ターニングポイントは今「回り道した分、自分の真ん中が分かってきた」
● ○歳のわたしへ03
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「大学には行かず、旅をして絵を描くと決めた」
18歳のわたしへ
高校を卒業する18歳の時、私は大学に行かないという決断を下しました。その選択は、私の人生の方向性を決めた出来事です。当時、なぜ高校では、大学や専門学校に行くか、就職するかしか将来の生き方について教えてくれないんだろうと疑問を持っていました。
私は受験勉強が大嫌いだったし、旅をして絵を描きたいから、大学には行かなくていいと決めました。両親や先生はとても心配していたけれど、大学に行かなかった後の人生がどうなるかなんて誰もわからないし、私はそれが正しいと感じていました。
卒業式の1週間後、私はギリシャへ旅立ちました。初めての海外ひとり旅は、カルチャーショックの連続。貧困など目を背けたくなる現実を目の当たりにしたり、トラブルで飛行機が飛ばなくなったり、それまでの高校生という肩書ではなく、「ガリー・サラ」としての初めてのアドベンチャーにワクワクしたことを覚えています。
帰国後は、また旅をするために、レストランでアルバイト。そのレストランでは、みんながプライドを持って熱く仕事していたので、社会勉強をたくさんさせてもらいました。
お金を貯めては、青春18きっぷで日本中をバックパックしたり、タンザニアに植林のワークキャンプ行ったり、アメリカの親戚に会いに行ったり、旅をしながらたくさんの絵を描きました。10代のこの経験はかけがえのないもの。大学に行かないという選択には勇気がいりましたが、今でもよかったと思っています。
「何をしたいのかわからず仕事を辞めてしまった」
26歳のわたしへ
20歳でまた勉強をしたくなり、京都の美術系大学に入学して、美術史を学びました。3.11をきっかけに、大学を休学し、その後縁があって、もともと大好きだった雑誌を出している出版社で営業を任されることに。
ところがそれから数年たった頃から、自分自身何をしたいか全然分からなくなってしまったんです。社会人として、月から金9時から17時まで働くことが正しいと思っていたし、任されている仕事の責任もあったので頑張っていたのですが、とうとう体を壊してしまいました。
仕事を辞めるのはすごく怖かった。実家に帰っても、これから何をしていったらいいのか分からなくて、とにかく悩みました。絵を描きたい気持ちはあったけれど、それでお金を稼いで生活を成り立たせることがイメージとして沸かないし、かといって履歴書を書いて、転職活動もしたくなくて。世の中の人はどうしているんだろうと混乱しました。
そんな時に出会ったのが、手描きアーティストChalkboy(チョークボーイ)のインタビュー記事。「黒板を描いていたら仕事になりました」と書いてあって、何この人?なめてんじゃない?って(笑)。でもすごく気になって、インスタをフォローしたら、イベントを手伝ってくれる人を募集していて「行きます」とコメントしたら、あっさり手伝うことになりました。初めて会ったのに、彼からアシスタントを探していると言われた時も、無職だったので「やります」と即答しました。事務仕事だけを手伝うつもりでいたら、全国いろいろなところに連れていってもらって、ちょっとしたお手伝いからデザインを考える段階まで経験させてもらいました。そして1年後には「もう独り立ちだね」と。まさかそういう展開になるとは思っていなかったので驚きました。
「まだまだやりたいことがあるから焦ってしまう」
telling,世代のあなたへ
私は今年30歳になったばかり。今まさに、もうひとつのターニングポイントを迎えようとしています。妊娠というビッグイベントを経験して、12月に子どもが産まれます。30歳になる前は、まだ何も成し遂げていない気がして、ジタバタしていましたが、なってしまえばそんなものか、とも思っています。
今までは、結婚、出産、キャリアなど、目に見えない世間の無言のプレッシャーを感じていました。でもよく考えてみたら、その原因のひとつは私自身。これをやってみたい、あれをやってみたいというものがまだまだいっぱいあるんです。やっていないことの方が多いから、そのことに対する焦りなのかもしれません。
人生は100年時代。あと3倍以上は生きられると思うと、私たちの年代はまだまだ赤ちゃんみたいなもの(笑)。常に迷いながら、その時ベストだと思うことを直感で決めてきた分、回り道はしたけれど、ようやく自分の真ん中が分かってきた気がしています。
●サラ・ガリーさんのプロフィール
東京生まれ、神奈川在住。子どもの頃から絵を描くことが大好き。2015年にCHALKBOYのアシスタントを務めたことをきっかけに、大規模な壁画や手描き文字=レタリングの作品を手がけるようになる。現在は独立し、さまざまなクライアントの依頼に応えながら、全国で手描き文字のワークショップを開催したり、「手描きの祭典 HAND-WRITTEN SHOWCASE」を仲間たちと運営したりしている。
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