あの日のお悩み「せいりせいとん」

ハヤカワ五味さん「生理について話せる社会へ」

生理への理解を深めるイベント「telling, あなただけに言うね、生理のこと。」(協力:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)が4月21日、東京都内で開催されました。telling,読者約30名が参加したこのイベント、インドで安全で安価な生理用品の普及に奔走した男性の実話を映画化「パッドマン 5億人の女性を救った男」の上映に続き、ファッションデザイナー・ハヤカワ五味さんがtelling,の中釜由起子編集長と対談。生理についての考え方や、ハヤカワさんが取り組んでいる生理用品の開発プロジェクトについて意見を交わしました。

●あの日のお悩み「せいりせいとん」

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日本でもいまだにある生理のタブー視にどう対処する?

トークセッションに臨んだtelling,の中釜編集長(左)とハヤカワ五味さん(右)

大学生時代の2015年に「株式会社ウツワ」を起業し、ランジェリーやワンピースのブランドをたち上げてきたハヤカワさん。現在は、どこかタブー視されがちな生理のカルチャーを変えようと、1年ほど前から新たな生理用品の開発に取り組んでいます。きっかけは、自身と同じ多摩美術大学に通っていた女子学生の卒業制作だったといいます。

「彼女は卒業制作としてジェンダーフリーの生理用品を企画していました。本人もLGBTの当事者で、ジェンダーを限定せずに使えるシンプルな生理用品があったらいいと思ったそうです。それで私のところに商品化の相談が来たのが最初のきっかけです」

しかし、生産コストが思いのほか高くプロジェクトは難航。苦心の末、大量生産が必要な使い捨て商品は大手メーカーとコラボレーションし、それ以外の商品は自社開発するという戦略にたどり着いたそうです。

また、画一的なラインナップになりがちな生理用品を「多様化」する試みとして、自社開発した商品も含めた様々な生理用品を網羅したセレクトショップを開く計画も進めているといいます。

「生理がつらくてたまらない時、『こういう商品もあるよ』と、手にとれる場所が必要だと思っています。たとえば、私は個人的に月経カップを一番おすすめしています。漏れることも少ないし、1日1、2回の交換で良かったりしますから。でも、日本ではあまり売られていないので、怖いイメージを抱かれてしまう。色々な商品に気軽に触れられる空間をつくっていきたいです」

トークセッションのテーマは、生理をめぐる社会のあり方へと移っていきました。生理をテーマにした特集「あの日のお悩み、『せいりせいとん』」など、これまで生理について様々な角度で記事にしてきたtelling,編集部の中釜編集長は、生理に対するイメージについて男性に取材した際の印象をこう語りました。

「『CMの青い水みたいにたくさん血が出るの?』とか、『生理用品の羽根って、ギョーザの羽根みたいなもの?』とか、男性側の知識のなさに驚きました。『女性が生理前に不機嫌になる理由がわからないけど、聞いたら余計に怒られそうで聞けない』という声もある一方で、女性の側は『生理が重いけれど男性上司に言えず、休みづらい』と悩んでいる。男女間の認識のズレは大きいと感じました」

これに対し、会社で女性社員と向き合う機会も多いハヤカワさんは、経営者の視点も交えてこう語りました。

「私は生理が軽いので、重い人の気持ちが理解できない。それもあって立場が男性側に近くて、相談されずに突然休みますと言われても『え?』となっちゃう。そういう面は社会的にもっと話せるようにならないといけないし、社会が変わらないといけないですね。生理って『イライラしてます』と同じ文脈で語られやすいですが、風邪をひいたら病院に行くように、自分の力でどうにもならない症状は病院に相談するようにしていくほうがいいと思います」

これには、中釜編集長も「女性の中でも『ここの病院がお勧めだよ』というような話をすることがなかなかない。もっと気軽に話せるようになったらいいですね」と、納得した様子。そのうえで、取材で感じた違和感についてこう語りました。

「なぜドラッグストアで生理用品を買ったら商品を黒い袋に入れるのか。ナプキンのデザインはなぜピンクや水色、花柄など決まりきったものばかりなのか。そうした点に女性の側も疑問を持っています。メーカー側のお話も聞きに行ったんですが、危機感はすごく持っているけれど法律や流通など障壁が多く、大きく変えるのが難しいとのことでした。こういう現状は今後、進展していくのでしょうか」

実際にメーカー側と新商品の開発に取り組んでいるハヤカワさんは、こんな持論を語りました。

「医学が発達する前は体内から血が出る生理という現象は『よく分からないから避けたほうがいいもの』と見なされて、タブー視されてきました。かつてはそれがある意味妥当だったけれど、情報が発達した今、変わっていかなければいけないというのが私の考え方です。これからこう変わるべきだよ、という橋渡しをするのが私の役目だと思っていま動いています。パッケージはあと1年くらいで変わるので、待っていてください」

アンタッチャブルな領域だった生理についてもっと話しやすい社会が来れば、女性はもっと生きやすくなる。ハヤカワさんはトークセッションの最後に、参加者にこう呼びかけました。

「一気に社会全体を変えるのは難しいけれど、まずはパートナーや家族など半径3メートルの距離にいる人と生理について話す機会が持てたら、そこからじわじわと変わっていく。今日来てくれた人が5人に話してくれたら、150人。そういうことの積み重ねで、少しずつ変わっていったらいいなと思っています」

●ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)さんのプロフィール
1995年東京生まれ、多摩美大卒業。課題解決型アパレルブランドを運営する株式会社ウツワ代表取締役。 大学入学後にランジェリーブランド《feast》、2017年にはワンピースの《ダブルチャカ》を立ち上げ、Eコマースを主として販売を続ける。2018年にはラフォーレ原宿に直営店舗《LAVISHOP》を出店。

  • 「パッドマン 5億人の女性を救った男」
  • DVD発売中
  • 【ストーリー】
    インドの小さな村で新婚生活を送る主人公のラクシュミは、貧しくて生理用ナプキンが買えずに不衛生な布を使う最愛の妻を救うため、清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつく。研究とリサーチに明け暮れるラクシュミは、村の人々からの誤解や数々の困難に直面し、ついには村を離れるまでの事態に…。それでも諦めることのなかったラクシュミは、彼の熱意に賛同した女性パリーとの出会いと協力もあり、ついに低コストでナプキンを大量生産できる機械を発明する。そんな中、彼の運命を大きく変える出来事が訪れる――。
    発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 

1990年生まれ。東京都目黒区出身のライター・編集者。「明日を楽しく生きられるように!」をテーマに、旅行、グルメ、ライフスタイルなどに関する文章を執筆しています。
あの日のお悩み「せいりせいとん」