telling,Diary 私たちの心の中。

強く儚いムダ毛たち

なまめかしく妖艶な表現力で性別問わず見る者の目を釘づけにするポールダンスのダンサーであり、注目のブロガー、ライターでもある“まなつ”さん。彼女が問いかけるのは、「フツー」って、「アタリマエ」って、なに? ってこと。 telling,世代のライター、クリエイター、アーティストが綴る「telling, Diary」としてお届けします。

●telling, Diary ―私たちの心の中。

女性の「毛」問題

夏も終わりに近づく今日この頃ですが、まだまだ薄着の季節。
袖のない服が大好きな私にとっては、最高の日々です。寒いよりは暑い方がいい。

さて袖のない服を着るということは、すなわちムダ毛処理が不可欠。
いやね、しなくてもいいかもしれないんですけど、現代日本においてあらゆるところの毛を生やしっぱなしの女性もそんなにいないわけです。
私自身も、首から下には毛はなくていいと思ってる派の人間。

それは見た目だけでなく、衛生面も含めてのこと。
股間周りの毛、いわゆるVIOなんて蒸れるし、毛を処理するという概念のない十代の頃は、生理の時とか最悪な気分を味わいましたね…。
今はVIOも処理済み、ナプキンではなくタンポンを使うため、生理時の蒸れや匂いはほぼ気にならなくなりました。かぶれもなくてめっちゃ快適。
更に言えば、セックスの時も毛って邪魔で仕方ない。できればパートナーにも、パイパンにしてとまでは言わずとも、可能であればトリミングくらいはしておいてほしいものです。

もちろん、欧米などでちょいちょい見かける「毛はもともと生えてるありのままでいい」「なぜ女性ばかりがムダ毛を剃らなきゃいけないんだ!」というのも、それはそれで良いと思っています。生やしたい人が生やし、いらん人は処理できる。それこそが真の多様性。生えてるのがセクシーに見える人もいるしね。毛とは自分の体の一部なのだから、どうするかは自分で決められると最高ですね。

右のすねの毛だけ生命力が強いそのワケは

そんなわけで20代前半に脇やVIOは処理していたのですが、腕や足は数回レーザーを当てたきりでまだちょっと生えてくるんですよね。ほぼ無いんだけど、完全にはツルツルじゃない感じ。で、たまに思い出して剃ってみたり。
先日「そろそろ処理しなきゃなあ」と思いながら久々に自分のすねをまじまじと眺めていたら…右すねの毛だけ、濃いんですよ。そこだけ妙にしっかりと生えているんです。

その箇所は、ポールダンスをする際、ポールにかなり強く押し付ける場所。ポールにのぼる時に絶対に摩擦が起きる場所なんです。
かつてはレーザーを当て、焼け野原に雑草がポツリ…くらいだったはずなのに、力強く蘇りし右のすね毛。

毛のことを、美しいとか醜いとかいつもそんな尺度でばかり語っていたけど、何か強く儚く、尊いもののように感じてしまいましたよ。
だって私の体を守るために、毛根を焼き払っても生えてきたんだから。

何度生えてきても結局剃り落とすんだけど、自分の体のシステムに敬意を評したくなりました。
次に生える時は、まつげに生まれ変わってきてね。まつげはいくら増えても大歓迎だよ。

『おっぱいが大きかったので会社員を辞めてポールダンサーになった話』

著:まなつ

発行:株式会社ZINE

ポールダンサー・文筆家。水商売をするレズビアンで機能不全家庭に生まれ育つ、 という数え役満みたいな人生を送りながらもどうにか生き延びて毎日飯を食っているアラサー。 この世はノールール・バーリトゥードで他人を気にせず楽しく生きるがモットー。
まなつ