編集部コラム

モヤモヤを平成に置いていくために、私たちができることって?

telling,編集部にいるからか?いや、世の中が急激に変わっているからか?最近、テレビや雑誌の表現で「それってありなの?」って感じることが増えました。このモヤモヤ、もう平成で終わらせたい……。そのためにできることってある?

●編集部コラム

セクハラ発言が増えたのではなく……

昨年からとにかく#metooやLGBTに関する意見・議論が盛り上がり、それに関連して女性を蔑視・軽視するような発言や記事の炎上がかつてなく増えたように感じます。それは、セクハラを言う人が増えたのではなく、やっと「これっておかしくない?」という考えが世間に広まってきたからではないかと思います。

先日も、由布院のユースホステル経営者のTwitter投稿が炎上しました。

“昨日宿泊の男子学生4人組に由布院の良かった所を聞くと「下の湯です!」と即答。そこは町で唯一の公衆混浴温泉。彼らが入浴中に若い女性が入ってきたそうです。一生の想(おも)い出になったとか。世界の女性陣には知って欲しい。皆さんには特大の魅力が備わっているという事を!”

私がこれを見た最初の感想は「うわ、キモっ」です。男子学生が女性と混浴できてラッキー、というのは全然、わかる。いい思い出になったのも、めっちゃわかる。でも現地で観光業を営む男性がこれを言ったらアウトでしょう。読みようによっては「女性が混浴に入ると男性が喜ぶから、女性はどんどん混浴に入ってよ」という意見にも取れるわけです。女性からしてみれば、「いやいや、男のために風呂に入ってるんじゃねーし。勘違いすんなよおっさん」
というところですね。

余談ですが、私は学生の時に貧乏旅行をしていて、由布院でユースホステルに泊まりました。ユースホステルにもかかわらず源泉かけ流しの温泉がある素晴らしい宿だったんですが、そこだろうか……とちょっと思い出を汚された気分で、げんなりモヤモヤしています。

「ムラ社会の飲み会」感覚はアウト

こういう話、たとえばその地域の集会の「男同士だけの飲み会」だったら普通に話されていることなのかなあ、とも思います。まあ、女同士集まってもなかなか「こりゃ男には聞かせられんわ」って話もしたりしますしね。内輪でだけ盛り上がるのは全然ありだとは思うんです。そこにいる全員の認識がちゃんとあっていて、誰も傷つけていないのであれば。

ただ、その「ムラ社会」「内輪飲み」の感覚をそのままTwitterに載せたら完全アウト。それはすぐに全世界の人に伝わるし、炎上必至です。最近の炎上は、自分の感覚が世間の潮流とズレているということを自覚できていないにもかかわらず、それを言ってしまうことで起こる、というパターンも多いんじゃないかな、と思っています(もちろん、炎上するしない以前に、そもそもの価値観・倫理観が問われているのは言うまでもありません)。

それにしても、telling,で女性のモヤモヤに向き合い続けているせいか、自分の感覚が「これっておかしくない?」に敏感になっているなとは感じます。先日も某人気バラエティ番組で、お笑い芸人がゲストの40代女性タレントに「結婚できないいじり」をしていて、「え、今さらこういうことしちゃうんだ。もう2019年なのにありえないし、ダサい」と思ってしまいました。

最近、お笑い全般が「内輪飲み」みたいに感じられて、「イジり」と「イジメ」の境界も微妙だし、見るに堪えない古いコンテンツのように思えてしまいます。安心して見られるお笑いは、笑点ぐらいじゃないかしら。なんて思ったりもします。

無関心や「どうせ」から一歩進んで

でもこれを言うと、「そうだよね~ありえない」と言ってくれる友達もいますが、「え、なんで急にそんなこと言いだしてるの?」という顔をされるときも多々あります。でもおかしいものはおかしい。そうやって言い続けていかないと、いつまで経っても「なんかモヤモヤする」はなくならない。だからちょっと変な顔をされたりしても、嫌だと思ったり、不快に思ったことは飲み込まないぞ、という気持ちでいます。

世界の中でも「同調圧力」がことさら強いと言われる日本。どうしても「自分はおかしいと思っているけど、世間一般はこれが“普通”なんだろうから、言えない」と思っていた人も多いんじゃないかなと思います。でもそういう人たち一人ひとりが声を上げていけば、もしかしたら“普通”とされていることは誰も望んでいなかったかもしれないとわかった、ということだってありえます。

だから無関心やあきらめをやめて、みんなちょっとでも声を上げてみようよ、と言いたいです。それはnoteやTwitterでの発信かもしれないし、自治体に要望をあげることかもしれないし、投票に行くことかもしれない。それぞれ、「できるけどやってこなかったこと」に取り組めば、きっと世界は変わっていきます。

新元号になるタイミングの2019年、今年。嫌だと思っていたこと、古い価値観は平成に置いていって、新しい世界の扉を開いていきませんか?

朝日新聞バーティカルメディアの編集者。撮影、分析などにも携わるなんでも屋。横浜DeNAベイスターズファン。旅行が大好物で、日本縦断2回、世界一周2回経験あり。特に好きな場所は横浜、沖縄、ハワイ、軽井沢。
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