上野樹里さん・林遣都さん「自分らしくいられる場所を選んで」
30代になって少しずつ楽になった(林)
――お二人は共に30代ですが、30代に入って、キャリアの重ね方やプライベートの充実など、これからの生き方について悩んでいるtelling,読者も多いです。
上野樹里さん(以下、上野): いろいろ悩むことはありますよね。結婚するかどうかも、人それぞれですし。家庭を持って仕事をセーブしようかと迷っている方や、その逆で、家族のためにも働かないと、と頑張っている方もいて……。社会は変わっているし、選択肢も増えている。生き方や働き方は、何万通りもあるはず。だから、自分で選んでいいと思うんですよ。
それに、どれだけ悩もうとも、なるようにしかならないんですよね。いくら「この仕事をやりたい」と思っていても、いろんな事情でタイミングが合わなければできないし。ご縁次第ですよね。
なるようにしかならないのなら、なおのこと自分軸で生きていいと思う。自分の心に聞いて「無理をしているな」と思ったら、やめてしまってもいいはず。私も、自分のタイミングや感覚がバチっと合うときのほうが、作品に集中できますね。
林遣都さん(以下、林): 僕はもともと、いろんなことを気にしがちな性格で。ひとつ悩みごとができると、抜け出せなくなってしまうタイプなんです。でも、「こういう自分でいなくちゃ」と必要以上に自分に負荷をかけ続けるのは、しんどくて。それで、30代に入ってから、無理をしないようにと心がけを変えました。
少し視野を広げれば、世の中には、自分の心を和らげてくれる時間や考え方がいっぱいあるんですよね。迷ったら自分らしくいられるほうを選んでいるんですが、それで最近、少しずつ楽になってきた実感があります。
大人こそ「心のままに生きられる力」を(上野)
――近しい人から「普通、30代にもなると~~だよ」などと声をかけられたり、SNSで他の人と比較したりして、「普通かどうか」という価値観に縛られてしまう人もいます。お二人からメッセージをいただけますか?
林: 「普通なら」とか「一般的には」といった言葉は深く考えずに使われがちで、そういう言葉を受けて「自分は普通じゃない」と思ってしまう人がいるのも仕方ないと思います。僕自身も、自分の気持ちを表現するときに、安易に「普通」という言葉を使わないように気をつけているんですが。
でも「私は普通じゃない」と思っている人にだからこそ、わかる気持ちもあると思うんです。周りの人から、実は「人と違って素敵だな」と見られている部分もあるかもしれない。だから、自分をあまり否定せずに、肯定してあげるような気持ちを持ってほしいですね。
上野: 生まれも育ちも感性も、みんな違うのに、みんなの生き方が同じというほうが気持ち悪いですよね。「同じにしなくちゃ」と思うのも、何だかすごくおかしいことだと思う。みんながそれぞれ“自分の人生”を生きて、その違いが共鳴しあってひとつの世界をつくっている、と考えたほうが楽しくないですか?
大人になれば自分でお金を稼げて、どんどん自由になっていくはずなのに、歳を重ねるほどに不自由になっていく人のほうが多い。それって不思議ですよね。大人にこそ「自分の心のままに生きられる力」が必要なんじゃないかな。
人のために、自分が我慢している人も多いと思うんです。でも「人のため」と書いて「偽」という漢字になる。誰かのために、と偽の優しさを抱えて、苦しみながら生きているくらいなら、その環境から出て行って、もっと自分らしくいられる場所を選んだほうが、よっぽどみんなのためになるんじゃないかな。だから、みんなに合わせてはみ出さないように頑張るよりも、自分の心のままに、やりたいことをやってほしいなって思います。
【上野樹里さん】
ヘア:KENICHI(SENSE OF HUMOUR)
メイク:SADA ITO for NARS Cosmetics (SENSE OF HUMOUR)
スタイリスト:古田千晶
トップス/エズミ(リ デザイン TEL:03-6447-1264) 、パンツ/トゥモローランド ビー(トゥモローランド 渋谷本店 TEL:03-5774-1711)、右手リング・シューズ/スタイリスト私物、左手リング/本人私物
【林遣都さん】
ヘアメイク:竹井温 (&'s management )
スタイリスト 菊池陽之介
ジャケット/カズキ ナガヤマ(スタジオ ファブワーク TEL:03-6438-9575)、 シャツ/古着(古着屋JAM 原宿店 TEL:03-6427-3961)、パンツ/クアー(ムシンサ グローバル ストア)、シューズ/スタイリスト私物
●上野樹里(うえの・じゅり)さんのプロフィール
1986年、兵庫県生まれ。A型。2001年『クレアラシル』の3代目イメージガールに選ばれデビュー。映画『スウィングガールズ』で第28回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。10月には、ミュージカル『のだめカンタービレ』で初舞台に挑戦。テレビドラマと劇場版でも演じた“のだめ”こと野田恵役を務めた。
●林遣都(はやし・けんと)さんのプロフィール
1990年、滋賀県生まれ。2007年 『バッテリー』で映画初主演し、第31回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。近年の主な出演作に、ドラマ『初恋の悪魔』日曜劇場『VIVANT』、映画『恋する寄生虫』など。2024年1月スタートのドラマ『おっさんずラブ‐リターンズ‐』放送、2月9日に映画『身代わり忠臣蔵』公開を控える。
出演:上野樹里 林 遣都
黃姵嘉 野村周平 川瀬陽太/嶋田久作/原日出子 バカリズム 酒向 芳
監督・脚本・編集:熊澤尚人
原作:パリュスあや子「隣人X」(講談社文庫) 音楽:成田 旬
主題歌:chilldspot「キラーワード」(PONY CANYON / RECA Records)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:AMGエンタテインメント
制作協力:アミューズメントメディア総合学院
©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社