#ミレニアルズのモヤモヤ考察

「女子」って言葉、もう死語ですか?

働く女性たちを徹底研究している「博報堂キャリジョ研」のメンバーが、同世代のミレニアル女性たちのモヤモヤについて、熱い思いと豊富な分析資料をもとにあれこれ考えてみる連載です。第1回のテーマは「女子」。「女子」という言葉がたどった変遷をひもとき、令和の時代を生きる女性たちの姿を考察します。

●#ミレニアルズのモヤモヤ考察01 

女子力、女子会、オトナ女子…、最近「女子」という言葉はあんまり聞かなくなった気がしませんか?ここでは20年間の日本女性の歴史を振り返りながら、「女子」という言葉と、女性観の変遷をひもといていきます。

1990年代のアムラー時代を経て、2005年にはCanCamエビちゃん「モテ」ブーム。

バブル崩壊後の1990年代後半。そこは“アムラー”に象徴されるギャルの時代。男ウケなんて関係なく、ガングロに細い眉毛に、濃いマスカラとアイライン。男性に媚びることよりも、自分がやりたいようにやって、かっこよく目立ちたかった。
そして、2005年頃から雑誌「CanCam」発のエビちゃんブームが到来。ブランドバックにハイヒール。スカートでかわいいピンク色。数年前まで気恥ずかしくて言えなかった「モテたい」という言葉を、開き直って「モテたいって本音を表現すればいいじゃん!」と女性たちは潔かった。ここから「モテ」という言葉は一般用語になり、いまだに「モテメイク」「モテファッション」という言葉があるほど、日本のファッション史に大きな爪痕を残した。

sweet「オトナ女子」ブームで、「女子」に年齢が関係なくなった2010年

この頃、安室ちゃんがラブリーになって表紙を飾り、爆発的に売れたのが雑誌「sweet」。「オトナ女子」という言葉も誕生する。それまで「女子と名乗れるのは20代前半ぐらいまで」と思われていた。なぜなら昭和の時代に「クリスマスケーキ」という言葉があったから。(クリスマスケーキとは24日―24歳―までは価値があり、25日―25歳―には価値がなくなるという、今では考えられないセクハラな言葉)。しかし安室ちゃんが当時33歳でピンクの世界観にラブリーなメイクをして「オトナ女子」だという。世の女性たちに「女子に年齢って関係ないんだ!」という気づきを与えたのである。
以来、様々な雑誌で「女子」が使われるようになり、「女子って何歳までなんだ」論争も巻き起こる。
参考までに、いまの女性たちに聞いたみた。

Q.何歳までが「女子」だと思いますか?

「20代後半まで」を抑えて、「年齢なんて関係ない」という人が最も多い。
「花の命は短い」とか、「クリスマスケーキ」とか、女性の価値を年齢で区切る“男性目線”から解放された女性たちは、この間、年齢にとらわれない女性像をつくりあげたてきたのである。

「女子会プラン」に「女子力アップ」。女子という言葉が日本の消費を動かす

時を同じくして2010年には新語・流行語大賞に「女子会」が上がり、この言葉のおかげで、女性同士が「女子会をやろう」と集まりやすくなり、レストラン側は「女子会プラン」をつくるようになり、経済的な好スパイラルも起きた。

Q.女子会について

またその後に「女子力」という言葉も流行りだす。しっかりしているとか、気が利くときのほめ言葉として使われ、「女子力アップ」ができる商品が欲しいという購買行動も起きた。(この言葉には賛否両論がある。「女子力が高い」とほめると皮肉ととられたり、逆に「女子力が低い」と言うとセクハラにつながったりする負の面も。現在、「女子力」という言葉は徐々に死語になってきたのではないかと思う)

腐女子に、リケジョに、カープ女子。女子だっていろんな趣味嗜好をもってええじゃないか!

2015年頃から「腐女子」という言葉が一般的になり、カープ女子、サブカル女子、リケジョ(理系女子)、歴女、鉄子、山ガール、美ジョガーなど、これまで「男性的」と思われた趣味や分野を究め、楽しむ女性たちがいることが知られるようになった。本来なら趣味に性別は関係ないことだが、女性が自由に趣味を楽しめる世の中にやっとなったのだ。

世界的にファッションの流行もノームコア(シンプル)になり、ハイヒールよりスニーカー、ハンドバッグよりリュックというファッションが一気に増えた。このころ雑誌「CLASSY.」も、デニムやスニーカーの特集をするとバカ売れし、ハイヒールを履いていたお姉さんがスニーカーを取り入れ始めたことがわかる。女性たちは「ステレオタイプの女性らしさでなくてもいいんだ」と気づき始めたのだ。

「女子」という言葉で年齢にとらわれなくなったように、これからは性別にとらわれなくていい

2020年現在、「女子」は特別な言葉ではなく、一般名詞のように使われ、特別な意味は持たない存在になっている。しかしジェンダーの課題は山積みだ。世界のジェンダー・ギャップ指数で日本が121位で史上最低だと先日報道された。男性が「女性だから」と追いやる面もあれば、女性たち自身が「女性だから」と気負ったり、遠慮したり、女性のほうから自分たちを苦しめている面もあるのだ。

Q.女性であること’を意識するタイミングはある?

日本人の女性は我慢強いし、我慢をしすぎてきた過去がある。自分もがんばったからと若い世代にそれを押しつけたくなるかもしれない。でも、せっかく(形ばかりかもしれないが)「女性活躍」が言われているし、女性も働かないと家計も日本経済もたちゆかなくなる時代。後輩たちや子供たちにツケをまわすことなく、女性の‘呪縛’を解き放ち、わたしたちから新しい女性の歴史をつくらねばならない。

「オトナ女子」という言葉のおかげで「年齢に縛られない」ことに目覚めた女性たち。
次は「性別に縛られない」ことに目覚めて生きよう。
2020年からは「女らしく」ではなく、「自分らしく」生活できる年になりますように。

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※データ出典:博報堂キャリジョ研 ミレニアル女性意識調査
2019年1月実施 インターネット調査(全国)、20~30代の未婚女性150名が対象

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「働く女性」(キャリジョ)をテーマに、博報堂&博報堂DYメディアパートナーズの女性プランナーやプロデューサーで立ち上げた社内プロジェクト。女性のトレンドを集めたインサイト分析や有識者ヒアリング、定性・定量調査やクラスター調査などから「働く女性」を徹底的に分析し、日々のマーケティング・プランニング業務に生かしています。