女ひとり、夜の水族館へ。「性いっぱい展」を精いっぱい鑑賞してきた
池袋はサンシャイン水族館。夜もふけたその場所で、ドドンとキュートでインパクト大な看板がお出迎え。
「生き物の性の世界は、知れば知るほど私たち人間の性や生き方、行動すらも変えてしまう“多様性”に富んだ世界なんです」と語るのはサンシャイン水族館・館長の丸山克志さん。
わ、私たちの生き方や行動を揺るがす……!?いったいどんな世界が待っているのかしら……。
めくるめく、夜の海の世界へ――。
魚たちの「夜の顔」を堪能
さっそくパンチの効いた「愛を育むホテル」的エントランスをくぐるとそこには……
海の生き物たちが昼間とは違う雰囲気の中、悠々と泳ぎ回っています。
素敵……
ピンクなネオンの巨大水槽を眺めているだけで日常を忘れられそうですが、今夜のテーマは「海の生き物たちの“性”に触れること」。
館内に設置された生き物たちの解説ボードは、お昼のものとはガラリとチェンジ。
彼らの繁殖行動など、謎に包まれた部分がたっぷりと学べます。
チンアナゴの求愛行動から人間関係の距離感について考えされられたり、サンゴの産卵のミステリーに、女性同士が共闘し立ち上がることを意味する“シスターフッド”を感じたり
(ほーらもう、意味がわからないでしょう?行った人だけのお楽しみだよ)。
性転換するサカナの紹介や、リクガメの得意な体位まで……
当たり前だけど、どんな生き物にも繁殖にまつわる物語があることを思い知る、まさに愛のこもったコンテンツが盛りだくさん。
個人的にはミズダコのフィンガーテクニックについての解説がドキドキでした。
愛する人との関係をより深めたい方は、ぜひミズダコ先輩の元へ。
歓楽街を連想するようなネオンを基調とした館内は写真映えするスポットが豊富です。
誰かと来たらきっと楽しい。けど、今夜の私はひとり。でも、それもまたいい。
海の生き物にまつわる「謎」に触れることのできる「おさわりボックス」などユニークな仕掛けと、ハッとするような生き物たちの解説が随所に散りばめられていて、遊び心満載です。
さみしさをつつみこんでくれるようなアーチ型のクラゲの水槽には、思わず吸い込まれて――ああ、ここから離れたくない……。
クラゲたちは「LINEが既読にならない」とか「彼が結婚に乗り気じゃない」とか「恋する気持ちを忘れた」とか思わないだろうけど、その分「繁殖」のためにまっすぐ生きているんだろうなとか、考えちゃいます。
あなたの恋愛は、どの生物タイプ?
はい、そして、そんなメンドクサイ思考回路の人たちには、恋愛スタイルがどの「生物タイプ」か、診断できるボードもありますよ。
「ごちゃごちゃ言わずにガーッ!ときてくれればそれでいい」への「YES/NO」から、診断スタート。
「はいはーい!私イエスです!イ、エ、スー!!!」なんて、みんなでキャッキャしながら盛り上がるのもいいですね。
トークショーも必聴!
毎週、金曜日と土曜日には飼育スタッフさんによるトークショーもあるんですよ。
この日はフジツボの交尾についてたーっぷり学べました。
動物や海の生物の行動を「人間に例える(擬人化する)」ということ自体、実はとても珍しい試みなんだそう。人間の行動に置き換えることで一般的にイメージしやすくなる反面、理解への誤解を生んでしまう可能性もはらんでおり、
今回、そのハードルを「あえて」越えて、ムーディだったり官能的だったりという伝え方をしてみるというのは水族館にとって大きな挑戦だといいます。
「水族館には生き物の大切さを伝えるという役割がある。そして生きる根源でもある『性の世界』もぜひ伝えたいと思っていたんです」
という丸山館長の言葉、すごく力強く素敵でした。
この「性いっぱい展」、入場の年齢制限はありません。
キャッチーなタイトルや時にやや刺激的な内容、でも、どの世代のどんな人にも知ってもらいたい話がたくさん。
私のようにひとりで訪れて己の性や愛とトコトン向き合うもよし、(広い意味での)愛する人と遊びに来ても、水族館を出る頃にはきっとお互いの新しい一面を知れるような会話が止まらなくなるはず。
出口付近、最後の最後までたーっぷり生き物の性の情報がつまってます。
●夜のサンシャイン水族館「性いっぱい展」 概要
・会場:サンシャイン水族館 本館
・期間:2019年9月27日(金)~11月4日(月)
・時間:18:30~22:00 ※最終入場は1時間前
・休館日:2019年10月17日(木)
・料金:大人(高校生以上)2200円、ペア(同)3500円、子供(小・中学生)1200円、幼児(4才以上)700円
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