乙女とたこ焼き。10

【安藤なつ】漫画愛。

人気お笑いコンビ「メイプル超合金」安藤なつさん初の連載コラムです。すがすがしいほどわが道を生きながら、性別も世代も超えて多くの人に愛される安藤さんが、好きなもの、こだわり、普段考えていること。気の向くままに語ります。隔週金曜にお届けします。

●乙女とたこ焼き 10

漫画愛。

漫画が好きだ。

印象的だったのは、大友克洋先生の『AKIRA』。小4のとき、AKIRAの映画を見てハマった。
映像の方が、静止画よりグロテスクだったというのを記憶している。
観た人はわかると思うが、鉄雄があーなったり、こーなったりするシーンが特にグロかった。

小学生のときは、音楽にはまだあまり興味なかった。
でもAKIRAの音楽(芸能山城組〕を聴いて、初めてかっこいいと思った。
バイクのカッコよさを知ったのもこの映画を通してだった。

そんな娘の夢中ぶりを知ってか知らないでか、母親がAKIRAの漫画本を買ってきてくれた。
それがなぜか2巻だった。母よ、なぜ2巻……というツッコミは特にせず、その時は2巻をひたすら繰り返し読んだ。

しばらくして、1~6巻まで全巻買ってもらった。
今でも実家の部屋に置いていて、幾度となく読んでいる。

ほかに読んでいた漫画は、『幽遊白書』(冨樫義博)、『浦安鉄筋家族』(浜岡賢次)、『ハイスクール!奇面組』(新沢基栄)、『ちびまる子ちゃん』(さくらももこ)、『あさりちゃん』(室山まゆみ)、『パンク・ポンク』(たちいりハルコ)などなど。

どちらかというと、少年漫画とギャグ漫画を好んでいた。
この頃からお笑いの要素が体の中で芽生えていたのかもしれない。

まだまだあるぞ。
手塚治虫先生のマンガはバイブル。『ブラックジャック』、『火の鳥』、『アドルフに告ぐ』、『ブッタ』。あとは『カムイ伝』や『はだしのゲン』も。
小学校の図書館に置いてあったのを読んで、友達と感想を言い合っていた。

漫画じゃないけど、最近読んだのは『蜜蜂と遠雷』(恩田陸)だ。
カズレーザーが読んでいたのがきっかけで読んでみた。
カズレーザーの読書量はハンパない。
仕事の合間にずっと読んでいる。あまりにもペースが違うから貸し借りはしてないが、彼が読んでいて面白そうだと思ったものは読んでいる。

漫画愛を語ってきたが、今まで読んできた中で一番印象深いのは、えんどコイチ先生の『死神くん』だ。
嵐の大野くんが主演でドラマ化をしていたから、聞いたことがある人もいるだろう。ぜひ漫画で読んでほしい。だいぶ前の作品だが、めちゃめちゃ深くて、めちゃくちゃすごい。生の尊さについて考えさせられる本当に名作なので、telling,読者の方にもおすすめだ。

   

構成:小野ヒデコ 写真:戸澤裕司

人気お笑いコンビ「メイプル超合金」として相方のカズレーザーとともに活躍するかたわら、ドラマや映画にも多数出演。
同志社大学文学部英文学科卒業。自動車メーカで生産管理、アパレルメーカーで店舗マネジメントを経験後、2015年にライターに転身。現在、週刊誌やウェブメディアなどで取材・執筆中。
1986年週刊朝日グラビア専属カメラマン。1989年フリーランスに。2000年から7年間、作家五木寛之氏の旅に同行した。2017年「歩きながら撮りながら写真のこと語ろう会」WS主催。