telling,1周年の日に思うこと
大学生のとき、そして社会人になってから数年経っても、「私はいつか情熱大陸に出る」と熱烈に思っていた。「キャリアを積みたいけれど、途中で出産するとキャリアを積むのは難しそう。でも、一人くらい産んでみたいから、いろいろ考えた結果、大学時代に子どもを産んでおくしかない」と思いつめ、親友に相談したりしていた。
何者かになりたかったのだ。
その後、25歳でできちゃった婚をし、離婚もし、いつの間にか36歳になり、そして、去年の今日、telling,の編集長になって早や1年がたった。telling,の1年を振り返っていたら、ふっと気づいた。
情熱大陸には私は今のところ出られそうにないけれど、女性たちに光を当てる場所をつくってきたんだなと。そしてそれは、情熱大陸に出るより、たぶんずっと楽しいことで、私には価値のあることだなと。
telling,にのせてきた記事は、人々の生きる姿そのものだ。
すべての取材に立ち会えるわけではないけれど、100人を超えるライターさんや作家さんにチームに入っていただき、この1年、公開してきた記事は1344本。結婚や仕事、29歳問題、妊娠など、様々なことに悩む人々の生き方を伝えてきた。有名な人ばかりではなく、無名の人にも、等しくドラマがある。
「悩みゼロだぜ!」という人なんてそうそういなくて、
世の中の「こうあるべき」「○○らしく」という言葉や風潮にもやもやしている。
うれしいときもあれば、涙する日もあるし、恋におぼれているときもある。
その悩みのさなかにいる人もいれば、ちょっと超えてあたたかなアドバイスをくれる人もいる。
私は、そうやって登場してくれた人々の成功を喜んだり、つらい出来事を一緒に悲しんだり、
そして生きる知恵をたくさんもらっている。人々が、どんな思いで生きているのか、教えてもらっている。
そうしたいろいろな人の気持ちを知って、理解しようとすることは、人に寄り添って生きられるようになるための一歩なのだと、日々思っている。
先日、こんなことを言ってくれた書き手の方がいた。
〈telling,の好きなところ、なんといっても「あなただけに言うね」というサブコピーに集約されます!ハッシュタグでもすごく控えめで、自分の意見を投げかけやすくて、とってもお気に入りです。もっともっと、みんなの柔らかく世間に投げかけたい言葉と共に「あなただけに言うね」が広がっていけばいいなと思っています。誰が書いた、よりも誰が「何を」言っているか、の方がtelling,ってきっと大切で、そういう目線でみんな読んでいると思います〉
私が望んでいることは、1年の時を経て、こんなにもちゃんと伝わっているんだなと、このメールを何度も読み返した。もっと、いろんな人にtelling,を届けたい、と思った。
「多様性を認めよう」と言わずに、多様な生き方だけを伝える。
自分が好きなように生きたらいいよ、みんな素晴らしいよ。
私は心からそう思う。
telling,はそんな思いを、女性たちに光を当てながら、これからも伝えていきたい。