八木勇征・櫻井海音
八木勇征さん(左)、櫻井海音さん

八木勇征さん・櫻井海音さん、経験を積むことで変わる「ありたい背中」と「プレッシャー」

話題作への出演が続く俳優の八木勇征さんと櫻井海音さん。キャリアを重ねている二人に、これまでに思い切って挑戦した瞬間について、また経験を重ね現場でのポジションが変わっていくことにどのように向き合うか、伺いました。
八木勇征さん・櫻井海音さん「夢は、叶えるまでの“過程”も大事」 映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』で共演 【画像】八木勇征さん・櫻井海音さんの撮り下ろし写真

「自分に戻る時間」がなかったほどのめり込んだ(八木)

――お二人にとって「人生で一番の挑戦をした瞬間」はいつですか?

八木勇征さん(以下、八木): いろいろありますが、役者人生でいうと、去年ショートドラマ『最期の授業-生き残った者だけが卒業-』の撮影に臨んだ時です。学校の先生役も、恋人を死に追い込んだクラスに復讐しようとする役柄も、自分がこれまで演じたことがない人物像で、ものすごく難しかったんですよね。

撮影期間は4日間とタイトだったのですが、その間だけ別の世界にいたというか……“八木勇征”に戻る時間が一切なかったです。そんな経験は初めてで、刺激的でしたし、俳優としての挑戦でしたね。

八木勇征
八木勇征さん

櫻井海音さん(以下、櫻井): 僕は中3のとき、子どもの頃からやっていたサッカーをやめて、音楽をやる決断をしたときですね。11年間「サッカー選手になりたい」という目標に向かってやってきたので、それがゼロになることへの怖さがありました。それでも、自分の気持ちがいつの間にかサッカーではなく、音楽のほうに向いていることに気づきましたね。

櫻井海音
櫻井海音さん

「10代で描いたイメージ通りになって来たのかな」(櫻井)

――telling,の読者世代は、仕事では後輩が増えて責任のあるポジションに就いたり、プライベートでも結婚や出産など変化があったりと、さまざまな分岐点を迎える人が多い年代です。人生の分かれ目で躊躇せずに一歩踏み出すには、どんなことが大切だと思いますか?

八木: 所属しているFANTASTICSというグループが、いつまでも最若手のような立ち位置でいたんですけど、気がついたら後輩たちがどんどん増えていたんですよね。僕は先輩の背中をずっと追いかけてきたタイプだったので、後輩ができることにまだ慣れていない面もあるんですけど、それでも「追いかけてもらえるような背中」を目指そうと、少し意識が変わりました。僕自身が「かっこいいな」「魅力的だな」と思ってもらえるような人間でいたいし、そのために一つひとつの現場で、しっかりと結果を出していきたいなと。

でも、「責任のあるポジションだから」とか「後輩のために」とか力み過ぎずに、自分の目指したいスタイルや、後輩の目に自分がどう映りたいかを考えて、そこに寄せていく方法もありなんじゃないかなと思います。

八木勇征

櫻井: 僕も現場で、自分が一番年下なのが当たり前だったのに、最近年下の方が増えていて、こうやって後輩が増えていくのかなと感じているところです。まだ人生の分岐点とまでの年齢ではないかもしれませんが、考えてみると「あのとき、この道を選んだことが間違いだった」と後々振り返ることって、よほどのことでない限りないような気がします。だいたいのことは、なるようになる。そう思うと、少し楽になってくるんですよね。

これまで想定外なこともあったけれど、それでも10代の頃に描いた「この時期までには自立していたい」というような漠然としたイメージ通りにはなっているんです。だから、自分の目指している方向性を大切に、進み続けていくのが大事なのかなと。

櫻井海音

注目されるということ

――お二人は最近ますます活躍の場が広がっていらっしゃいますが、注目される機会が増えたり、自分のポジションが少しずつ変わっていったりすることについて、プレッシャーはありませんか?

八木: うーん、そんなに感じたことがないですね。「ここで必ず成功させなきゃ」というような気負いがあまりないからかもしれません。一生懸命取り組まずに失敗するのはちょっとな、とは思いますが、頑張ってやってみて、一見よくないような結果が出たとしても「この方向性はダメなんだ。じゃあ違うことを試してみよう」と切り替えられるのなら、それは失敗ではないのかなって。うまくいっても、いかなくても、それは単に自分がしたことの「結果」と思うようにしています。

櫻井: 僕も今のところプレッシャーはないんですけど……今、松坂桃李さんと岡田将生さんとドラマで共演させていただいているのですが(TBS日曜劇場『御上先生』)、お二人も「後輩とお芝居をするほうが緊張する」っておっしゃっていたんです。

八木: へええ~!!

櫻井: だから、これから僕にも、そういう瞬間が訪れるのかなって今は思っています。

八木勇征・櫻井海音
八木勇征さん・櫻井海音さん「夢は、叶えるまでの“過程”も大事」 映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』で共演 【画像】八木勇征さん・櫻井海音さんの撮り下ろし写真

■映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』

出演:八木勇征 井上祐貴 櫻井海音 椿 泰我(IMP.)/カンニング竹山 阿部亮平 髙橋 洋 馬渕英里何/平野宏周 工藤美桜/笹野高史 田辺誠一
原作・脚本:鈴木おさむ
監督:木村真人
制作:共同テレビジョン
配給:ポニーキャニオン
©2025 映画「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」製作委員会

ライター・編集者。1988年、神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後ベネッセコーポレーションに入社し、編集者として勤務。2016年フリーランスに。雑誌やWEB、書籍で取材・執筆を手がける他に、子ども向けの教育コンテンツ企画・編集も行う。文京区在住。お酒と料理が好き。
1989年生まれ。写真の専門学校卒業後、出版社写真部に所属。現在はフリーランスとして活動。