MIYAVI「満たされることに恐怖すら感じる」常にアウェイを求める男
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チャレンジは人間に与えられた特権
――MIYAVIさんは常に挑戦し続けている印象がありますが、どこかアウェイを求めるようなところもありますか?
MIYAVIさん(以下、MIYAVI): ありますね。クセかもしれない。「泳いでないと死ぬ」じゃないですけど、じっとしていると生きてる心地がしないというか。チャレンジするって人間に与えられた“特権”で、ある種、生きる醍醐味の1つだと思う。安定した場所で満たされたいと思う一方、いざ満たされるとそこに慣れてしまう恐怖感もあります。
――UNHCRの活動は渡米費も宿泊費も全て自腹をきって足を運んでいるとお伺いしています。MIYAVIさんが行くからこそ、出来ることもあると思いますが。
MIYAVI: そもそも難民問題の知識も教養もなく、全身タトゥーが入ってピアスをした自分が、親善大使なんて務まるのか自体、不安でした。むしろ僕が行ったところで足手まといになるんじゃないかって。
だけど、いざ子どもたちの前でギターを弾いた時の皆のキラキラした顔を見た瞬間、「これだ!」って思いましたね。音楽のもつパワーを強烈に感じた瞬間でした。
衝撃的だった出来事は、順番にギターを弾かせてあげようとしていたら、われ先にと子供たちの喧嘩が始まったんです。しかも血が流れるまで殴り合っている。まわりの大人も止めに入りましたが「まあ、いつものことでしょう」みたいな空気も流れていて。
もちろん子どもどうし喧嘩くらいすると思う。でもこのまま彼らがちゃんとした教育を受けずに育ったら、将来、彼ら自身が紛争を起こしてしまうのではないか?と不安を感じ、医療、食料の救助はもちろん、教育の必要性も痛感しました。
音楽で今すぐ世界を変えるのは不可能かもしれない。でも人の価値観は変えられるんじゃないかと思っています。言葉は通じなくても音楽を通じてコミュニケーションもとれる。僕みたいなタトゥーにピアスをしたアーティストが、こういう活動することって粋でカッコいいんじゃない!?と、少しでも伝わるなら、僕が行く意味もあるのかなと思います。
僕だってもがいている
――MIYAVIさんのように前に進みたい……と思いつつ、足踏みしている人もたくさんいます。MIYAVIさんは挫折や孤独を感じたとき、どのように向き合ってきましたか?
MIYAVI: 僕も次のステージに進むときは怖いですよ。それでも出来るだけ遠くを見るようにしています。明日より明後日、明後日より1週間、1カ月…。目まぐるしい日々の中、どうしても物事を断片的に見てしまいがちだけど、なるべく遠くを見て未来を見据える。そうすれば今目の前にある壁を超えるモチベーションも見いだせると思うんです。
――コンプレックスが承認欲求やモチベーションにも繋がることもありますか?そもそもMIYAVIさんにコンプレックスがあるのかどうかですが。
MIYAVI: もちろんありますよ。元々サッカー(=セレッソ大阪ジュニアユース所属)ばかりやっていたので、もっと音楽的教養があればさらに違ったアプローチができたかもしれない。英語も25歳を過ぎてから勉強を始めたので、決してスタートは早くないです。出遅れた分、今も時間を費やしていますし。また、特に海外ではフィジカルの強さでも欧米人と比べて差を感じます。
ただ一つ、確実に言えるのは、何かを始めるのに遅いということはない、ということ。これは自分にも言い聞かせていますが、10年後の自分から見ればまだ10年あるわけです。今30代40代の人も、10年後の自分に何をしてあげられるか。そう考えるといろんな事ができますよね。
TOKYOの強みって?ニューアルバム「NO SLEEP TILL TOKYO」発売
――2019年7月24日ニューアルバム「NO SLEEP TILL TOKYO」が発売されますが、アルバムについて思いを教えてください。
MIYAVI: 海外生活が長くなり、俯瞰した目で日本を見られるようになったことは大きいですね。当たり前に思いがちですが、日本はとてもホスピタリティが高い国。
どこに行っても安全できれいで整備されている。人だって、常に気遣いをしてくれたりセンシティブなところってほかの国ではなかなか見られない。日本の強みだと捉えていいんじゃないかなと思います。
そうやって改めて日本の素晴らしさを感じられるようになってきたことは、日本語のリリック含め、今回のアルバムにも影響しています。
――7月5日公開の映画「Diner ダイナー」では監督に蜷川実花さん、主題歌「千客万来」ではDAOKOさんと共に主題歌を担当なさいました。3人のコラボレーションはいかがでしたか?
MIYAVI: 実花さんとは元々知り合いで、バースデイパーティーに来てもらったり、古くから付き合いがありました。今回は蜷川実花ワールドにどう寄り添うか、邦楽でも洋楽でもない作品を作って欲しいと言われ、MIYAVIだからこそ出来るサウンド、そこにDAOKOちゃんの等身大の言葉やピュアな歌声を詰め込んでもらって完成しました。
――3人の個性がしっかりあるので、意見がぶつかったり方向性で迷うことはなかったですか?
MIYAVI: 実際、DAOKOちゃんチームとはかなり試行錯誤しましたね。やはり彼女も彼女のサウンドの嗜好があるので、ダンスミュージック過ぎずロックミュージック過ぎもしない。でも、キャッチーさやアグレッシブさ、どちらの良さも取り入れることができ、結果的にお互いの相乗効果もあっていいバランスに落ち着いたと思います。
――では、最後にMIYAVIさんから読者の皆さんにメッセージをお願いします。
MIYVAVI: どれだけワクワクできるか、音楽でも映画でも何でもいいんです。
今時代の変革期で、お金の払い方も情報収取の仕方もどんどん変化しています。
その中で、いかに楽しみながら生きていけるか。特に女性はいつまでも生き生きしていて欲しいし、それが周囲に光をもたらして、世のためにもなると思うので、さらに自分を磨いて輝いていて欲しいなと思います。ぼくたち男も頑張ります!
●MIYAVIさんプロフィール
1981年9月生まれ大阪出身。ギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに約 30カ国 350公演以上のライブと共に、7度のワールドツアーを成功させている。アンジェリーナ・ジョリー監督映画「Unbroken」( 2016 年日本公開)では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、モデルとしてYohji Yamamoto,Y-3パリコレデビュー、映画「Mission: Impossible ‒Rogue Nation』日本版テーマソングのアレンジ制作、HONDAコマーシャル楽曲、SMAPへの楽曲提供をはじめ様々なアーティスト作品へ参加するなど、国内外のアーティスト、クリエイターから高い評価を受けている。2017年には UNHCR大使に就任。
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