小島藤子さん・尼神インター誠子さん「悪い言葉をかける人より、味方を探す旅に出て」
「年齢にとらわれずにありのままで」(小島)
――小島さんは現在29歳で、今年30歳の節目を迎えられます。また、誠子さんは今年35歳になられます。年齢を重ねることへの変化や不安を感じますか。
尼神インター誠子さん(以下、誠子): 10代や20代の頃は「30歳になる頃には、何かが大きく変わるんだろうな」と思っていました。実際、私は30歳になるときに上京したんですね。コンビ結成10年目の節目に加えて、やはり年齢が決断を後押ししたのだと思います。「もう30代だ、どうしよう」と不安を感じていたわけではなく「いよいよ上京や。いくぞ。絶対売れるぞ」と意気込む気持ちでいっぱいでした。少しでも心が折れたり、隙を見せたりしたら負けると思っていた。闘志100パーセントでした。
小島: すごい。私は「年齢なんてないものだ」と思って生きてるんですけど……いま20代でしたっけ? 自分では10代くらいだと思ってたんですけど(笑)。
誠子: ね? 素敵な子でしょう。
小島: ただ、この仕事をしていると、いただける役が年齢に応じて変わっていくので、いやが応でも意識する瞬間はありますね。結婚する役や、子どものいる役が最近増えたので。「そういう年齢になってきているんだな」と思い知らされているところです。
でも、私は年齢にとらわれずにありのままの自分でいたいし、そんな私を受け止めてくれる人たちと一緒にいないと、幸せになれないと思うんですよ。だから、あるときから、変に大人ぶるのはやめました。「もうちょっと大人になりなさい」と言われることもあるけど「私はまだ子どもなんです」と思いきり自分をオープンにするようになった。すると、誠子さんのように笑って「面白いね」と受け止めてくれる人に出会えたんです。
「もうすぐ30歳なんだから~」と言われることもありますよ。でも、そう言ってくる人は、自分自身が年齢によって焦っているのでは?とも思う。
誠子: そうそう、そういうことだよね。自分に対して思っていることを、他人に言うからね。私も、地元の友達に、なんの悪気もなく「結婚せえへんの?」とか言われますよ。そう聞きたくなる気持ちも理解できるけど。
小島: もともと「絶対20代のうちに結婚するんだ」と夢見ていた人が、焦りを感じて「早く結婚しよう!」と頑張るなら、わかるけどね。
誠子: うん。それなら気持ちはわかる。でも全員がそういうわけではないからね。つくづく最近思うのが、人生は短いし、一度きり。時間も、自分のキャパも、限られている。世の中の人、全員に等しく向き合うことはできないので、やっぱり私にとっての(小島)藤子のように、自分にとって大切な人、フィーリングの合う人との時間に費やしたほうがいいよなあ。
「挑戦への反対意見は聞かない」(誠子)
――誠子さんは本作が初舞台。小島さんも、さまざまなジャンルの作品へと活躍の幅を広げています。30代前後になって、新しいことに挑戦したいと考えているtelling,世代の読者も多いですが、一歩踏み出すときに気をつけていることはありますか?
誠子: 考えすぎない。思いついたら、すぐにやる。考えすぎると懸念材料ばかりが浮かんできますから。あと、何か挑戦したことによって反対意見を言われても、聞かない。まじで聞かないですよ、私は。いじられたら「なんでやねん!」と明るく返しますけど、心の中では「わかってないなあ、時代は変わってるんだよ」と思ってる(笑)。
小島: 最高!(笑)。私も、ちょっとした思いつきであっても、すぐにやってみるようにしています。それで失敗したとしても、やってみたことで得られる気づきがあると思うから。
私は「観てくださっている方がいるから、私たちはお芝居ができている」と思っているんです。だから、特にお芝居の場合は、私が挑戦したことで否定的な反応が返ってきたとしても「感想は、観てくださる方が自由に決めることだ」と割り切って、受け止めるようにしています。たとえ「全然うまくいってないよ」とか「前のほうがよかったよ」といった声をいただいたとしても。でも、どこかで私の挑戦を見て「いいね」と言ってくれる人がいるかもしれない。そう思えていれば、大丈夫。
誠子: ちょっと一歩踏み出したときや、自分らしさを表現してみたときに「いいね」と言ってくれる人を、見つけてほしいですよね。
小島: 自分に悪い言葉をかける人のほうばかり、気にかけてしまいがちですよね。いい思い出より、嫌な思い出のほうが記憶に残るじゃないですか。あれと同じだと思うんだけど。
誠子: そうそう。でも本当は、いい思い出も、素敵な味方も、たくさんいるはず。そっちを探す旅に出てほしいですよね。
二人がこれから目指す道は……
――勇気の出るようなお話をありがとうございます。これからお二人が挑戦してみたいことや、目指したい自分について教えてください。
誠子: 料理がすごく好きなんです。俳優業も始めたことですので、これを機に、石田ゆり子さんのようなライフスタイルブックを出したい。
小島: 絶対に出してほしい! おネエ(誠子さん)がいないときに、稽古場でみんなと言ってたんだよ。インスタで発信している料理がすごくおいしそうだから、料理本を出したらいいのにねって。
誠子: ほんまに? 嬉(うれ)しい。夢なんですよ。レシピもコツコツ書き溜めていて。藤子に言ってもらえたら、実現するような気がしてくるなあ。藤子は?
小島: う~~ん。なんだろうな。……「いい女」になりたい(笑)。
誠子: もう十分、いい女やで。
小島: そう?(笑)。華があって、どこに立っていても人の目に留まるような……そんな存在感のある女性を目指したいですね。
●小島藤子(こじま・ふじこ)さんのプロフィール
1993年、東京都出身。2006年からモデルとしてファッション誌「ニコ☆プチ」などで活躍。2008年、ドラマ『キミ犯人じゃないよね?』で俳優デビュー。近年の主な出演作に、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、ABCテレビ『ガチ恋粘着獣』、東海テレビ『グランマの憂鬱』、映画『馬の骨』など。
●尼神インター・誠子(せいこ)さんのプロフィール
1988年、兵庫県出身。2007年、相方の渚と「尼神インター」を結成。2011年「第32回ABCお笑い新人グランプリ」新人賞。2017年に活動の拠点を東京に移す。エッセイ本『B あなたのおかげで今の私があります』(KADOKAWA刊)の執筆など幅広く活躍。
■演劇企画集団Jr.5(ジュニアファイブ) 第15回公演「明けない夜明け」
2023年7月14日(金)~20日(木)
東京都 東京芸術劇場 シアターウエスト
作・演出:小野健太郎
出演:小島藤子、吉本実憂、誠子(尼神インター)、鈴木勝大、成田沙織、岩瀬亮、石森咲妃、鷲見友希、井筒しま、赤松真治、佐藤達、宮田早苗、小野健太郎、奥田努
※石森咲妃、鷲見友希、井筒しま、赤松真治はWキャストでの出演。小野健太郎は7月16日14:00開演回と19日14:00開演回のみ出演。