佐野勇斗

佐野勇斗さん「自分の幸せのために“わがまま”になってもいい」

俳優として、ダンスボーカルグループM!LKのメンバーとして、活躍の幅を広げる佐野勇斗さん。2月14日公開の劇場版『トリリオンゲーム』で“凄腕エンジニア”のガク(平学)を演じて考えた恋愛観や、スランプへの向き合い方などをうかがいました。
佐野勇斗さん「挑戦を続けた人にしか見えない景色がある」 劇場版『トリリオンゲーム』で“ハルガク”のバディ再び 【画像】佐野勇斗さんの撮り下ろし写真

記念日には感謝の気持ちを言葉で

――『トリリオンゲーム』では、ガクと福本莉子さん演じるリンリン(高橋凜々)の恋の行方も注目されます。恋愛面でガクに共感する部分はありますか?

佐野勇斗さん(以下、佐野): ガクが望むのは、仕事で夢を叶えることと、好きな人との幸せ。僕ならば、両方とも選びたいです。ただ、ガクは、リンリンとのデートの回数が、ドラマから映画の間でわずか3回ほどなんです。確かに、彼は社長の仕事が忙しいのかもしれませんが、「3回って、どうなの?」って。僕も、好きな人へのアプローチには慎重になるかもしれないけれど、さすがにずっとは待てないです(笑)。

――本作の公開日は、バレンタインデーです。佐野さんは、何かの行事にちなむ「記念日」をどのように捉えていますか?

佐野: 大切にしたい日だと思っています。恋人に限らず、夫婦や家族同士でも、普段から感謝の気持ちを伝え合うのが一番ですが、誕生日や結婚記念日といった日にあやかって、僕は思いをぜひ言葉で伝えたいです。

佐野勇斗

バレンタインデーに自ら動き出せない、と女性が緊張するのもめっちゃ分かります。僕も同じ立場なら、躊躇するかもしれない。でも、やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい。どんな形であれ、相手の人はうれしいと思うし、ぜひ一歩踏み出してみてもいいんじゃないかな。

小さな幸せの積み重ねから、大きな夢へ

――ガクは、目黒蓮さんが演じるハル(天王寺陽)と一緒に1兆ドルを稼ぐ壮大な目標を持ちつつ、海辺に家を買って好きな人と住む「小さな幸せ」も願っています。佐野さんは、今思い描くとしたら、どちらの生き方を選びますか?

佐野: もう完全に、1兆ドルの方ですね(笑)。いや、それはちょっと言い過ぎかもしれないけれど、僕はもともと、大きな夢や野望を抱くタイプ。M!LKでドームツアーを実現したいし、僕たちのグループを見て、皆さんに元気になってもらいたいとも思っています。

もちろん、それらは小さな幸せの積み重ねがあるからこそ成り立つもの。大きな夢を見すぎて、小さな幸せを感じられなくなるようにはなりたくないです。

――ハルは、ガクとは対等な立場であり“仲間”だと評しています。佐野さんが仕事を共にする人たちとの関係性で、心がけていることはありますか?

佐野: 俳優として活動する場では、いろいろな会話から相手の人となりを知るのが好き。その人がどんな生き方をして、仕事をする上でどんな考えを持っているのか、学びたい気持ちが大きいのかもしれないです。

M!LKのメンバーとは付き合いも長く、まさに「一心同体」。本当に自分の体の一部のように思っています。僕が仕事で学んだことはメンバーに伝えるし、その逆もしかりですね。

――佐野さんは、M!LKのメンバーや友達と過ごす時は、どんなポジションですか?

佐野: M!LKでの僕は、率先してみんなを引っ張っていくのではなく、結構一歩引いて周りを見るタイプ。友達といる時も同じような感じです。そういった冷静さを持ち合わせているところは、ガクと似ているかもしれません。

佐野勇斗

変わろうともがき続け、扉が開いた

――話題作の出演が続く佐野さん。NHK連続テレビ小説『おむすび』で役を演じる四ツ木翔也は、肩の故障でプロ野球選手の夢が絶たれたのち、主人公・結と結婚し、父親にもなりました。ご自身にとって、仕事でのターニングポイントは?

