モデル・舟山久美子さん「Popteenのくみっきー」卒業後、“新しい自分”を見つけるまで

雑誌『Popteen』の看板モデルとして、当時10代の女の子から人気を集めた舟山久美子さん(29)。金髪の盛り髪、目の周りを真っ黒に囲む派手なメイクなどが流行った平成のギャルを引っ張り、“くみっきー”の愛称で親しまれました。『Popteen』卒業後は、全く異なるイメージでモデルの活動を続けています。ギャルからの方向転換や結婚前に悩んだことなどを聞きました。

つけまつげにカラコン…できあがったくみっきー像

――17歳から23歳まで続けた『Popteen』モデル時代、ティーンの憧れの的として活躍されていました。読者のお手本となるように意識してきたことはありますか。

舟山久美子さん(以下、舟山): 私はもともと「芸能界に入りたい」と思っていたわけではなくて、17歳のとき渋谷でスカウトされてモデルになりました。中身はめちゃくちゃ普通の女子高生だったんですよ(笑)。当時は「仕事」という意識はあまりなくて、好きなことをがむしゃらにやっていた感じでしたね。
活動していくなかで、ありのままの自分の言葉だからこそ同世代の子に支持してもらえていると知りました。だから心のなかで決めていたのは、絶対に嘘をつかないこと。自分の実体験の話だけするようにしていました。『Popteen』の看板を背負っていたので、真似してくれるファンの方に対して発信していけるよう「自分の意見を強く持っていなきゃ」と思っていました。

『Popteen』2014年10月号、TRUSTAR提供、©角川春樹事務所

――6年にわたり看板モデルを務めた『Popteen』を23歳で卒業しました。

舟山: 20歳で卒業するモデルが大半のなか、23歳まで続けていた私は普通じゃなかったと思います。
“『Popteen』のくみっきー”像って、笑顔・甘ギャル・ポップ・・・時には舌を出したりウインクしたりする「はじける元気!」みたいなイメージ。つけまつげも大きいカラコンも、編集長からは「絶対着けて」と言われていました(笑)。でもやっぱり20代になってからは、10代のモデルの子たちとは体形が全然違う。当時の私は完璧にしたい性格だったので、10代っぽい体形にするために無理なダイエットをしたこともあります。それに、年を取るにつれて落ち着いた大人っぽいファッションをしたい気持ちも出てきました。「ギャルモデルを続けてください!」って言ってもらえることもあったけど、正直つらい部分もありましたね。

『Popteen』卒業イベント、2014年撮影、TRUSTAR提供

舟山: その一方で、卒業前後は「『Popteen』が無くなったら何ができるんだろう」という不安もあって。今まではみんなが求めるくみっきーを一生懸命やればよかったけど、その肩書きが無くなったら、“舟山久美子”として新しい姿を見せ続けていかなくてはいけません。それまでのイメージが強かったから、そこから抜け出すのが大変でした。

――卒業後は『with』や『美人百花』など、フェミニンで大人可愛い雑誌のモデルとして活躍されています。どうしてそのような方向転換をされたのでしょうか?

舟山: 自分が出たい雑誌というのもありましたが、編集者の方が私に似合うものを考えてくれました。
これまでとは全然違っていたので、最初は「前のくみっきーの方がよかった」という声が多く寄せられましたね。逆に「新しいくみっきーが見たい」って言ってくれる人もいて、どっちがいいのか本当にわからなくなりました。
同時に、表に出る「元気なくみっきー」がいる一方で、ものづくりやコツコツ地味なことをするのが好きな自分もいたり、プロデュース的なことが好きな自分もいたりする。「結局、どれが本当の自分なんだろう」ってすごく悩んでいました。
そんなときに、仕事でお世話になったファッション関係の方の言葉に救われたんです。「『どれが自分なんだろう』って分けて考えるんじゃなくて、『どの自分も自分』っていうのを忘れちゃだめだよ。全部ひっくるめて舟山久美子なんだから」と言われたのが、腑に落ちて。どれも自分が選んだ道だから、やりたいことと違ったとしても一生懸命やることに意味がある。悩みやうまく行かないことも、いずれ自分自身になっていく、と考え方を変えました。

舟山: 『Popteen』卒業前後から、人の意見を本当によく聞くようになりました。これまでのイメージが強すぎて自分でもどうしたらいいかわからなかったから。色んな姿をInstagramに投稿して反応をみたり、やったことがないようなヘアメイクを試したりして、友達や仕事関係の人、そしてファンの方々の意見に耳を傾ける。「これで合っているのかな」って、常に自分のなかの正解を探してきました。これはいまでも研究中です。いつか全部ひっくるめて「これも私だよね」って思えるようになりたいな。

