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ノートで学ぶマネーの「常識」 FP fumicoの“Live colorfully”#62

キャリアチェンジ、その前に! 知っておきたい制度とマネー

「人生100年時代」、終身雇用というこれまでの常識は崩れ、キャリアチェンジを考える人も多いのでは? その前に確認しておきたい制度とお金の注意点を、インスタグラムへの投稿で主に20~40代の女性から支持を集めるFP(ファイナンシャルプランナー)のfumicoさんが、インスタでもお馴染みの手書きのノートとともに解説します。
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「35歳の壁」を越えて転職する時代に

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2024年の転職者数は331万人 と、3年連続で増加しました。
賃上げの流れや人手不足もあり、転職によって賃金がアップする人も増えています。学生時代のわずかな情報と限られた時間の中で決めた最初の就職先から一歩踏み出す方が、今後ますます増えていくかもしれません。

キャリアの棚卸しは、転職をしない場合でも役に立ちます。
年度末など定期的に、ご自身の強みとこれから身に付けたいスキルを客観的に把握しておけば、同じ会社に勤め続ける場合でもプラスに働きます。

仕事に何を求めるかの優先順位は人によって異なりますし、人生における仕事の優先順位がライフイベントに応じて変わることも。育児や介護、病気などにより働き方を抑えざるを得ない事態に直面する可能性は、誰にでもあります。キャリアの棚卸しと同じように、転職を考えていない方であっても確認しておきたいところです。

生活防衛資金は?制度は? 事前確認を

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転職先が決まっていなければ、生活防衛資金は必ず準備しておく必要があります。後述するような要件を満たしていれば、離職した時に雇用保険から失業給付(基本手当)を受給できますが、自己都合での退職の場合、すぐに受け取れるわけではありません。
転職先が決まっている場合でも、新たな仕事を始めるにあたっては何かとお金が掛かるもの。定期券をいったん立て替えておくといったケースもありますし、フリーランスや自営業となる場合、最初は赤字になることも多い。
生活防衛資金を準備しておけば、慌てたり妥協したりせず、キャリアチェンジに臨むことができます。

企業年金のポータビリティーや退職後の税金・社会保険については、転職先や現在のお勤め先への確認が必要。退職する際は、お勤め先との関係がよくないといったケースもあるでしょうし、転職活動中にそういったことを聞いて心証が悪くなることを心配する方もおられるかもしれません。
とはいえ、確認せずに転職してしまって後で困っても、誰も助けてくれません。頭の片隅に置いておき、必要な情報を得られるようにしましょう。

退職後、すぐに新しい職場で働く場合、ご自身で手続きが必要なことは多くありません。社会保険については転職先で加入し、税金については転職先に所定の書類を提出すれば、引き続き給与天引きで納めることができます。
一方、転職先が決まっていなかったり、フリーランスや自営業になったりする場合はご自身で手続きが必要です。
公的な医療保険については、ノートに書いた3つの選択肢があり、それぞれ保険料の負担や保険給付の手厚さが異なります。
年金保険については、国民年金に加入するか、家族の扶養(第3号被保険者)になることに。
住民税は前年の所得に対して掛かるため、当年の収入が0であっても納めなければいけない点にも注意しておきましょう。

これまで、税金や社会保険について意識していなかったために、いざキャリアチェンジを考えると制度がちんぷんかんぷん……という方も多いので、日頃からなるべく意識しておきたいところです。

受け取れるお金を確認しておく

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退職金は丸ごと受け取れるわけではなく、税金が引かれます。余談ですが、退職金に掛かる税金を計算する際、勤続20年を超えると有利に。ここでも、終身雇用制度が前提になっていることが分かります。転職者にとって不利であることは以前から問題視されているため、今後は税金の計算方法が変わる可能性もあります。

教育訓練給付金については、♯15『資格取得は最強の“投資”!?』でご説明しています。
転職前だけでなく、離職後(1年以内)でも支給の対象となりますし、25年4月以降は失業給付の受給においてもメリットがあり、自身のスキルアップに繋げながら収入減少への不安も軽減できる、まさに“一石二鳥”の制度といえます。

失業給付(基本手当)を受けるには、原則として離職の日以前の2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が通算して12か月以上あることや、就職する意思があること、求職活動をしていることが要件です。
失業給付を受け取るまで、現在は約2か月半掛かっていますが、4月以降は短縮されることに。転職したいけれど、収入面の不安から踏み切れない……という方にとって朗報です。
ただし、5年間で3回以上、自己都合で退職した場合は給付制限期間が3か月になります。これは、あまりにも短期間での転職を国は後押ししていないという姿勢の表れでしょう。

“なりたい私”をイメージすることから

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女性の場合、ライフイベント(結婚や出産、不妊治療、パートナーの転勤等)により働き方を変えるケースも依然として多くあります。
生活スタイルを急に変えることは難しいため、家計や家事の分担を柔軟に見直す、生活防衛資金を手厚めに準備する、固定費を中心に家計の見直しをしておくなど、これまでにお話ししてきたような基本的なコトを今一度確認しておきましょう。

私が初めて転職をした時は、頑張って就職活動をして、せっかく希望の会社に入ったのに……とギブアップしてしまう自分を責めるような気持ちもありました。それでもあの時、勇気を出して転職を決断したことで、ぼんやりとしていた「やりたいこと」の輪郭がはっきりと見えるようになりました。
人生は一度きり。ひとつの会社に勤め続けること、キャリアチェンジをすること、どのような道を選ぶかに、「正解」はありません。“なりたい私”をイメージしながら一歩ずつ進んで行きましょう!

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FP fumicoの“Live colorfully”の次回は、3月28日に公開の予定です。

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『NISA&iDeCoはじめます! ファイナンシャルプランナーが教える 正しいお金の向き合い方』

著者:FP fumico
発行:KADOKAWA
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CFPⓇ保有のファイナンシャルプランナー。 大学卒業後、生命保険会社や市役所での勤務を経て、2017年12月より「お金」に関するInstagramへの投稿を始める。社会保険や税金・資産運用といった学ぶ機会がなく、話題にも上りづらいコトを身近に感じてもらえるよう、解説の投稿は手書き。趣味は起床後すぐの15分ヨガと、株式投資。