「敷居が高い」「さわり」「お目にかなう」。正しい日本語を使えていますか?
知らないと恥ずかしい! 間違いやすい日本語
先日、友人からこんな話を聞きました。
「‟僕なんか敷居が高くて“、といったら、ちょっと気まずい空気になってしまったんです!」
どうやら人と話していて「敷居が高い」という言葉の意味を間違えて使っていたらしいのです。
「この本を読んで間違いに気づきました」。そういって教えてくれたのは、コラムニストの尾藤克之さんが書いた『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)。
友人は尾藤さんから「あなたは本を何冊も書いているけど、ライターにでもなるの?」と聞かれたそうです。そこで「いや、僕にはライターという仕事は敷居が高いから難しいです」と答えたとのこと。
友人が、なぜ焦ったのかわかりますか? その答えは、『3行で人を動かす文章術』の中にありました。
ここで1つ例文をみてみましょう。
間違える人続出。「敷居が高い」
上司: 昨日、社長と赤坂の料亭に行ってきたよ。
部下: 赤坂ですか。私には「敷居が高い」です。
上司との会話で、こんなやりとりをしたことはありませんか? よくやりがちなのは「敷居が高い=レベルが高くて自分には分不相応」と意味を取り間違えてしまうこと。しかし、この言葉を使ったら大変! なぜなら「敷居が高い=相手に不義理なことをしてしまい、もう一度行くには抵抗がある」というのが本来の意味だからです。
友人は「ライターになることはレベルが高くて自分には分不相応」だと伝えたつもりが「相手に対して不義理がある、やましいことがある」という意味になってしまったからのです。しかも、この本を書いたご本人に……。
せっかくなので、ほかにも間違えやすい言葉を2つほどあげておきます。
「さわり」の意味を勘違いしていませんか?
上司: 明日のプレゼンの役割を決めよう。
部下: 最初の「さわり」の部分は私が担当します!
「○○のさわり」というのは、「最初の部分」という意味で間違えて使っている人は多いのでは? しかし、本来の意味としては「話が盛り上がるポイント」、つまり要点やもっとも印象に残るということになります。
この発言を聞いたA上司が前向きな人物だったら「よし、君に任せた」となるかもしれませんが、人によっては「部下のくせにおいしいところを持っていくなんて!」と誤解されるかも?
「お目にかなう」、この言い方は正しい?
上司: 君の企画はとてもよかった。
部下: 「お目」にかなって光栄です。
「お目にかなう」。つい使ってしまいそうな言葉ですが、実は誤用です。正しくは「お眼鏡にかなう」です。「お眼鏡にかなう=拡大鏡」で是非を判断したことから派生した言葉です。ちなみに、この意味は「目上の人に評価される」です。
「お目にかかれて光栄です」と似ていて間違いやすいので、注意してください。
このほかにも、「憮然(ぶぜん)とする」「破天荒(はてんこう)」「煮詰まる」「吝か(やぶさか)」「綺羅星(きらぼし)」「合いの手を打つ」「上には上がある」「気が置けない」などの言葉は、よく間違いやすいもの。
正しい使い方と意味を全部答えられますか?
どれも学生の頃に習った言葉ばかりですが、意外と言葉の意味を正しく使えている人は少ないかもしれません。また、自分では間違っていることすら気づかずに使っていることもあるかも。語彙を間違ったまま覚えて使っていたら、相手に不快な思いをさせるうえに、場合によっては自分自身の信頼を損ねることになりかねません。
ラインやツイッター、インスタなど、チャットで言葉をやり取りしていると、言葉の意味をじっくりと考えることなく、やり取りする人もたくさんいます。正しく意味を理解して使うためにも、もう一度普段使っている言葉が本当に正しい使い方なのかどうか、チェックしてみませんか。
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