佐野: 『トリリオンゲーム』での目黒くんとの出会いはもちろん、これまで転機が何回かありました。俳優としては、18歳で上京して、ドラマ『砂の塔』(2016・TBS系)に出演していなければ、何も始まっていなかったと思いますし、M!LKは、僕の人生の基盤になっています。

でも、思うような結果がなかなか出ず、上のステージに進んでいないと思ってしまう時期もありました。ようやく自分の中で歯車が回ってきたのは、ドラマ『ドラゴン桜』、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(いずれも2021・TBS系)、『真犯人フラグ』(2021・日テレ系)に出演した4年前ぐらいからです。

――そういったスランプをどのように乗り越えたのでしょうか?

佐野: もちろん、マネージャーや事務所の方々のサポートもありましたが、自分自身が変わろうという気持ちを常に持っていました。インスタライブを始めるなど、いろんなことにトライして、めちゃくちゃもがいていましたし、一つ一つの仕事に手を抜くこともしなかったです。全てにおいて頑張り続けていたら、それこそ、扉が開いたように感じられました。役者として自分をさらけ出すことで、おぼろげながらも、「佐野勇斗」という人間を確立していったように思います。

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悩む気持ちをポジティブに変換して

――telling,の読者世代には、結婚や仕事、出産などのライフステージにさまざまな選択が訪れ、生き方に悩む女性たちもいます。同世代が前向きになれるようなメッセージをぜひお願いします。

佐野: 僕自身、周りに結婚している人も多く、「自分の将来、どうしようかな」と悩むことがあるので、みなさんが迷う気持ちもよく分かります。一概には言えませんが、どんな選択であれ、結局、幸せになれるかどうかは自分次第。ハルのように“わがまま”になってもいいのではないでしょうか。

1回だけの人生だし、あまり考えすぎず自由に。マイナスの感情になればなるほど、良くない方向に進むかもしれないし、自分の気持ちをポジティブに変換して、一番楽しい今を過ごしてほしいですし、僕もそうしたいと思っています。

佐野勇斗さん「挑戦を続けた人にしか見えない景色がある」 劇場版『トリリオンゲーム』で“ハルガク”のバディ再び 【画像】佐野勇斗さんの撮り下ろし写真

●佐野勇斗(さの・はやと)さんのプロフィール

1998年生まれ、愛知県出身。2015年に映画『くちびるに歌を』で俳優デビュー。近年の出演作は、劇場版 『TOKYO MER~走る緊急救命室~』、『六人の嘘つきな大学生』、NHK連続テレビ小説『おむすび』、ドラマ『マイダイアリー』など。ダンスボーカルグループ「M!LK」のメンバーとしても活動中。

■劇場版『トリリオンゲーム』

出演:目黒蓮、佐野勇斗、今田美桜、福本莉子、鈴木浩介、竹財輝之助、あかせあかり、原嘉孝、津田健次郎、シシド・カフカ、田辺誠一、石橋凌、吉川晃司、國村隼ほか
原作:稲垣理一郎/作画:池上遼 『トリリオンゲーム』(小学館 ビッグコミックスペリオール 連載)
監督:村尾嘉昭
脚本:羽原大介
音楽:木村秀彬
主題歌:Snow Man「SBY」(MENT RECORDING)
2月14日(金)公開
製作幹事:TBSテレビ
制作プロダクション:TBSスパークル
配給:東宝
©2025 劇場版『トリリオンゲーム』製作委員会 ©稲垣理一郎・池上遼一/小学館

神奈川県出身。早稲田大学商学部卒業。新聞社のウェブを中心に編集、ライター、デザイン、ディレクションを経験。学生時代にマーケティングを学び、小学校の教員免許と保育士の資格を持つ。音楽ライブ、銭湯、サードプレイスに興味がある、悩み多き行動派。
2007年来日。芸術学部写真学科卒業後、出版社カメラマンとして勤務。2014年からフリーランス。