自宅待機のストレス対策に動物性食品が欠かせない理由
ストレスの正体は活性酸素
新型コロナウイルスによって生活が一変しました。いまは環境変化に慣れるのが精一杯ですし、気も張っています。しかし長引けばストレスはじわじわと心身を脅かします。
ストレスが不調を呼ぶ原因は意外とシンプルで「活性酸素」です。
プレッシャーやハラスメント、ウイルスなど、外部からの不快な刺激(ストレッサー)に曝されると脳は「危険が迫っている」と判断し、意思とは関係なしに細胞を最大出力にして、過剰な活性酸素が作られます。
過剰な活性酸素はウイルスなどの敵だけでなく、私たち自身の体、細胞、たんぱく質も無作為に攻撃します。その結果、頭痛、吐き気、憂うつ感、焦燥感、脳疲労、肌荒れ、脳疾患・心臓疾患などを引き起こします。
それなのになぜ活性酸素を過剰に生み出してしまうのか疑問に感じますが、実は呼吸している酸素も酸化力を持つストレッサーです。私たちの日常生活というのはストレッサーとのバランスの上になり立っているので、ストレスとは「バランスの崩れ」だと表現できます。
ですのでストレス対策に必要なのも、バランスの回復です。
バランス回復には卵、鶏肉、豚肉、牛肉、魚肉!
人体のバランスとは、成分バランスのことです。
いくら活性酸素が人体を攻撃しようとも、胃壁のように次々と修復できれば、ストレッサーは問題になりません。
ではなぜ修復が間に合わなくなるのか。それは「在庫不足」になる材料が出てくるからです。そして在庫切れを起こす材料はだいたい決まっています。アミノ酸のリジンとトリプトファンとメチオニン、そしてビタミンB群と脂溶性ビタミンであるビタミンA、ビタミンEです。
リジン、トリプトファン、メチオニンは植物成分では十分に摂取できません。アミノ酸バランスを示すアミノ酸スコアは卵、鶏肉、豚肉、牛肉、魚肉は100ですが、植物性食品は大豆を除き、白米が61、緑黄色野菜は50前後。アミノ酸バランスを保つには、動物性食品が効率的ということです。
ビタミンも動物性が有効
忙しい時、ついエナジードリンクやアルコールに手が伸びてしまいます。身体を気遣って野菜ジュースを選ぶ人もいるでしょう。しかし栄養素を飲み物に求めることこそ、バランスが崩れる原因です。
水分と一緒に大量の糖分とカロリーを流し込むと胃袋は満足してしまいますが、他の栄養素の在庫補充はほとんどできていません。野菜ジュースに含まれているのはほぼ糖分です。それでは疲労回復も修復もできません。
過剰な活性酸素を打ち消してくれるのはビタミンCとビタミンE、疲弊した細胞や肌を修復してくれるのがビタミンAとビタミンB群ですが、この中で不足しがちなのはビタミンE、ビタミンA、ビタミンB群です。
疲労回復に豚肉が推奨されるのはビタミンB群が豊富だからです。たとえばビタミンB1は150gの生姜焼き定食で一日の摂取量を補給できます。脂溶性ビタミンであるビタミンEは魚介類に豊富です。特にウナギに豊富ですが、ハマチ、ブチ、イカもオススメです。
体を修復してくれるビタミンAは鶏レバーに特に多く含まれ(100g当たり14,000μg)、それは他の食材の10倍以上です。逆に多すぎるため焼き鳥1本(50g)に刺さっている鶏レバー1切れでも十分すぎる計算です。鶏レバーがいかに栄養価が高いかが分かりますが、ビタミンAは副作用もありますのでレバー料理は週に1回程度がちょうどよいとされています。
なお糖類やたばこはストレス解消にほとんど関与できません。すっきりするのは禁断症状の解消であって、活性酸素はむしろ増えてしまうデータもあります。
困った時こそ動物になろう
美容の世界ではなぜか植物性成分がもてはやされ、ダイエットレシピもなぜか植物性食品がメインです。たしかにサラダは見た目もキレイだし、ビタミンも豊富です。
しかし細胞の活動は一つでも成分が足らなくなるとストップします。特にストレスが増える時期に動物性食品抜きで挑むのは危険です。
もちろんサプリも便利ですが、胃袋が糖類に騙されるように栄養素の在庫状況を正確に把握するのは簡単ではありません。サプリでは過剰に摂取してしまうこともあります。その点、食品は不具合が起きてしまうほどの栄養素を食事だけで得ることはほとんど出来ません。だからこそ栄養士は普段からの主食、主菜、副菜の食事バランスを重要視するのです。
ストレスをはねかえし、チャンスをものにするため、大事な時こそ動物の本能を呼びさまし、美食に食らいつきましょう。