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わたしと未来のつなぎ方

自然と人間が共生するサステナブルな建築を。「ADX」の哲学

建築家の安齋好太郎さんが率いる「ADX」は「森と生きる。」というフィロソフィーを掲げて活動する建築会社。自然と共生する建築の設計や施工、森林資源を活用した事業や環境に配慮したモノづくりのコンサルティングなどを行っています。幼い頃から祖父の影響で山や森で遊び、学んでいたという安齋さんがADXを通して提案している人間と自然の理想的な関係についてうかがいました。

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●わたしと未来のつなぎ方 52

間伐材を活用し、接着剤や釘を極力使わない木造建築

近年、サブスクリプション形式の別荘が注目を集める中、特に人気があるのが、202111月に運用を開始した「SANU 2nd Home(サヌ・セカンドホーム)」。これは月額55,000円で自然のなかに建つ木造のキャビンに滞在できるサービスで、一時は数千人以上の入会待ちが発生したこともある。

ADXはこのキャビンの設計・施工を務めている。福島と東京に拠点を置き、日本初()の木造ハイブリッドビル「KITOKI(キトキ)」や小規模な複合施設「K5(ケーファイブ)」(いずれも東京・日本橋)などを手がけてきた。また、JR新宿駅に直結する商業施設「ニュウマン新宿」では、リニューアル工事の仮囲いを段ボールで製作し設置する取り組みも行う。

ADX調べ。20205月時点、「日本国内のSRCメガストラクチャーと耐火木造を組み合わせた建築物」として。

自然との共生を目指し、「SANU CABIN」という木造の平屋が独立して建つタイプのキャビンでは、素材は岩手・釜石から調達した間伐材を使う。部品をつなぎ合わせる接着剤や釘、ビスといった無機質な部材は極力使わず、建物が古くなっても木材が再利用しやすい設計になっている。また、建物は高床式。土壌への負荷を小さくできるうえ、構造上、そのロケーションの風の通りや水の流れを止めずに済むというメリットもある。

「SANU CABIN」の新モデル「SANU CABIN MOSS(モス)」。玄関、キッチン、リビング、寝室がつながっているため、建物内のどこにいても周囲の自然との一体感が味わえる。画像提供=ADX

道具もおもちゃも木でつくる祖父の背中を見て

安齋さんが木造建築を手がけるようになったきっかけには、祖父の存在がある。

「日本百名山のひとつ、福島県の安達太良(あだたら)山に『くろがね小屋』という登山好きに人気の山小屋があります。老朽化による建て替え工事で今は営業を休止していますが、僕の祖父はその山小屋を建てたメンバーのひとりなんです」

安齋さんは1977年、福島県二本松市の工務店「安斎建設工業」の3代目として生まれた。工務店を立ち上げた祖父は山が大好きで、安齋さんも子どもの頃から祖父と一緒に山に入っては、山菜やきのこを採り、それを祖母に天ぷらやおひたしにしてもらうのが楽しみだったという。

「祖父は必要なものはなんでも自分でつくる人。僕が欲しいものを『買ってほしい』とねだると必ず『それは何? どんなもの?』と詰められて、詳しく説明させられるんです。例えばミニ四駆なら、『小型の自動車の模型で、こんな形で、スイッチを入れると電池で走って……』など。すると、祖父が木でつくってくれる。我が家には、木でできた道具やおもちゃがあふれていました」

ADX代表の安齋好太郎さん。1977年、福島県二本松市生まれ。自然と共生するサステナブルな建築を目指し、2006年にADX(旧Life style工房)を創業。ライフワークは登山

そんな祖父や、工務店の2代目として木の伐採や製材、木造建築を手がける父の背中を見て育った安齋さんが木造建築の道へと進むのは自然なことだった。とはいえ、ときには苦労や葛藤もあったという。20代で家業を継いだときは、工務店の経営改善のためにがむしゃらに働いた。30代でようやく自分がやりたいことをやれる状況になったときは、とにかくカッコいいものをつくりたいという気持ちが先行して、木よりも鉄やコンクリートを使うほうがいいんじゃないかと悩んだことや、デザインと安全性のバランスをギリギリまで攻めた建築に挑戦したことも。

