telling,Diary 私たちの心の中。

南の島でデジタルデトックス

なまめかしく妖艶な表現力で性別問わず見る者の目を釘づけにするポールダンスのダンサーであり、注目のブロガー、ライターでもある“まなつ”さん。彼女が問いかけるのは、「フツー」って、「アタリマエ」って、なに? ってこと。 telling,世代のライター、クリエイター、アーティストが綴る「telling, Diary」としてお届けします。

うだるような暑さを求めて、南の島へ

夏の終わりをひしひしと感じる今日この頃。もうちょっといてくれててもよかったのにね。私は暑いのが好きなので、いつまでも夏でも良いくらいです。

そういうわけで先日、うだるような暑さが恋しくて、南の島へ行ってきました。
飛行機、バス、船と乗り継いで行き、日が暮れる頃に到着する離島の空気は格別。
行く先が遠く、立地が不便であればあるほど、燃えるのは私だけでしょうか。
いつもと違うことをしているという不思議な感覚を覚えながら、水平線に沈む夕日を見る。缶ビールを片手に素足で浜辺を歩く。ヤドカリをつまんで、慌てて引足を何秒後に出すか観察する。
夜は宿の屋上でヨガマットを敷いて寝転び、星空をただ眺める。波の音が遠くに聞こえ、星の瞬きをただ見つめていると、自分が宇宙にぽっかり浮かんでいる気分になってきます。この腐敗した世界に堕とされたのもなかなか悪くはないかもしれない…。

宇宙人っているかな~と妻と話しながら部屋に戻り、さてインスタでも見るか。と携帯を開いたときに異変に気付きました。圏外。確かにこの島は電波が弱いので、仕方ないか~と思っていると、なんとwifiも繋がっていない。
何事?と確認すると、風が強くなってきて電波塔に影響が出たのかも…。とのこと。
まあそんなこともあるよね、と諦めて寝て、起きた次の朝。電波はまだ圏外のまま。

圏外な上にwifiも不通

この辺でやばいのでは?と思い始めました。島にはまだまだ滞在予定、でも滞在中に片付ける予定の仕事がいくつか。連絡を取っている相手もいる。携帯の電波が繋がらなくてもwifiがあれば…と思っていたのに、wifiも不調でほとんど接続していない。
つまり、いま一切オンラインの操作ができない。PCから送信しようと思っていた資料や原稿も、送ることができない。

強制的にオフラインの状態になって、一時は顔面蒼白になりましたが、もう開き直ってデジタルデトックスしよう!と、一切の電子製品を部屋に置いて海へ。
いつもだったらインスタのストーリーに写真をアップしたりするところですが、今日はすべての思い出を心にだけ残そうと決め、海水に浸るだけの日を過ごしました。
途中少しだけ、調べ物をしたくなったり動画を撮りたくなったりしたけど、夕方頃にはスマホがないことにも慣れました。
夜は花火をして、ビールを飲んで、星を見て眠る。寝る直前までツイッターを見たりすることもない。

結局島を出るまで電波は回復せず、帰路の途中でLINEの通知が来るのを見てやっと圏外から脱出したことを知りました。
それでもしばらくは、スマホ見なくていっか。という気分のまま。
普段はガジェット大好き、オンライン最高、何か気になることがあったらすぐネットで検索!なのに、今は船から海を見る方が重要だし、有意義だなと。
どうせ陸に戻れば仕事もやらなきゃだし、飽きるほど触るんだから、スマホもPCも今は見ないでおこうと自然と思えた、今年の夏の終わりの日。

デジタルデトックスで見えてくるもの

やらなきゃいけないことは沢山あるんだけど、これからも時々こんな風にデジタルデトックスしようと思ってます。
情報が頭に多すぎると良いアイデアも浮かんでこないから。
電源を切るだけでもいいんだけど、やっぱり一番いいやり方は強制的に圏外になる南の島に行くことかな。
まるごしの人間として、骨と肉で感じられるものが沢山ある場所だから。

『おっぱいが大きかったので会社員を辞めてポールダンサーになった話』

著:まなつ

発行:株式会社ZINE

ポールダンサー・文筆家。水商売をするレズビアンで機能不全家庭に生まれ育つ、 という数え役満みたいな人生を送りながらもどうにか生き延びて毎日飯を食っているアラサー。 この世はノールール・バーリトゥードで他人を気にせず楽しく生きるがモットー。
まなつ