脱・受け身! 婚活女子へ「自分から動いて選ぶ」恋愛のススメ 見知らぬミシルさんに聞く
女性がアプローチしないと恋が始まらない時代
恋愛は「どんなふうに始めるか」、つまり付き合う前の関係の築き方がとても重要です。たとえば積極的にアプローチしてくれる男性が、あなたの目の前に現れたとします。自分は何もしなくても率先してデートに誘ってくれるし、告白もしてくれる。そんな相手は一見すると楽で、魅力的に見えるかもしれません。
でも、その楽さに流されて、女性が受け身のまま恋愛を始めてしまうと、付き合ってから対等な信頼関係を築こうとしてもなかなかうまくいかないのです。男性が主導権を握り女性は従うだけ、といった関係が続くと、いつの間にか女性は「嫌われないように」と自分の意思を表現できなくなっていくし、場合によっては男性がモラハラ気味になっても、なかなかその恋から抜け出せないこともあります。
遊びの恋愛ならそれでも良いかもしれませんが、結婚を考えるのであれば、女性が主体性を持ち、意思を持って対話をしながら恋愛を始めるのはとても重要なことです。
くわえて昨今は、女性側からアプローチをしないと、恋がなかなか始まらない時代になっています。男性視点で見ると、現代では男性が積極的に誘うだけで、セクハラと言われるリスクがあります。その反面、女性から「男らしくリードして」と要求されることも。恋愛以外にも娯楽がたくさんあるなかで、わざわざリスクをとって難しい恋愛をしなくてもいいやと考える男性が増えているのです。
チョコを渡すだけでなく一緒に伝えるべきこと
自分からアプローチできる女性はあまり多くないので、自然な形で好意を示したり、誘ったりできるだけで、周りの女性と差別化できる可能性があります。
たとえばバレンタインで、少し気になっている相手にチョコレートを渡す場合。チョコを渡すだけではなく「〇〇さんのこういうところが素敵だなと思っています」「こんなところを尊敬しています」などの気持ちを一緒に伝えてみるのはいかがでしょうか。
少しあざとく思えるかもしれませんが、もし職場のみんなにチョコを配る場合は、意中の人にだけ素敵なところを書いた手紙を入れておくのもいいですね。その上で「〇〇さんとはもっと話してみたかったので、手紙を入れたんです」「もし都合があえば食事でも行きませんか?」と誘ってみる。
大事なのは誘うだけでなく、なぜ相手に興味を持ったのかを伝えることです。ただ「なんとなく好きだから」「かっこいいから」ではなく、「あなたのこういうところが素敵だと思っています」と一歩踏み込んで伝えることで、相手も「ちゃんと自分を見てくれているんだな」と本気で向き合おうとする。
もちろん、相手に好意が受け入れられるかどうかはわかりません。それでも、そうやってきちんと言葉にして、恋愛関係が始まる前から信頼関係を築こうという姿勢を見せておけば、その恋が成就した場合、安心して関係を深めることができます。だから「恋愛ははじめよければ全て良し」なのです。
仕事ならうまくいくのに恋愛は……という人は
ときどき「仕事ではうまくやれるのに、恋愛となるとなぜかうまくいかなくなる」と語る人がいます。
仕事の場合は、達成したい目的が明確になっていることが多く、その目的達成のために同僚や仕事仲間と協力している。いわば仕事上で築く関係は、能力や実績、成果に対する「信用関係」です。
一方、恋愛は誰かがゴール設定をしてくれるわけではありません。「どんな関係を目指すか」から二人で考えをすり合わせ、築いていく必要がある。だから、恋愛では「この人となら大丈夫」と思える信頼関係を築くことが大事なのです。
信頼関係を築くには、相手の考え方や大事にしている価値観、自分を押し殺さずにいられるかどうかなどを知る必要があります。ところが自分のことを伝えようともしない、相手のことも知ろうとしていない状態で恋愛を始めてしまうと、付き合ってから相手への不満がどんどん湧き出てしまう。それは、いわば商品を買う前の下調べをまったくしていないのに、買ったものにケチをつけている状態です。
「私はスパッと別れられるタイプ」という人は、試しにどんどん付き合ってみるのも良いかもしれませんが、たいていの場合、一度付き合ってしまうと、別れるのには相当のエネルギーがかかります。付き合うと相手に執着しがちな人は、付き合う前にこそ自分や相手を知ることに力を注いだほうがいいでしょう。
たとえばマッチングアプリで、プロフィール欄に「趣味は映画鑑賞です」「休日はカフェ巡りをしています」と無難なことを書いていませんか? これでは実際に会っても、上面だけの会話に終始してしまうことが多いです。
「洗面台に水垢がついているのがダメなタイプです」「旅行に行くときは、計画を立てずにその場の偶然を楽しみたい性格です」など、自分が譲れないことや、大切にしている価値観を書いたり、会ったときに話ができる状態にしておいたりするだけでも、お互いを知るための一歩になります。
愛された経験がないと良い恋愛はできないのか?
待っているだけではなく、自分から動いて自分で選び、幸せな恋愛をする。しかし、どうしても受け身になってしまう女性の中には「男性と信頼関係を築ける気がしない」と語る女性も少なくありません。
そんな女性の恋愛相談を聞いていると、過去の恋愛関係や家族の問題に行き着くことがよくあります。恋愛がうまくいかない状況を紐解いていくと、親の期待に応えるために我慢してきた人や、「本当はもっと大切にされたかった」「本当はもっと話を聞いてほしかった」といった思いをしまい込んでいる人が多いのです。
では、愛された経験がないと、良い恋愛はできないのでしょうか?
もし恋愛がうまくいかず、いつも相手に大切にされないと悩んでいる人がいたら、僕は「あなた自身は、人を大切にしていますか?」と聞いてみたいです。なぜなら人は、自分が日常的にしている気遣いや思いやりと同等のレベルを、他の人にも求める傾向があるからです。
たとえば、いつも「人の話を決めつけずに、丁寧に聞こう」と心がけている人は、自分の話をおざなりに聞かれ、簡単に決めつけられたときに「おかしいな」と気づくことができます。相手に自分が嫌だと感じる気持ちを伝えたり、場合によっては相手から離れたりすることができるでしょう。その逆に、丁寧に自分の話を聞いてくれる人がいたら、その人の思いやりに気づき「この相手を大切にしよう」と思えるはずです。これは恋愛関係に限らず、あらゆる人間関係において言えること。
誰に対しても敬意を持って接しようとすれば、必然的に、自分にも敬意を持って接してくれる相手を引き寄せることになるのです。
だから僕は「愛された経験がない人は、良い恋愛ができない」のではなく「愛そうとした経験がある人は、幸せな恋愛ができる」のだと思います。愛されるかどうかは自分にはどうにもできませんが「愛そうとする」かどうかは自分次第です。まずは自分が人を大切にしているか、意識せずに誰かを傷つけるようなことはしていないかと見つめ直してみてください。
著:見知らぬミシル
発行:イースト・プレス
価格:1,650円(税込)
人気恋愛カウンセラーである著者の恋愛哲学書。「別れや失恋をどう乗り越えたらいいのか」「人はなぜ浮気をしてしまうのか」「なぜクズ男ばかりを好きになってしまうのか」など、著者のカウンセリング経験から特に印象深く、学びが多かった対話をもとに、恋愛における本質的な問いを解き明かしている。