telling,Diary 私たちの心の中。

ちょっとだけ高く跳んでみる

なまめかしく妖艶な表現力で性別問わず見る者の目を釘づけにするポールダンスのダンサーであり、注目のブロガー、ライターでもある“まなつ”さん。彼女が問いかけるのは、「フツー」って、「アタリマエ」って、なに? ってこと。 telling,世代のライター、クリエイター、アーティストが綴る「telling, Diary」としてお届けします。

●telling, Diary ―私たちの心の中。

ハードなワークアウトも、みんなでやればやりきれる

1時間の間にハードなトレーニングをぎゅっと凝縮した、サーキットトレーニングをしています。
全身のストレッチ、軽いランニングなどのウォーミングアップ、そして約20分間の息もできなくなるくらいキツいワークアウト。汗が滝のように流れ落ち、2リットルのペットボトルはあっという間に空っぽ。終わった後は、しばらく何も食べたくないくらい疲れています。

週に2、3度のペースで通っているのですが、キツいのに続けられるのは、クラスのノリがいいから。
コーチはNY出身でとてもフレンドリー。ジムのオーナーがアメリカの方だからか、参加している人のほとんどが外国人。
一人でやったら絶対に続かない運動も、みんなでやれば最後までやり切れるのが不思議です。
その場の雰囲気というか、空気というか、そういうものに動かされます。

毎回、異なるメニューが組まれていて、鍛えられる箇所が違うのも良いところ。
今日は下半身を酷使するな~とか、今日は腹筋を鬼のように追い込むね…とか、ジムに行ってメニューを見るといろんな意味で身が引き締まります。
全身を効率よく鍛えられるし、基礎体力が確実に上がっている実感がたまりません。
昔は本当に運動嫌いだったのに不思議なものです。10年前の自分にこんなに運動している現状を教えてあげたら、まず信じないでしょうね。

コーチのむちゃぶりに……

さて、今日のメニューは私のあんまり得意じゃないフロントスクワット。
普通のスクワットは好きなのですが、バーベルを持ってやるとバランスが取りづらく、フォームを意識しすぎてなかなか回数がこなせない。
ビビって少なめの重りでやっていたら、コーチがいつの間にか後ろにいて「君はもうちょっとだけ頑張れるはずだ、おもりを付け足そう」と言われてしまいました。

「え~!ヤダ、無理、本気?」なんて言いまくっていたけれど、無言の圧を感じて仕方なしにおもりを追加。
いけるけど、キツい!無理かも?!いやギリギリ!
言われた回数をこなすと、太ももとお尻が軽くけいれんしていました。
こうして自分では気づけない限界地点を見極め、挑戦させるのがコーチの役目。
ちょっとだけ、あとちょっとだけ、いけるかはわからないけどやってみる。
それの繰り返しで、筋肉は強くなっていく。

人生にも同じことが言えるよね、とジム帰りに妻とソフトクリームを食べながら語り合った。
無理!と言っていたら多分一生無理だし、自分に発破をかけてやるしかない。
限界の先に行きたいなら、いつもよりちょっとだけ高く跳んでみる。

自分の可能性を、底力を、未来を全力で信じてみる。
自分だけは、自分をいつでも100パーセント肯定する。

ほんの少しの挑戦が、想像を超えた現実につながると信じて、コーチの言うことはだいたい聞くようにしています。大体ね。全部聞いてると体がもたないから。

『おっぱいが大きかったので会社員を辞めてポールダンサーになった話』

著:まなつ

発行:株式会社ZINE

ポールダンサー・文筆家。水商売をするレズビアンで機能不全家庭に生まれ育つ、 という数え役満みたいな人生を送りながらもどうにか生き延びて毎日飯を食っているアラサー。 この世はノールール・バーリトゥードで他人を気にせず楽しく生きるがモットー。
まなつ