芳根京子さん「『べっぴんさん』は背中を押してもくれるし、引っ張ってもくれるし、叩いてもくれる」
国民的に愛されてる番組、出られたことがありがたい
――『べっぴんさん』では、戦後の焼け跡の中で、女性たちのために子供服づくりに打ち込むヒロイン・坂東すみれを演じました。
芳根京子さん(以下、芳根) :放送が終わった直後、別の撮影で学生役をやる機会があって、制服を着て街を歩きました。そのときに『べっぴんさん』を見てくれた人から、「すみれちゃん、どうして制服着てるの?」って声をかけられて(笑)。朝ドラって、本当に多くの人が親しみを持って見てくださっているんだなって、そのとき改めて感じました。
――朝ドラに出演してから4年、振り返ってみるといかがですか。
芳根 :色々な現場、特にバラエティ番組にお邪魔したときに、「朝ドラのヒロイン」って言ってもらえる。そういう肩書があることはすごくうれしいし、誇りに思います。同時に、プレッシャーも感じています。国民的に愛されている番組に出演することって、本当に夢のようで、ありがたくてうれしいこと。その分、ちゃんと乗り越えないといけない。『べっぴんさん』以上の“代表作”を、つくらないといけない。すごく高い壁というか、難しい試練を与えられている気がしています。
今後、芳根京子として結果を残していくことが、ヒロインに選んでくださった皆さんに対する恩返しになる。勝手にそう考えています。
だから、私にとって『べっぴんさん』は、「もっと頑張らないといけない」と思わせてくれる存在ですね。ふと、弱ってしまったときでも、「こんな風に、へたってらんない!」って気持ちにさせられる。「あれができたんだから、何でもできるだろう」とも。4年経った今でも、朝ドラは私の背中を押してもくれるし、引っ張ってもくれるし、叩いてもくれます。
――『べっぴんさん』出演で、“清純派”というイメージが付いたと思います。変えるために意識していることはあるのでしょうか?
芳根 :朝ドラに限らず、どの作品でも「違った顔を見せたい」と、常に意識しています。演じる役同士が似てしまわないよう、小さなギャップをつくるようにしていますね。「全然違う役だけど、どちらも芳根京子だったんだ」って思われることが、私の夢というか、目標。色々な役を演じて、振れ幅の大きい女優さんになりたい。
すみれ役と、今回演じた環菜役が「つながらない」って感じる人もいるかもしれないけれど、そういう人にこそ見てほしい。朝ドラが好きな人たちって、ヒロインのその後も見てくれているはず。「芳根京子ってこんな顔も持っているんです」というところを、お見せしたいですね。
人に恵まれているのが、唯一の自慢
――そんな芳根さんの、ご自身の好きなところを教えてください。
芳根 :自分の好きなところは、人に恵まれているところ。色々な人が気にかけてくれて、助けてくれるんです。それは私の唯一の自慢で、本当に幸せなこと。そういう人たちがいるから、何があっても、つぶれないでやって来られている。多くの人が気にしてくれているから、自分を大切にしないといけないと思っています。
ただ、頭が悪いことはコンプレックスです(笑)。もうちょっと賢くいたかった。台本を覚えるのも遅いし、他の人がサラッとできてしまうことに、時間がかかる。効率があまりよくないかもしれないです。もうちょっとテキパキできたらいいのにな。
――今後、女性としてどのように年を重ねていきたいですか?
芳根 :健康的に毎日楽しく過ごしたい。すごく普通のことだけど、大切にしています。健康でないと何もできないし、元気じゃないと笑えない。悩むことも嫌いじゃないんですけどね。
女優さんのお仕事って、色々な人生を生きることができます。それぞれの役のいいところを、少しずつ自分に取り入れるというか、盗めるところを盗んで、人生を豊かにしたい。そうやって、年を重ねるごとに魅力が増していくような女性になりたいです。
●芳根京子さんのプロフィール
1997年、東京都生まれ。2013年、ドラマ『ラスト・シンデレラ』(フジ系)で女優デビュー。映画『物置のピアノ』(14年)やドラマ『表参道高校合唱部!』(TBS系、15年)の主演を経て、16年のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のヒロインを演じた。土屋太鳳とダブル主演を務めた『累 -かさね-』と、『散り椿』(ともに18年)で、第42回日本アカデミー賞・新人俳優賞。
●『ファーストラヴ』
原作:島本理生「ファーストラヴ」(文春文庫刊)
監督:堤幸彦
出演:北川景子、中村倫也、芳根京子、窪塚洋介、板尾創路、石田法嗣、清原翔、高岡早紀、木村佳乃
配給:KADOKAWA
2月11日(木)公開