夫婦とは。「期待しない」と「信頼する」の真ん中よりはちょっと左側
●本という贅沢69『妻は他人 だから夫婦は面白い』(さわぐちけいすけ/KADOKAWA)
かれこれ、人生の半分近くを誰かと結婚している状態で生きているワタクシなのだけど、理想の夫婦像というのがある。
どんなのかというと、このコミックエッセイに登場するみたいな夫婦だ。
お互いの顔を見つめあって、好きだよとか愛してるよとか言うのもいいけれど、相手の瞳の中に見えるのが自分の顔だったら、別にそんなに長く見ていたくはない。
それよりも、できれば同じものを違う場所から見て、こんなふうに見えたとか、え、そっちからはそう見えますかとか、どれどれじゃあそれものぞいてみますかみたいな、そんな4つの目で世界を見たい。
それがどんな感じかというと、きっと、この2人みたいな夫婦だ。
自分の領域と相手の領域の重なる部分を共有し、重ならない部分を尊重する。
信じているけれど、それを押し付けない。
勝手な期待を押し付けない。
君は君で私は私。
ときどき解散して、再び合流する。
あー、ここにあったか、私の理想郷。
全体的に広い行間と物理的に白い空間にも、癒される。
いろんなことに疲れている人に、とくに夫婦関係に疲れている人におすすめと書こうとして、夫婦関係に疲れている人が読んだら、ああもう無理だ。こうはなれない。離婚だ。ってなりそうだから、安易に勧められもしないなと思っていて、書き方難しいなって思ってる。
ところで、この本との出会いはちょっと不思議だった。
この東京砂漠をサバイヴして、ぜえぜえハアハア言いながら、いっときの休息を求めて閉店間際の書店に入ったら、すーっとそこだけスポットライトがあたっているような平積みの台があって、導かれるように手をとったら、この本だった。
中身も開かないで、レジに持っていった。
家に戻ってページをめくったら、とてもいい本だった。
その時、読むべき本が、手招きすることって、あるよね。
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さわぐちけいすけさんには、KADOKAWAでの三部作のほかに、ライツ社での『僕たちはもう帰りたい』という作品がある。もちろんこの本自体もよいのだけれど、amazonの紹介文にあるライツ社の大塚啓志郎さんのコメント<なぜ、この本をつくったのか>が面白かった。
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それではまた来週水曜日に。