舵取りは自分
●telling, Diary ―私たちの心の中。
横のつながりが大事なポールダンスの仕事
「ポールダンサーの●●ちゃんって知ってる?」
ポールダンサーです、と自己紹介をすると聞かれるこの質問。
名前が挙がった人の約半数が実際に知り合いだったり、以前同じ現場で働いていたダンサーのことも。少し辿ればすぐ共通の知人が見つかるのです。
それでも、以前は8割は知り合いだったような体感があるので、この世界にも少し奥行きが出てきたのだなあ…と感慨深いです。
ポールダンスの仕事は横のつながりが重要。
自分にオファーされた仕事を、誰かに紹介することもあれば、その逆も然り。
●●ちゃん知ってる?と聞かれて、他のダンサーの名前を知らないことがないくらい活動しているのが売れっ子の証なのかもしれません。
以前は少なかったポールダンス人口も、ここ数年でグッと増えた気がします。
「ポールダンサーの世界って、すごい狭いんだよ」なんて言っていたのも今は昔。
国内外で開催される数々の大会、ショーによって認知度も上がり、素敵なダンサーが日々たくさん生まれています。
自分がダンサーとしてできること
ポールダンスをしていて、この仕事の「マイナー感」が良いなと思うことも多々ありました。
「ポールダンサーをしてます」というだけで場も盛り上がるし、話のネタに事欠きません。
珍しい仕事をしているということが一つのアイデンティティのように感じていた時期もありました。
正直、今となってはポールダンサーなんていくらでもいるじゃんと思うこともあります。ましてや自分はポールダンス界では平凡な方。大会に出てるわけでもなし、自分のやりたい仕事をただ淡々とこなすのみ。ヒエラルキーの真ん中くらいでのらりくらりと好きに踊っているだけなのです。
ただ、自分だからこそできることはなんだろうと常に考えています。
素敵なダンサーはいくらでもいる。
大会で優勝している人もたくさんいる。
そんな中で何を打ち出していけるか。
目の前のお客様と向き合い、ガチンコでぶつかり、ともに作品を作っていくことこそが私の踊りに対するスタンスであり、答えだなと今は思います。
ただ未来はどうか全然わからない。もしかしたら大会出たくなるかもしれないし。
それでも変わらないだろうことは、自分の踊りにどう責任を持つか、という命題。これは死ぬまでかけて解いていく覚悟です。
仲間がたくさんいるのはいいことなんだな、とふんわり思います。きっと。
辛い時、励ましあったり、共感し合えることは幸せなことなのでしょう。
ただあまりに大きな人の流れの中で、溺れそうになっていると感じる時もあります。
自身を見失わず踊っていきたい。これがメジャーな道だ、踊り方だ、スタイルだというものが示されても、自分を貫いていく強さが欲しい。
メジャーな道というのを探して、結局なくて、自分で鉈を持って切り拓くしかねえんだなってところに立ち返ってます。
道なんか最初からないんですよ。自分で作るんです。汗水垂らして文句言いながら。
でもそれが楽しいから、今も踊ってます。