女子アナの立ち位置。

【古谷有美】古谷有美「大人の女子旅は何かと大変?」

TBSの朝の顔、古谷有美アナ。またの名を「みんみん画伯」。インスタグラムに投稿される、繊細でスタイリッシュなイラストが人気です。テレビとはひと味違う、本音トークが聞けるかも。

●女子アナの立ち位置。

今年は10連休もあるし、旅行の話題やニュースが多いような気も……。なかなか暦通りのお休みが取れない仕事ではありますが、そんな周りのウキウキとした空気に触れて、30代の働く女子が旅に出る理由を少し考えてみました。

「くつろぐ」ことだけを求める旅

といっても、私の場合、旅に出かけたくなるのは、春先よりむしろ冬の寒い時期だったりします。北海道出身のせいか、冬になると「あー、雪不足だな」と感じてしまうんです。雪にぱっと触れたくなるというのでしょうか。あたり一面真っ白な世界にすっぽり入ると、心がとても落ち着くんです。

それなら、実家のある北海道に帰ったらいいのでは?とも思うけど、そう簡単には帰れない距離……。「じゃあ雪があるところで、行ったことがない場所を訪ねてみよう!」と思い立ち、少し足を伸ばしていける範囲で、いろんな雪国を訪れています。

古谷さん提供

雪が恋しくなったのは、東京で一人暮らしを始めてからです。雪の日に傘を差している人の姿に、実はいまだに慣れることができません。
雪国の出身の方には共感してもらえるかと思うのですが、雪が服の上で溶けたりせずに積もるから、屋内に入るときに時にパタパタとはたき落とすと取れるんですよね。
睫毛にも降り積もるあの感覚が、東京で雪を経験するたびに恋しくなります。

この前は、雪と触れあうため新潟まで出かけました。同じテレビ業界で働く仲の良い友人との二人旅です。行き先は、豪雪地帯にある古民家をリノベーションした小さなお宿。
宿の前の雪景色の中でまずは深呼吸。ひんやりとした甘い空気を大きく吸い込んだら、すっかり心も体も満足してしまい、どこに出かけるという訳でもなく、ひたすら温泉に入ってました。

お米が美味しくて、一部屋ずつ趣の異なるつくりになっている「おこもり」にはぴったりの宿で、温泉からあがっては、二人で乾杯。
美味しいお酒を片手に、トランプしたり、お気に入りのDVDを持ち込んで一緒に見たりと、思う存分羽を伸ばしながら二日間を過ごすことができました。

古谷さん提供

ずっと一緒に二人でいても、「誰々さんが気になって」とか、あるいは、「いやー相手もいなくて二人で来ちゃったね、私たち」というような自虐ネタも含め、恋愛やガールズトークめいた話が一切出なかったのも新鮮でしたね。

友だち同士の旅、楽しく過ごすためのポイントはなんだろう

30代に突入すると、なかなか同期や同世代の友人と予定を合わせるのも難しくなってきて、今回のように友人一緒に旅行に行くことも少なくなり、実際は、一人であちこちに時間を見つけて、ぱっと出かけることが多くなっています。
今回も、当初は一人で行こうかなと思ってたのですが、ちょっとした旅館だと宿泊費も結構なお値段だなと悩んでしまって。

以前、ニュース番組でスポーツを担当していた時代にいつも現場で一緒になって、そこで仲良くなった友だちに「きっと忙しいだろうな」と思いつつ、ダメもとで思い切って声をかけると、仕事を調整してわざわざ有休を取ってきてくれました。

同世代を見渡すと、結婚したり、子育て真っ最中だったりという友人も大勢いますし、気軽に旅に誘える友だちがぐっと減ってくる中、一緒に旅行できる友だちはとても有り難い存在です。
しかも、今回のようにずっと一緒にいて、ただひたすらケラケラ笑って、充実した時間を過ごせる二人旅の経験は本当に貴重でした。

一方で、仲良しの友だち同士でも旅行に出かけると、かえって我慢やストレスが溜まって気まずくなったという話も聞くこともありますよね。
感覚が合うかどうか。特に金銭感覚、どこにお金を使うかというバランス感覚が近いというのは大事なポイントかもしれません。

たとえば、お寿司屋さんに入って、
「せっかく来たし、奮発して地元産の美味しいネタをいただこう」
とメニューを開いたところで、
「これちょっと高くない?」なんて反応が返ってくると、微妙な空気が流れるというか、食べたい気持ちを抑えるモヤモヤが残ってしまうというか……。

社会人同士、お互い日々の仕事をやりくりしてせっかく企画した旅だから、豪遊までする必要は全くないけど、ちょっとした贅沢を共有しようという気持ちがピタリと合うと、「来てよかったね」と振り返られる旅になるのではと感じています。

どこにいくでも、きみとなら。

時間を買うという感覚

学生時代とは違って、社会人になりお金もそれなりに自由に使えるようになった反面、足りなくなるのが時間。
その時間に対してお金を使うという感覚が強くなったのが、大人になってからの旅に対する大きな気持ちの変化だなとつくづく思います。

せっかくだから、外に出て珍しい経験しよう、あれもこれも見てみよう。
ーーそんな欲張りはさっぱり捨てて、ピンポイントで一つだけやりたいことを決めてみる。
たとえば、旅先の宿でなにもしないで過ごすのがやりたいことならそれでよし。

私にとっての旅は、「仕事のことを忘れたい」とか、「刺激が欲しい」という現実逃避ではなく、日常の延長になっていき、日常をより豊かにさせてくれる存在になっているんだなと思うと、次の行き先選びが、ますます楽しくなっているのです。

そして、同じ旅でもバックパッカーで海外に出かけていた学生時代の話は、次回のコラムでお話ししたいと思います。

続きの記事<「女ひとり旅の日々。ガンジス川やモロッコで鍛えられたのは…」>はこちら

1988年3月23日生まれ。北海道出身。上智大学卒業後、2011年にTBSテレビ入社。報道や情報など多岐にわたる番組に出演中。特技は絵を描くことと、子どもと仲良くなること。両親の遺伝子からかビールとファッションをこよなく愛す。みんみん画伯として、イラストレーターとしての活動も行う。
九州のローカル局で記者・ディレクターとして、 政治家、アーティスト、落語家などの対談番組を約180本制作。その後、週刊誌「AERA」の記者を経て現在は東京・渋谷のスタートアップで働きながらフリーランスでも活動中。
フォトグラファー。北海道中標津出身。自身の作品を制作しながら映画スチール、雑誌、書籍、ブランドルックブック、オウンドメディア、広告など幅広く活動中。