ファンとは「言いたいことが言い合える関係でいたい」

――昨年にはYou Tubeチャンネルも開設しました。

舟山: You Tubeチャンネルは、ずっと開設してほしいという要望がありました。「10代のときに見ていたくみっきーが芸能人になって、ちょっと遠い人になったよね」とは思われたくなくて、ファンの方とは良いことも悪いことも言い合える関係でいたい。そういう場としてYou TubeやSNSがあるものだと思っています。
この仕事を続けている理由は、「皆と成長していきたい」っていう思いからなんです。10代から応援してくれている方もいるので、就職や結婚前、そして結婚後などライフステージに沿った悩みに、いち女性として共感し合える存在でいたい。「くみっきーに救われました」って言ってくれている方もいるし、私自身もファンに救われたこともあります。

――ファンの方の声に救われたのは、どのようなことでしょうか?

舟山: 9月に予定していた結婚式をコロナの影響で延期することになったんです。夫と2人で決めたことだし仕方ないんですけど……ずっと自分の中でスッキリしませんでした。夫に言うのも違うし、友達にも、コロナで会っていなかったので言いにくくて。

そんなとき、ファンの方から「結婚式どうするんですか」ってDMをたくさんいただきました。当初は式の延期について伝えるつもりはなかったんですけど、同じ悩みを抱えている人に一つのかたちとして伝えられたらと思い、Instagramに投稿しました。すると「私も悩んでました!」って共感のコメントがたくさん届いて、「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」って私もすごく救われましたね。これからも、ファンの方とはそういう距離感でいられたらうれしいです。

「25歳までに結婚」縛られすぎてうまくいかなかった

――昨年9月にご結婚されてから、何か変化はありましたか。

舟山: 今までは、自分を中心に考えてお仕事を選んでいましたが、2人の人生を基準に時間の使い方を考えるようになりましたね。前は仕事一直線で「できるうちにしとかな!」みたいな感じでした(笑)。でも、それだと心の余裕がなくなって、夫に強く当たってしまうこともあって…自分の感情をコントロールできるぐらいの状態でいたいと思うようになりました。結婚してから、すごくいいバランスで仕事ができるようになったんじゃないかな。

――「20代のうちに結婚したい」と焦る人もいます。ご結婚された舟山さんからメッセージをいただけないでしょうか。

舟山: 私も「25歳までに結婚したい!」って10代の頃から思っていたんです。そこに縛られすぎて、これまでの恋愛は結婚が目的になってしまっていました。だからうまく行かなかったのかな。

結婚もお仕事と似ているような気がするんですよね。仕事は目標を決めて、目の前のタスクをこなしていくじゃないですか。それと一緒で、素敵な結婚や生活を送れるようにお料理を頑張るとか、自分磨きを頑張るとか。自分の理想があったらそのための努力をしていくなかで自然と出会えるんじゃないかな。

周りの友達が結婚するのが早くて、「久美子は結婚早いって思っていたけど、なんだかんだ(そのグループの中では)最後だったね」って言われたときに、「何がいけなかったんだろう」って考えたんです。そのとき、相手にばかり目を向けていて、自分自身をよく知らないことに気付きました。「添い遂げられる人ってどんな人なんだろう」とか「自分に足りないもの」「なぜ過去の恋愛はうまくいかなかったんだろう」とかいうことをノートに書き出してみたんです。すると「自分に合う人」というのが徐々にわかってきて。相手を見つけるために、まず自分を知ることが大事なんだと感じました。

「もう結婚なんて無理かもなあ」と、諦めかけていたときにたまたま出会ったのが今の夫なんです。よく「きばってない方がいい」って言いますけど、本当なのかな(笑)。人生何があるかわかりませんね。
人によって環境はそれぞれだと思いますが、頭で考えすぎず、心で感じるということも大切なことなんだと思います。

●舟山久美子さんのプロフィール
17歳の時に渋谷でスカウトされモデルデビュー。「Popteen」の専属モデルとして「くみっきー」の愛称で人気を集め、連続17回、通算37回の表紙起用を記録。現在は、「美人百花」などのファッション誌のモデルを務めるほか、テレビ出演も。2013年、ファッションブランド「MICOAMERI(ミコアメリ)」の立ち上げや2019年「シブヤ・スマイル・Project」アンバサダーに就任するなど、活動の幅を広げている。ダイエット健康協会認定ダイエットインストラクターや日本化粧品検定認定コスメコンシェルジュなど美容系の資格を持ち、ファッション・美容系の情報を発信するSNSの総フォロワー数は300万人超。

写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。

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