知ることは、愛すること。こんなん知ったら愛するしかないじゃんか。
●本という贅沢42『吉田豪と15人の女たち』(吉田豪/白夜書房)
泣きながらインタビュー原稿を書き、自分が書いたその原稿を読みながらまた泣くという性癖があります。
好きな書き手さんはいっぱいいるのだけれど、一番泣いたり感動しちゃうのは自分が書いた原稿で、それは多分、共感のポイントが私と一番近いからだと思う(そりゃ、そうだ)。
そんな私が、近年最も「おえっ」てなった(ワタクシ、こみ上げる感情を我慢すると、だいたい喉の奥から「おえっ」ってなります)インタビューが、こちらです。
この本は、AKB48グループやハロプロ、ミスiD出身、でんぱ組.incなどの、アイドルや声優15人に吉田豪さんが切り込んだロングインタビューを集めた書籍。
私、芸能系に疎すぎる人種でして、大変不勉強ながら、ここにいる15人のうち、5人くらいしか名前と顔が一致しなかった。
にも! にもかかわらず!!
魂、持ってかれました。
読んでいる最中には、彼女たちの葛藤や決意に涙し拍手し、
読み終わった後には、彼女たちのTwitterやらブログやらを検索しまくって、このインタビューの間を埋める物語や、その後の物語を読みまくった。
それくらい、彼女たちの言葉はどれもこれも、心にぶっ刺さった。
ミレニアル世代の女子ならきっと、私以上に共感しまくりだと思うので、ただただ読んでほしいの一言なのですが。念のため、私が感動したポイントを。
その1)
まずなにより、最も本音を言いにくいイメージがある「アイドル」という職業に就いているのに、彼女たちがみんな、誰の借り物でもない率直な言葉で語っていること。
リスクヘッジとか、忖度とかなく語られる本音は、どれもこれも強くて美しかった。
そして、人生を賭けて本音で語る人の言葉は、それがどんな方向性の言葉であれ、ちゃんとまっすぐ受け止めようという気持ちが働くこともわかった。
ちょっとSNSでdisられただけで凹んだり、生きづらいと嘆いたりしている私らの今日この頃ですが。
だからこそ、見渡す限り炎上焼け野原の芸能界の中でも、自分らしく発言しようとする彼女たちの姿勢に、背筋が伸びるものがある。
まさか、アイドルの皆さんから学ぶとは思っていなかったけれど、私たち、もっと「思ってもいないテキトーなことを言わない」勇気を、彼女たちから学んだほうがいいかも。
その2)
そして、つくづく、「知ることって、愛すること」だと思ったこと。
これまで何の興味もなかった(ゴメンナサイ)15人ですが、彼女たちの生身の言葉を聞かされるともう、愛してしまう以外の選択肢がない。好きになれないわけがない。この先彼女たちに何かのゴシップが出たとして、嫌ったりできる気がしない。
これって、よく考えたら、すごいことだなって思う。
というのも、最近私たちが日常生活を送る上で、無視したいと思ったり、嫌だなと思ったりすることって、考え抜いて嫌いになったわけじゃなくて、「ただ、知らないだけ」のことが多いと思うから。
その人のことをちゃんと知れたなら、だいたい、嫌ったり対立するのではなく、愛するしかなくなるってことを、この本は教えてくれる。
それを一度この本で体験しちゃったら……。
あの人のことも、もっと知った方がいいな。そして愛した方がいいなって思うんじゃないかな。
これって、やっぱり、すごいことだなって思うんですよね。
- 15人のインタビューの中でも、私が一番好きなのは、後藤真希さんのインタビュー。
そしてこんな話を聞き出してしまう、プロインタビュアー吉田豪さんの『聞き出す力』も、ポチしました。これから読みますよ。
きっと来週には、凄腕のインタビュアーになっているはず、私。
それではまた来週水曜日に。