女子アナの立ち位置。

【古谷有美】知らない人と会うのは面倒なこと?

TBSの朝の顔、古谷有美アナ。またの名を「みんみん画伯」。インスタグラムに投稿される、繊細でスタイリッシュなイラストが人気です。テレビとはひと味違う、本音トークが聞けるかも。

●女子アナの立ち位置。

「幅広い業界に知り合いが多そう!」「いろんな人脈がありそう!」

アナウンサーという仕事のイメージからか、そういう人だと思われることもたまにあります。ですが、インタビューや取材で出会って盛り上がっても、それ以降お目にかかる機会がなかなか少ないのが現状なんです。お話を伺って…それっきりということもしばしばあります。

というわけで、「アナウンサー=人間関係がものすごく幅広い」ということは決してありません。

私自身は「初めまして」からのお付き合いが好きです。緊張はしますが、どちらかというとそちらの方が楽しいと思えるタイプです。
予備知識やしがらみがない人との出会いは、刺激を与えてくれます。むしろ初対面の人との会話の方が、お互いの人生論を忌憚なくぶつけ合う「深さ」を帯びることだってあると思います。

人生の後輩から学ぶことだってある

ちょっと前、広告代理店に勤める先輩が、4月に入ったばかりの2人の後輩社員と引き合わせてくれて、彼女たちと一緒に食事をしたときのこと。2人とも、仕事に対する意欲があり、「これから自分は何でもできるし、挑戦していく」という希望に満ちあふれていて、とても初々しかったです。
一方で、社会人になったばかりで自分を生かし切れないモヤモヤや、「こんな仕事に手こずるなんて……」と、周りと比較して、つい落ち込んだりしている様子もあり…。
でも、目の前の仕事や環境で「いっぱいいっぱい」で空回りしながらも、やる気や自信、まだ見えない将来への希望みたいなのが、キラキラとしたパワーとなって、体中にみなぎっているようでした。
「いいなー、20代の前半ってこういう感じだったよなぁ」と、とても眩しく感じました。

「まぁ、この程度だよね」とつい、仕事やプライベートでも、「引き時」とか、何となくの妥協点をつい見いだしてしまいがちになるアラサー世代真っ只中の私。
彼女たちの話を聞いて、「新しいことに億劫にならずに、フットワーク軽くいよう」という気持ちになれました。

「原宿の母ならぬ、赤坂の母!?」

初対面とは思えないほど会話もお酒も弾み、会食が進むにつれ、話題も深みを増していきました。
厳しい就職活動を突破して、広告代理店に入った2人。会話も機知に富んでいて、返しも絶妙。このまま、会社できちんと才能を発揮していくというのが手に取るようにわかります。ただ、そこだけにとどまらず、何か社会を変えるような取り組みをしたいというような気持ちが伝わってきました。

「キャリアをたくさん積んだら、政治家を目指してみたらどう?」と、つい、先輩?らしくアドバイスしてしまったんです。最近まで学生で、社会人になったばかり、会社員生活を始めたばかりの若者に…。
初対面で、職場の先輩でもない立場だというのに...。

すると、すごく驚いた顔で「…実は、私、政治に興味があるんですよ!!」とポツリ。
会食に誘ってくれた元々の知り合いの方と「原宿の母ならぬ、赤坂の母になったね」と、大笑いしてしまいました。

知らない人のアドバイスは割と効く

唐突に「政治家に向いているのかもよ」なんて口にしたのは、利発で明るい彼女の中に何か光るものを感じたからです。初対面なので、学生時代に何をしていたとか、どんな性格だなんていう情報は全くありません。本当にファーストインプレッションで、会話して、直感で「こういうの向いていそう!」と思ったことを話したに過ぎません。
でも、意外とそういう自分のことを全く何も知らない人、予備知識も何もない人が、出会ってすぐパッと言ってくれたことが、ぐっと心に刺さることってありませんか。

仕事上のお付き合いや、職場のつながりなどの利害関係が全く無い中で、出会ってからの印象や会話、自分の態度を見ての一言が、長い付き合いの友人や家族の励ましよりも、モヤモヤや悩みの核心をついていることがある。
遠くの親戚より近くの他人とはよくいったものですが、初対面の人は、お互いに失うものもしがらみもないので、構えずにフラットにものが言い合えるのかもしれません。

うまくいく場合ばかりではなく、相手を否定するとか、ダメなところを見つけるとかという会話の流れになって、なんだか話していてものすごく疲れてしまい、残念な結果になってしまう時ももちろんあります。
でも、なにか一つでもポジティブな印象を受けとることができたら、それで十分。出会えて、自分の知らない意外な部分に気づかせてくれて、ありがたいなと思えます。

あなたの色眼鏡で見てくれるなら

そして、私・古谷有美の場合…

私はというと、初対面の方から、テレビの画面を通して受けた印象とのギャップを言われることが多いです。
「アナウンサーって◯◯(→ここに入る言葉は様々。実にいろんなイメージ持たれていることに気づきます)と思っていたけど、意外としっかりしているんですね」

フラットに素直な意見をいくらでも言って欲しいし、私に対する面白おかしなイメージや意外な感想などが聞けたら、儲けものだなとあまり気構えずに会話するように心がけています。
私という人間は一人なのに、誰がどの角度から見ているかによってこんなにも受け止め方って違うんだと気づくこともできる。

テレビという大勢の人から見られる仕事に就いているからこそ、「見られ方」を意識していくために、知らない人と「会う」ことを続けていければと思っています。

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1988年3月23日生まれ。北海道出身。上智大学卒業後、2011年にTBSテレビ入社。報道や情報など多岐にわたる番組に出演中。特技は絵を描くことと、子どもと仲良くなること。両親の遺伝子からかビールとファッションをこよなく愛す。みんみん画伯として、イラストレーターとしての活動も行う。
九州のローカル局で記者・ディレクターとして、 政治家、アーティスト、落語家などの対談番組を約180本制作。その後、週刊誌「AERA」の記者を経て現在は東京・渋谷のスタートアップで働きながらフリーランスでも活動中。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。

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