アルビオンがロングセラー商品「スキコン」と育てる、循環という文化
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●わたしと未来のつなぎ方 59
国産オーガニックハトムギへのこだわり
1974年の誕生以来、「アルビオン」の顔として愛され続けている化粧水「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル」。「スキコン」の愛称で、男女を問わず幅広い世代から支持されている。その歴史を紐解くと見えてくるのは、革新的なチャレンジの数々だ。
例えば、スキコンが誕生した1970年代、化粧水といえば透明な液体にピンクなどの色がついているのが主流だった。しかし、スキコンはなんと白濁の液体。当時は困難だった「水分と油分を分離させずに混合する」という乳化技術を見事に実現し、みずみずしく爽やかなのにしっとりするという唯一無二の使用感を生み出すことに成功したのだった。アルビオンとは「白い国」を意味する言葉だが、まさにその「美しい白」を象徴するアイテムがスキコンといえるだろう。
当時は健康茶として知られていたハトムギを、化粧品に配合したのも画期的だった。今でこそ和漢植物を使用しているスキンケアアイテムは珍しくないが、スキコンはその先駆け的な存在といえる。2011年には配合しているハトムギをすべて国産ハトムギ「北のはと」に変更。さらに、自社契約農場でハトムギの有機栽培に成功し、2017年からは「オーガニック北のはと」を使用している。

ハトムギは本来、アジアの温帯から熱帯地方にかけて生息するが、北海道産の「北のはと」は寒冷地でも育つように品種改良されたもの。除草剤を使用しない有機栽培は育てるのに手間がかかるが、人にはもちろん、地球環境にもよい影響をもたらすとアルビオンのサステナビリティ戦略グループの堀奈美子さんは言う。
「繊維質が少なく、土の中で広く根を張るハトムギは、種を収穫したあとに緑肥(植物そのものを肥料として利用すること)として土に混ぜると土壌の肥沃度や保水性、通気性などを高める効果をもたらします。有機ハトムギを栽培すればするほど土の性質がよくなり、植物がさらに健康的に育つようになり……と、ポジティブな連鎖が生まれます」
スキコンには有機ハトムギの実から得られるエキスやオイルが用いられているが、余った外殻や糠(ぬか)は2024年5月にお目見えした同じシリーズの洗顔せっけん「スキンコンディショナー クレンジングバー」に使用。「殻や糠も大切に活用したくて研究を重ね、ようやく余すところなく使えるようになりました」

リサイクル可能な容器にリニューアル
2022年にはスキコンの中身も容器もリニューアルし、さらなるパワーアップを果たした。中身に関しては、それまではハトムギの有用成分のなかでも水溶性のエキスのみを配合していたが、新たに油溶性成分であるハトムギオイルの抽出と配合に成功。エキスとオイルの両方を配合することで美容効果を高めながらも、ベタつかず、肌に心地よくなじむテクスチャーをキープするために、何度も試作を重ねたという自信作だ。
容器も大きく変化した。まず、ボトルの素材にはリサイクル可能なバイオマスPETを100%使用。樹脂の重量を軽量化し、箱に森林認証紙を使用して厚みを削減することで、スキコン一本あたりの重量14%減、輸送時のCO2排出量26%減を実現した(330mlサイズのボトルと箱で算出)。
ボトルの中身の安定性と落としても割れる心配のない安全性を保ちながらもギリギリまで軽量化していくには、念入りな検証が必要だったそう。また、洗顔後に化粧水を塗布するのが一般的なスキンケアのステップだが、洗顔後に乳液をつけ、その後に化粧水を使うのがアルビオン流。乳液で手が滑りやすくなっている状態でスキコンのボトルに触れたときにどのくらい落下しやすくなるのか、というリスクまで精査されているという。
使用済みボトルの回収を自社で一貫して行う
さらに、循環型社会の実現に向けて、スキコンの使用済みボトルを回収するリサイクルプロジェクトを2021年に直営旗艦店である「アルビオン フィロソフィ ニュウマン横浜店」でスタート。このプロジェクトは2024年には直営店のほか、百貨店内のコーナーや化粧品専門店を含む全国401店(2025年1月時点)にまで拡大した。スキコンの使用済みボトルを店頭に持参するとオリジナルコットンと引き換えてもらえるシステムで、過去には回収した容器のキャップからミニフォトフレームやヘアクリップをアップサイクルし、引き換えていたことも。
「私たちのリサイクルプロジェクトの大きな特徴は、回収から分別、洗浄までを専門業者にまかせるのではなく、自社で一貫して行っている安心安全な取り組みであること。使用済み容器は、店頭でスタッフが責任を持ってお預かりします。回収した容器はアルビオン熊谷事業所敷地内の障がい者雇用を推進する『熊谷ワークライフセンター』で、担当者が一つひとつ分別し、手作業で洗浄を行っています。回収にも洗浄にも労力を要しますが、バトンのように人から人へと丁寧につないでいくことで、『使用済み容器は廃棄するのが当たり前ではなく、大切な資源なのだ』という意識がおのずと高まっていくのは、大きなメリットだと考えています」

化粧品容器にアップサイクルするのが目標
回収したボトルを資源として丁寧に扱う姿勢からは、アルビオンが環境問題と真摯に向き合っていることが伝わってくるが、そこには同社の昔からのビジョンが反映されていると堀さんは語る。
「アルビオンが創業当初から大切にしているのが、人、社会、環境と豊かな絆を育んでいくこと。このプロジェクトに関しても、店頭のスタッフから工場で働く人たちまで、関係者全員が一体となって同じ方向を向き、お客さまや取引店の方々の思いに寄り添いながら進めています」

これまでに回収したスキコンのボトルは約3万6千本(2025年2月時点)。いずれは回収した容器をスキコンなどの化粧品ボトルにアップサイクルするのが目標だ。
「今は少しずつ準備を進めているところです。実現するには、使用済みボトルをもっともっと回収して、リサイクルの元となる素材を増やさなくては。これからも回収可能な店舗を増やしていくと同時に、お客さまにリサイクルプロジェクトを認知していただくための発信にも力を入れていきたいですね」
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Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi

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