寿司を握るホストSHUNさんに、ホストにハマる女性について聞いてみた
ホストと寿司職人の共通点
――なぜホストなのに、寿司屋を開いたんですか?
SHUN:「ホストの中にもこんなやついるんだ」と思って欲しいという気持ちがありました。世の中の人がホストに抱いている、ちょっと誤解されがちなイメージが少し変わるといいなと思っています。ホストの「ハードルを下げる」と言いますか。
でも、何より1番は「女性のための寿司屋を作りたい」ということです。長年、好きな食べ物は何?とお客さまに聞いてきたら、ダントツで寿司が1番なんですね。ただ、好きだからこそ、既存のお寿司屋さんへの不満を聞くこともよくあるのです。
たとえば、素手で握ったものが直接口に入るわけですから、職人の清潔感が気になるとか、腕の毛が濃いのが気になるとか……。ほかにも、カウンターのお寿司屋さんで、ずっと握りだけが出てくるのが苦手とか。なので僕たちのお店は、そういう今まで聞いてきた不快感を女性が持たないような接客をして、握りだけでなくサラダがあったりシメにスイーツが出てきたりの工夫など、女性のお客さまのニーズに沿った食事を提供できるようにしたいと考えています。
――ホストと寿司職人……。共通する点はあるんでしょうか?
SHUN: 難しいところですが、「ライブ感」という点で通じる部分があるかと思います。ホストも寿司職人もお客さまに「おもてなし」をするわけですが、それは、その瞬間のお客さんが何を求めているかを読み取って、自分の価値や自分が売れるものを考えて提供するという、空間サービスだと思っています。
――とは言え、具体的な部分はまったく違う仕事。寿司職人としての修行は老舗寿司店でなさったそうですが、キツくなかったですか?
SHUN: 正直大変でしたし、店を出した今でも修行は続いていますね。毎日はできないですが週に何回か通って、新しいネタの扱い方を学んでいます。なので、これからこのお店でも扱えるネタの種類を少しずつ増やしていければと思います。
ホストクラブを「秘密の隠れ家」にしてほしい
――ホストクラブに通う女性に特徴はありますか?
SHUN: うーん、よく言われる「寂しい人が来るのでは?」というのがありますが、決してその一言では言い表せないと思います。リピートしてくれるお客さんの特徴としては、その方の生活の一部にホストクラブが入り込んでいるというのはあると思います。ネイルサロンや美容室と同等にホストクラブを捉えているイメージです。
――それって、結局お金を持っている人が多いということでしょうか?
SHUN: お金を持っていたり、たくさん稼いだりしていても、ホストにお金を使わない人は全く使いませんよ。逆にホストに価値を感じてくれる人は、バリバリ稼いでいない方でもリピートしてくれますし。なのでお金を持っているかどうかはあまり関係ないです。
――では、実際にはどんなお客さんが多いんですか?
SHUN: 今は会社帰りに立ち寄ってくださるようなOLさんも増えてきていますね。というのも、ホストクラブの営業時間は深夜1時までと制限されているのです。時間外営業(深夜営業)が横行していた時代に比べて、夜のお仕事をなさっているお客様は少なくなりました。
ただ、実は、どんな職業の方なのかというのは僕たちからは聞くことができないところもあるので、お客さまがどんな方か、正確には捉えられないんですよね。
僕はむしろ、お客さんにキャラを作ってきて欲しいです。職業とか年齢とか全然嘘でもいいです。ホストクラブを自分にとって「秘密の隠れ家」みたいにしてほしいなと思っています。
――なりたい自分になれる、秘密の場所がホストクラブなんですね。
ホストだから誰でも落とせるというわけではない
――お客さんにお金を払わせて心が痛みませんか?
SHUN: いや、がめついと売れないですからね、無理やりお金を払わせるようなことは絶対にありません。お客さんのコンディションを見て接客するのがプロだと思います。たとえば「お客さんが落ち込んでる時に寄り添ってあげること」が僕らの提供している価値なので。
ちなみに、今歌舞伎町のホストクラブはだいたい同じ料金体系だと思いますが、初回が5000円で二時間飲み放題、2回目の平均単価が20,000円弱、3回目からが通常料金でみなさんの平均が30,000円くらいです。他のものを何か頼んだとしても、僕の働いているお店では全てメニューに書いてある料金プラス消費税なので、明朗会計なので安心して遊んでいただける環境になっています。
――ホストにハマった女性で、マンガの中の話みたいに風俗で働くようになった…というような事、実際にあるんですか?
SHUN: そんなことやったら、今はSNSで一気に拡散する時代ですからね。一気に叩かれて、歌舞伎町にはいれなくなりますよ。SNSの力で、悪いやつはすぐバレるようになりました。だから、本物のホストだけが残る時代になっていると思います。
――ホストによって、「こういう女性が落としやすい」みたいな、得意分野ってあるんですか?
SHUN: 接客してみないとわからないというのが正直なところですね。接客してみて、「あ、この子合いそう」というのもあれば、「この子はあのホストに任せた方が相性よさそう」という判断をすることもあります。そういうホスト間の連携はよくありますね。
――なるほど。ホストだからって誰でも落とせるわけではないんですね。そこは普通の人間関係の相性と同じなのかもしれません。ちなみに、私は友人から「ホストクラブなんて行くな!絶対ハマって貢ぎまくるタイプだから」と言われるのですが、実際お話してみて、私、めっちゃ貢ぎそうに見えますか?ホストクラブには1回も行ったことありません。
SHUN:……うーん。それは実際に来てみていただなかいとわからないですね。ぜひ取材に来てください!
――なんと、完璧な回答……!ぜひ取材に行かせてください。
■店舗情報
へいらっしゃい
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-12-15 新宿第7ビル B1 電話:03-6273-9541
営業時間・定休日:ホスト業と兼業のため、営業時間はTwitterにてご確認ください。
Twitter
HP
メニュー(一部):鮪 時価、雲丹 ¥800、いくら ¥700、玉子(おつまみ) ¥300、穴子(おつまみ) ¥1500、寿司タワー(要予約)¥50,000~
●SHUN(しゅん)さん プロフィール
1987年、東京都生まれ。ホストクラブSmappa! Hans Axel von Fersen代表。NPO法人グリーンバード歌舞伎町チームリーダー。入れ替わりの激しいホスト業界で14年間正統派トップホストとしてその名を知られている。飲食店などをグループ展開するSmappa!Groupのホストクラブ本店の代表を10年間務める。2008年から2年間 おちまさとプロデュース「ヒルホス」のメインパーソナリティを務めるほか、テレビ朝日「ロンドンハーツ」など多くのメディアにも出演。2019年5月には自らが大将を務める寿司店「へいらっしゃい」をオープンさせた。Twitter @hey_rasshai_ Instagram @shun_smappa