「でも、国際的な建築やインテリアなどを手がけるノルウェーの設計事務所『スノヘッタ』の建築物を2013年に初めて現地で見て、木造でこんなことができるのか!と衝撃を受けて。彼らは自分たちが建てたいように建てるのではなく、最初にその土地をよく理解し、その場所に適した建物をつくる。その考え方に触れたおかげで自分のルーツに立ち返り、『自然と共生しながら安全かつ快適に暮らせる木造建築をつくる』という、僕がやりたいこと、やるべきことを確信できました」

標高4000mの雪山でも快適に滞在できる施設を

ADXが今年発表したのが、「EARTH WALKER(アースウォーカー)」という新たな建築プラットフォーム。標高4000mの過酷な自然環境のなかでも快適に過ごせて、なおかつ自然をできるだけ壊さないという、安齋さんの建築のテーマをより深く突き詰めたものだ。建築モデルは「サミットシリーズ」と「カスタムシリーズ」の二つ。「サミットシリーズ」は、雪深い山や無人島などインフラが制限された環境でも居心地よく過ごせる水準まで機能を高めたもの。「カスタムシリーズ」は森や湖畔など、「サミットシリーズ」よりもう少しアクセスしやすい環境で快適に過ごすためのモデルとなっている。

「現在『SANU 2nd Home』で提供している『SANU CABIN BEE』が普段都会で暮らす人が自然を味わうための第一歩だとしたら、『EARTH WALKER』の『カスタムシリーズ』のひとつである『SANU CABIN MOSS』はさらにもう一歩自然へと踏み出したようなイメージ。室内と屋外との境界がゆるやかで、リビング、キッチン、寝室など、どこにいてもガラス越しに外の自然を眺めることができます。一方、『サミットシリーズ』は気圧のコントロールや酸素濃度の調整など、多くの高い機能設備を備えたもの。太陽光発電による蓄電や水の浄化・再生・循環システムを導入し、自給自足するオフグリッド型の生活が可能になります。こちらは実現に向けて実証実験中です」

今春増築した鹿児島・奄美大島のリゾートホテル「MIRU AMAMI」のヴィラも「EARTH WALKER」の「カスタムシリーズ」。地形やそこに生えている在来種を生かしたデザイン。画像提供=ADX

学校では学べないことを森が教えてくれる

ADXの取り組みは、すっかり遠くなってしまった私たち現代人と自然との関係を近づけるためのきっかけづくりともいえる。

「僕が育ったところは自然が近く、僕や祖父に限らず、みんな気軽に山に入っていました。山のいいところは、周りの大人たちとの山歩きを通して、学校では教えてもらえない生き方や暮らし方のヒントをたくさん学べるところ。『この野草は薬になる』とか『来年もきのこを採らせてもらいたいから、全部は採らずに残しておこう』とか」

また、実際に足を運んで自然に触れてみないとわからないこともたくさんあるという。

「例えば、枯れているコスモスの写真なんて教科書に載ってないじゃないですか。でも、山でコスモスが枯れているのを目にすると『命ってはかないな』『もうすぐ秋が終わるんだな』とか、いろんなことを感じる。それってすごく豊かなことですよね。だけど、こういうことって自分の体と感覚で体験してみないと本当の意味でわからないから、そのきっかけを増やす。そこにADXの存在価値があると思っています」

ニュウマン新宿に設置された、段ボール製の仮囲い。館内のイベントで、アーティストの木下友梨香さんによるペインティングが施された。画像提供=ルミネ

ちなみに、ADXでは「EARTH WALKER」の量産工場を2027年度に無人化することを目指している。その理由は、「社員の週休を2日から3日に増やしたいから」。

「テクノロジーを駆使したイノベーティブな働き方が、人間の豊かな暮らしにつながる。僕たちはもっと自由であっていいと思うんです」

私たち一人ひとりにとって本当の豊かさとは何か。山や森の中でゆっくりと時間を過ごしてみれば、その答えも、きっと自然が教えてくれるに違いない。

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Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi

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