「非モテ」ツイートに共感多数。あたそ「女子力という言葉が苦手です」

「モテない」女子の日常や気持ちを綴ったTwitterが多くの共感を集めるあたそさん。著書『女を忘れるといいぞ』(KADOKAWA)では容姿や性格などに強いコンプレックスを抱えてきた自らの半生を明かし、そんな劣等感を笑い飛ばしたいという思いを綴っています。彼女の何がフォロワーの心をつかんでいるのか。あたそさんにとって初めてのインタビューになる今回、彼女の素顔に迫りました。

『女子力』って窮屈な言葉で嫌いです。 

――あたそさんはTwitter上で、会社で経験する女性同士のマウンティングのつらさをつぶやいていますね。著書の中で「女子力」という言葉が嫌いだと書いていたのも印象的でした。なぜ、女子力が嫌いなんですか。

女子力というのは「女性らしさ」というような意味なのかもかもしれませんが、どちらかというと男性本位、男性目線で都合よく使われている言葉だと思います。

男性うけするようなメイクや服装をまとい、おしとやかに振舞いながら、ハンカチやティッシュを欠かさず持っているような人は女子力が高いと言われるイメージでしょうか。また、たとえば飲み会でサラダの取り分けをすると「女子力高いね」と言われることがありますよね。

――ありますね。何が女子力なのかよくわかりません。

たまたま自分がやった方が早いと思っただけで、女子力を意識しているわけではないんです。人として当たり前のことをしただけなのに、そう言われるとムッとしてしまい、つい「それ、女子力じゃなくて普通のことだから」と訂正を求めてしまいます。

――「女性らしさ」の押しつけに反感を感じるようになったのは、何かきっかけがあったんですか。

女としてのコンプレックスがあるからかもしれません。自意識過剰かもしれませんが自分の容姿は大嫌いですし、性格も可愛げがなく素直じゃないところもあまり好きになれない。自分には女子力がないという自覚があります。

女でいることで劣等感やコンプレックスを感じるのなら、いっそのこと「女を忘れるといいぞ」という気持ちになるんです。

――『女を忘れるといいぞ』は、ご自身の著書のタイトルでもありますね。

はい。女を忘れて女子力を比べることをやめたら、周りと比較して自信を失うこともないかもしれないし、もっと自分のことを認めてあげられて、あらゆるコンプレックスが消えていくのではないかと思いっています。

母親は反面教師にしても、つい似てしまう

――著書の中では、幼少期に母親に「ブス」と言われたことが、ずっとコンプレックスになっていたと明かしていますね。今、お母さんに対してはどういう気持ちを持っていますか。

母は20代前半で父親と結婚して職場を「寿退社」し、専業主婦になりました。私から見ても、母は完ぺきに家事をこなしていましたし、私に手造りのカバンを作ってくれるなど、母親業をやってくれていたと思います。

しかし、当時から父親との夫婦仲は悪く、父親の悪口をよく私や妹に言っていた。今思えば、ストレスを抱えても発散する場所もなく、本音で話をする人がいなかったのかもしれません。私はそんな母を反面教師にして生きてきました。専業主婦や結婚に憧れが薄いのは、母の影響かもしれません。

――長所も短所も含め、親子って無意識に似ている部分があるような気がしますが、お母様とあたそさんはどうですか?

そうなんですよ!一見、サバサバしているようで実は陰湿なところとか、場を盛り上げて『面白い人』と言われると喜ぶところとか。あと、明るそうに見えて、人間関係が不得意なのも同じですね。やっぱり親子って似てしまうのでしょうか。

1年ほど前から私が一人暮らしを始めて母とはますます疎遠になってしまっていて、2人で会うと少し構えてしまう。父親とは絶縁中だし、妹とは相性が悪くもう何年も口をきいていません。弟とは不仲ではないけれど、彼がシェアハウスで暮らすようになってから連絡先を知りません。

母を通すしか家族と連絡を取る手段がないので、今後はもう少し家族との関係性を考えたいとは思うんですけどね。

人間関係を長く保てないコンプレックス

――人間関係を築くことにもコンプレックスがあるそうですね。SNSで10万人ものフォロワーをひきつけるインフルエンサーなのに、意外な感じがします。

元々、私は人間関係を築くのが得意ではないんです。毎月のようにたくさんの人と出会って知り合いも多いし、よくしゃべるので場も盛り上がります。でも、長く続かない。長くてもせいぜい10年くらいで関係が途切れてしまいます。

一緒にいても3回くらい違和感を感じれば自分から縁を切ってしまうし、最近は大学時代の友人も疎遠になってきました。人と会話してメンドクサイと思ったら距離をとろう、そんな思考回路なんですよね。

皆が色々コミュニケーションをとっている間に、私はひたすら文章を書き、小説を読んでいた。人間関係を築き、育てていく能力が私には身に着いておらず、そういう努力もしないで気づいたらここまできてしまったんです。

それがコンプレックスでもあるのに、かといって自ら声を掛けて誰かを誘うこともない。自分でも良くないのは分かっているんですけどね……。

文章を書く人は人間関係で満たされていないから

――あたそさんにとって、文章を書いたり、SNSで考えを発信することは、どういう意味を持っているんですか。

人間関係で満たされている人は文章を書かないという持論があるんです。周りの人間関係が順調で、親友や気が許せる恋人がいて満たされていれば、あえて外に発信する必要はないでしょう。そばに理解してくれる人がいれば、何かあっても文章に残さずその人に話すと思うんです。

私は人と話をしていても伝わらない歯がゆさや、モヤモヤが後から出てきてしまうことがよくあります。私にとって文章を書く原動力やきっかけになっているのは、人間関係が上手くいかず、口でもちゃんと伝わらないことです。だから書くんです。

  • 編集後記
    人間関係の悩みは大小の差こそあれ、多くの人が感じているのだろう。その背景は様々だが、コンプレックスも劣等感も笑い飛ばしながら、それを強みに変えて前に進めたらいい。インタビュー中も重い話を終始明るく語ってくれたあたそさんを見て、そう感じた。
  • ●あたそさん プロフィール
    神奈川県出身。モテない女子のコンプレックスや日常を爽快に代弁するツイートで人気を博し、WEB媒体を中心に現在複数のコラムを執筆。普段はTwitterを更新する傍ら会社員として働く。好きなものは音楽、酒、水タバコ、旅行、読書、映画。ツイッターアカウントは「@ataso00」。

女を忘れるといいぞ

著者:あたそ

出版社:KADOKAWA

東京生まれ。千葉育ち。理学療法士として医療現場で10数年以上働いたのち、フリーライターとして活動。WEBメディアを中心に、医療、ライフスタイル、恋愛婚活、エンタメ記事を執筆。

Pick Up

ピックアップ
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
テリやきテリ世の甘辛LINE相談室
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
ヒント 恋愛
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てるとは
産婦人科医・高尾美穂さん×アクロスジャパン・小川多鶴さん
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てる
家族のかたち 妊活 子育て