高校と吹奏楽部に所属し、その後も市民バンドでサックスを吹いていました。ブランクはあり、自信はなかったのですが、「上手に吹く必要はない」と言っていただいたので、安心できました。

――そして、主役の極度の倹約家・アルパゴンの娘、エリ―ズを演じることになりました。

大西: プルカレーテさんはもちろん、音楽監督のヴァシル・シリーさんなど海外で演劇に携わる素晴らしい方々と一緒に舞台を作っていけることが、最高にうれしいです。

共演の二人は“思い出深い舞台に出演”

――ドラマや映画など、映像作品への出演が多い印象があります。舞台との違いはありますか。

大西: 私は子どもの頃から人に笑ってもらうことがすごく好きで、舞台でお客様の反応を直接、感じられてうれしいです。
演じる上でも舞台と映像作品は、まったく違うものだと感じています。芝居の仕方も、声の大きさも、舞台用にチューニングが必要。しっかり稽古をして本番までに作り上げていきたいと思っています。
キャリアも年齢も活動範囲も違う出演者らが、みんなで集まって、試行錯誤しながら、一緒に一つひとつを積み重ねていくという作業が、とても楽しいので、私は舞台の稽古が好きですね。

――主演は佐々木蔵之介さんです。大西さんが演じるエリーズの父・アルパゴンを演じます。

大西: 蔵之介さんとは初めての共演になりますが、同じ関西出身なので、距離の近さを感じています。はじめから一歩近づけていたような感覚だし、言葉の響きが同じなので、娘役を演じやすいです。

実は、私が初めて買った舞台のDVDが三谷幸喜さんの「VAMP SHOW」(2001年)。この作品に蔵之介さんと、アルパゴン家の召使役を演じる手塚とおるさんが出演されているんです。私にとって思い出深い舞台に出演されていたお二人と一緒に芝居を作れるなんて、夢のようです。

――蔵之介さんはどんな方ですか?

大西: 蔵之介さんはお金に執着する“守銭奴”の役ですが、実際にはサンタクロースみたい。いつも出演者のことを気遣って、ミカンやバナナ、個包装のケーキなどの差し入れを持って来てくださいます。コミュニケーションも、すごくフラットに取ってくれます。

守銭奴の父親に振り回されて、私が演じるエリーズが、つらい思いをしているのは確かなのですが、その父親を演じるのが蔵之介さん。それもあって父を100%軽蔑して突き放すわけではなく、娘として立てる気持ちも忘れずに演じたいと強く思っています。
2つの感情が介在することは人間にとって自然なことだけど、お芝居になると忘れがち。そういった思いも大切にしてエリ―ズ役に取り組めればと考えています。

サックスの練習のため、誰より早く稽古場に!

――エリ―ズはどんな役なのでしょうか。

大西: 恋愛面では家族に内緒で執事と愛を育んでいる一方、自分の悩みをあまり表には出さない女性です。兄の悩みを聞いて励ましたり、間に立って関係を円滑にする“母親的”な役割を担ったりしています。感情が強く揺れ動く男性たちに対し、彼女はずっと笛を吹き、音階の練習を繰り返している。そこにエリ―ズの粘り強さや安定感のようなものを感じています。

――大西さんとエリ―ズの共通点はありますか?

大西: 楽器の練習が好きなことでしょうか。実は、オーディションで吹いたサックスを本番でも演奏することになりました。だから今、誰よりも早く稽古場に行き、ひたすらサックスの練習をしています。

――改めて、今回の舞台「守銭奴 ザ・マネー・クレイジー」の見どころを教えてください。

大西: プルカレーテさんの演出が常に私たちの想像を超えていて、稽古が楽しいんです。しかもその演出は、突拍子もないことではなく、人の心がちゃんと動くセッティングになっていて面白いので、その演出もぜひ舞台で見てほしいです。
今回は1つの芝居の中に、音楽劇の要素もあります。突然歌が始まったり、バレエのような動きがあったりする自由さも含めて、楽しんでいただけたらと思います。

【画像】大西礼芳さんの撮り下ろし写真 大西礼芳さん、「動くことで状況が変わり、違う見え方も手に入れられる」

●大西礼芳(おおにし・あやか)さんのプロフィール

1990年生まれ。三重県出身。京都造形芸術大学映画学科在学中の2006年、同学科のプロジェクトで、高橋伴明監督の「MADE IN JAPAN 〜こらッ!〜」で主演を務める。現在は、映画、ドラマ、舞台などで幅広く活動。主な出演作に、映画「花と雨」「菊とギロチン」・「MIRRORLIAR FILMS Season 4『バイバイ』」「夜明けまでバス停で」、ドラマ「半分青い」(NHK朝の連続テレビ小説)、「競争の番人」(フジ系)などがある。

「守銭奴 ザ・マネー・クレイジー」

2022年11月23日(水・祝)~12月11日(日)東京芸術劇場 プレイハウス
宮城・大阪・高知で公演あり
作:モリエール 
翻訳:秋山伸子 
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
出演:佐々木蔵之介、加治将樹、竹内將人、大西礼芳、天野はな、茂手木桜子
菊池銀河、安東信助、長谷川朝晴、阿南健治、手塚とおる、壤晴彦

ライター/株式会社ライフメディア代表。福岡県北九州市生まれ。雑誌、WEB、書籍でインタビュー記事を中心に取材・執筆。女性のハッピーを模索し、30代はライフワークとしてひたすらシングルマザーに密着していました。人生の決断を応援するメディア「わたしの決断物語」を運営中。
カメラマン。1981年新潟生まれ。大学で社会学を学んだのち、写真の道へ。出版社の写真部勤務を経て2009年からフリーランス活動開始。